NYマーケットダイジェスト・22日 株反発・金利上昇・円上値重い
(22日終値)
ドル・円相場:1ドル=157.04円(前営業日比▲0.44円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=171.03円(▲0.36円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0891ドル(△0.0009ドル)
ダウ工業株30種平均:40415.44ドル(△127.91ドル)
ナスダック総合株価指数:18007.57(△280.63)
10年物米国債利回り:4.25%(△0.02%)
WTI原油先物8月限:1バレル=79.78ドル(▲0.35ドル)
金先物8月限:1トロイオンス=2394.7ドル(▲4.4ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
特になし
(各市場の動き)
・ドル円は3日ぶりに反落。ただ、下値は堅かった。アジア時間に一時156.29円まで下落したものの、一目均衡表雲の上限156.23円がサポートとして働くと買い戻しが優勢に。欧米株価の上昇に伴う円売り・ドル買いも優勢となった。米長期金利の上昇に伴う円売り・ドル買いも出ると、一時157.17円付近まで下値を切り上げた。
なお、バイデン米大統領は21日、11月の米大統領選から撤退すると表明。共和党のトランプ前大統領が当選する可能性が後退したものの、為替相場への影響は限定的だった。
・ユーロドルは3日ぶり小反発。本日は欧米の経済指標の発表などがなく手掛かり材料に欠けたことから、相場は大きな方向感が出なかった。今日の安値はNY時間に付けた1.0873ドル、高値はアジア時間に付けた1.0903ドルで1日の値幅は0.0030ドル程度だった。
・ユーロ円は続落。日本時間夕刻に一時170.06円と日通し安値を付けたものの、売り一巡後は買い戻しが優勢に。3時過ぎには171.15円付近まで下値を切り上げた。ドル円につれた動きとなった。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は3日ぶりに反発。足もとで相場下落が続いたあとだけに、自律反発狙いの買いが入った。市場では「今週から本格化する米企業決算への期待から買いが入った」との指摘もあった。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は4日ぶりに反発。前週後半に下げが目立っていた半導体関連株に買いが入った。
・米国債券相場で長期ゾーンは3日続落。11月の米大統領選に向けた不透明感が根強い中、ポジション調整目的の売りが優勢となった。
・原油先物相場は小幅に3日続落。時間外取引で6月18日以来の安値79.17ドルをつけたところで下げ渋り、緩やかに戻す動き。しかし米大統領選の行方など不透明要因を抱えるなかプラスを維持して引けることはできなかった。
・金先物相場は4日続落。欧米株の底堅い動きが、安全資産とされる金を買う動きを鈍らせた。米金利上昇も、金利が付かない資産である金の相対的な投資妙味を後退させる材料となった。
22日の主な要人発言(時間は日本時間)
22日13:14 神田財務官
「G7財務相・中銀総裁会議でウクライナ支援とロシア制裁を議論」
「G20では世界経済の見通しと現下の課題を議論」
22日18:06 カジミール・スロバキア中銀総裁
「追加緩和への扉は開かれたまま」
「決定を急ぐ必要はない。データが9月の決定の舞台を整える」
「年末までにさらに2回の利下げがあるという市場の予想は、完全に的外れではないが、確実とも言えない」
22日20:41 マンチン米上院議員(CBSが報じる)
「大統領選候補にはならない」
※時間は日本時間
23日のイベントスケジュール(時間は日本時間)
<国内>
特になし
<海外>
○14:00 ◎ 6月シンガポール消費者物価指数(CPI、予想:前年比2.7%)
○16:00 ◎ レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○20:00 ◎ トルコ中銀、政策金利発表(予想:50.00%で据え置き)
○23:00 ◎ 7月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値、予想:▲13.4)
○23:00 ◎ 7月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:▲6)
○23:00 ◎ 6月米中古住宅販売件数(予想:前月比▲2.8%/年率換算400万件)
○24日02:00 ◎ 米財務省、2年債入札
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
東京為替見通し=ドル円、日米金融政策や米国大統領選の不透明感から動きづらい展開か
22日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、欧州時間に一時156.29円まで下落したものの、欧米株価の上昇や米長期金利の上昇に伴う円売り・ドル買いで157.17円付近まで下値を切り上げた。ユーロドルは米長期金利上昇で1.0873ドルまで弱含みに推移した。ユーロ円は欧州時間の安値170.06円から171.15円付近まで下値を切り上げた。
本日の東京外国為替市場のドル円は、30-31日の日米金融政策決定会合に向けて動きづらい展開の中、ハリス米副大統領を軸にした民主党陣営とトランプ共和党陣営との対決が不透明なこともあり、157円付近での動意に乏しい展開が予想される。
現状のドル円水準は、26日間の中心値である基準線(158.67円)、9日間の中心値である転換線(158.57円)、50日移動平均線(158.05円付近)の下、支持帯である雲の上限(156.31円)、90日移動平均線(156.11円付近)の上にあり、上下どちらかに放れる材料待ちとなっている。
30-31日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策金利の据え置きが確実視されているものの、ウォール街からは、6月の消費者物価指数(CPI)が前月比-0.1%まで低下していたことで、利下げ開始を9月FOMCまで待つ必要はないのではないか、との見解が聞かれている。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」での利下げ開始時期は9月FOMCとなっており、11月と12月FOMCでも追加利下げが見込まれており、年末のFF金利誘導目標4.50-75%と想定されている。
ちなみに、トランプ前大統領は、大統領選挙が行われる11月まで利下げをしないように牽制している。
30-31日の日銀金融政策決定会合では、国債買い入れの減額計画が発表される予定だが、植田日銀総裁が「相応の規模」と示唆していたものの、サプライズとはならない規模となり、追加利上げは先送りされると見込まれている。
バイデン米大統領が大統領選からの撤退を表明したことで、第2次トランプ政権誕生の可能性が高まったと思われるものの、ハリス副大統領との対決においては、形成逆転の可能性も浮上してきている。
第2次トランプ政権誕生の可能性が高まった場合は、トランプトレードのドル買い観測と「トランプノミクス2は低金利と関税。ドル高は問題」(トランプ前米大統領)によるドル売り観測を見極めていくことになる。しかし、ハリス第47代米大統領誕生の可能性もあり、バイデン民主党路線の継承も想定せざるを得ないことで、市場の方向感が無くなりつつある。
さらに、現状のドル円相場は、神田財務官が今年、ドル売り・円買い介入に踏み切った水準(157円~161円)で推移していることで、月末の退任を控えて、最後の円買い介入の可能性には警戒しておきたい。
神田財務官は、昨日、25~26日にブラジル、リオデジャネイロで開催されるG20・G7財務大臣・中央銀行総裁会議での議論内容に言及していたが、157円台での円相場を牽制する発言はなかった。
株価指数先物【寄り前】 4万円接近では強弱感が対立
大阪9月限ナイトセッション
日経225先物 39870 +390 (+0.98%)
TOPIX先物 2845.0 +20.5 (+0.72%)
シカゴ日経平均先物 39950 +470
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
22日の米国市場は、NYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が上昇。エヌビディア<NVDA>が4.7%超上昇するなど、半導体株を中心に前週の下落に対する自律反発狙いの買いが優勢となった。エヌビディアは米政府の対中輸出規制に抵触しないAI向け半導体を開発していると報じられたほか、アナリストによる目標株価引き上げが材料視された。NYダウ構成銘柄ではマイクロソフト<MSFT>やセールスフォース<CRM>、インテル<INTC>が買われた。
また、バイデン大統領の後継候補として最有力視されるハリス副大統領が、大口献金者からの支持を急速に集めていると報じられた。トランプ前大統領の優位が揺らぐ可能性も意識されるなか、米中対立の激化など半導体業界への懸念が和らいだ面もあった。S&P500業種別指数は自動車・同部品、半導体・同製造装置、耐久消費財・アパレルが上昇した一方で、電気通信サービス、エネルギー、食品・飲料・タバコが下落。
シカゴ日経平均先物(9月限)清算値は、大阪比470円高の3万9950円だった。日経225先物(9月限)のナイトセッションは日中比30円高の3万9510円で始まり、寄り付きを安値にリバウンドを強め、米国市場の取引開始時には3万9950円まで買われた。3万9810円まで調整した後に、3万9970円まで上昇する場面もみられた。中盤にかけて3万9710円まで軟化したものの、終盤はロング優勢となり、3万9870円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、買い優勢で始まりそうだ。エヌビディアなど半導体株が反発し、SOX指数が4%近く上昇したことは、足もとで下げが目立っていた東京エレクトロン <8035.T> [東証P]やアドバンテスト <6857.T> [東証P]など、指数インパクトの大きい値がさハイテク株の支援材料になるだろう。
ただし、ナイトセッションで節目の4万円を捉えることはできなかった。25日移動平均線が4万0110円辺りに位置しているため、同線に接近する局面では、戻り待ち狙いのショートも入りやすいだろう。自律反発の域は脱せないとの見方から、同線突破を狙ったロングは強まりづらいとみられ、買い一巡後は押し目狙いのスタンスとなりそうだ。
また、取引終了後に2024年4-6月期決算を発表したNXPセミコンダクターズ<NXP>は、7-9月期の見通しが予想に届かなかったとして、時間外取引で8%ほど下落している。本格化する決算を見極めたいとするムードも高まりやすく、積極的にポジションを傾けてくる動きは限られそうだ。
そのため、オプション権利行使価格の3万9625円から4万0125円のレンジを想定する。25日線水準での攻防が意識されやすく、同線を捉えてくる局面では、ショートカバーを誘う形で、権利行使価格の4万0375円辺りが短期的なターゲットになろう。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.97倍に低下した。13.95倍で始まり、その後14.00倍を回復する場面もみられたが、直近のボトム水準での膠着となった。NXPセミコンダクターズが下落した影響からインパクトは限られるものの、エヌビディアなど半導体株がリバウンドをみせたことで、いったんはNTロングでのスプレッド狙いの動きが入りやすいとみられる。また、トランプトレードに対するリバランスも
意識されやすく、相対的に日経平均型が優位になりそうだ。
なお、22日のVIX指数は14.91(前日は16.52)に低下した。一時17.19まで上昇した後に、大きく低下する形となった。リスク選好に傾きそうだが、足もとで荒い値動きが続いていることもあり、しばらくは方向性を見極めたいところだ。
米民主党全国委員会、民主党の大統領候補を8月7日までに選定
米民主党全国委員会のハリソン委員長は22日、民主党の大統領候補を8月7日までに選定する意向を表明した。候補者の選出については透明かつ迅速で秩序ある手続きを取るとしている。
ハリス米副大統領、民主党大統領候補指名に十分な代議員支持を確保 報道
一部報道が伝えたところによると、ハリス米副大統領は民主党大統領候補指名に十分な代議員の支持を確保したという。なお、米民主党全国委員会は大統領候補を8月7日までに選定するとしている。
株価指数先物【昼】 4万円処を狙ったロングは期待しづらい
日経225先物は11時30分時点、前日比180円高の3万9660円(+0.45%)前後で推移。寄り付きは3万9950円と、シカゴ日経平均先物の清算値(3万9950円)にサヤ寄せする形で、買いが先行した。ただし、ナイトセッション同様、節目の4万円接近では上値の重さが意識され、寄り付きを高値に利食いに伴うロング解消や、戻り待ち狙いのショートが優勢となった。中盤は3万9700円~3万9800円辺りでの値動きとなったが、終盤にかけて一時3万9600円まで上げ幅を縮めた。
指数インパクトの大きいアドバンテスト <6857.T> [東証P]や東京エレクトロン <8035.T> [東証P]が日経平均株価を牽引する一方で、ソフトバンクグループ <9984.T> [東証P]、ファーストリテイリング <9983.T> [東証P]が重荷となっている。日経225先物は25日移動平均線(4万0100円)が上値抵抗線として意識されたが、想定内の値動きだろう。また、グローベックスの主要な米株先物が小幅ながらマイナス圏で推移していることもあり、4万円処を狙ったロングは期待しづらい。
NT倍率は先物中心限月で13.96倍に低下した。指数インパクトの大きい値がさハイテク株が買い先行で始まったこともあり、朝方には14.03倍を付ける場面もみられた。ただし、その後は業績の上方修正を発表した日本郵船 <9101.T> [東証P]が急伸し、他の海運株も買われるなど、相対的にTOPIX型優位の展開となった。
【よろずのつぶやき by Wada】あくまでも前向きに
昨日の海外市場では、バイデン米大統領の大統領選撤退も消化不良。市場では民主党の副大統領候補が誰になるのかが一番の興味となっているらしく、かかる同士が決まらない限り、トランプ前大統領の優勢は変わらずといったところ。引き続き流動的な選挙状況を見守ることになりそうです。
ドル円は、欧州時間に入ってすぐに、大陸勢、いわゆるアーリーロンドン勢がポジション調整の売りを先行。一時156.29円まで売り込まれる場面もみられましたが、一目雲上限の156.23円が意識されると次第に下値を切り上げる展開に。米10年債利回りが4.2760%まで上昇するにつれて157.17円まで買戻されてNY市場を終えています。アジア時間に入ってからは輸出の売りが断続的に観測されると156.52円まで値を下げるなど、戻りの鈍い動きとなっています。
いずれにしても、寄付きから買われた日経平均も40000円台の回復を前にして足踏み状態。戻りの鈍さが目立つ動きとなっていますが、猛暑なのか、夏休みに入っている向きが多くなっているのか、東京時間の為替市場も「淡々と時間が過ぎているだけのような相場」となっているわけで、来週のビッグイベントを前にして英気を養っているところと、あくまでもポジティブな姿勢で臨みたいところです。
【相場の細道】介入を巡る誤解
「投機による過度な変動があれば、私としては適切に対応していくしかない。介入の回数や頻度に制限はない」(神田財務官)
2024年の本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入額は、4月29日と5月2日が9兆7885億円、7月11日が推定約3.5兆円、12日が推定2.1兆円なので、4営業日で合計15.4兆円程度となる。
1.米国財務省の外国為替報告書
米国財務省が米国議会への提出が義務づけられている為替報告書は、競争上の優位性を得るために自国通貨レートを人為的に押し下げている、すなわち、自国通貨安に誘導していると見なされる貿易相手国に圧力をかけることが目的である。
判断基準の3つを満たせば「為替操作国」に認定され、2つならば、「監視対象国」に認定される。
【為替操作国・監視対象国の判断基準】
1)財の対米貿易黒字:150億ドル以上
2)経常黒字額:対国内総生産(GDP)比3%以上
3)過去12カ月の外貨購入(介入):対GDP比2%以上
日本政府による15.4兆円の介入金額は、日本の1-3月の名目国内総生産(GDP)597兆円の2.5%程度だが、市場では、米国財務省の外国為替報告書が為替操作国の基準にしているGDP比2.0%が介入の制約になるのではないか、との誤解があった。
しかし、外国為替報告書は、対米貿易黒字を拡大させるドル買い・自国通貨売り介入を監視していることで、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入は、監視対象外である。
2.国際通貨基金(IMF)自由変動為替相場制度(free floating exchange rate system)
IMFは、為替レートが自由変動(free float)であることの条件として、「1回の介入は3営業日内で、6カ月以内で3回まで」と規定している。
変動為替レートは、「自由変動レート」と「変動レート」に分類されている。
自由変動レートとは、極めて例外的にそして無秩序な市場環境をならすために行われた介入が3営業日を1回とし、6カ月以内にせいぜい3回までにとどまっており、当局がその情報や実施日などを提供してきている場合となっている。
IMFが要求した情報が得られない場合は、「自由変動レート」ではなく、「変動レート」に分類されることになる。
日本政府による4営業日(4月29日、5月2日、7月11日、12日)の介入は、「6カ月以内で3回まで」の自由変動規定を超えている。
神田財務官は2022年は3営業日の介入で「自由変動レート」に順じていたが、2024年は4営業日の介入で「変動レート」に分類されても構わないらしい。
4月16日、エイドリアン国際通貨基金(IMF)金融資本市場局長は、為替の変動が激しい場合には為替市場への介入が「適切になる可能性がある」と述べ、ドル高が進行する中、為替介入を容認した。
4月19日、鈴木財務相と植田日銀総裁は、国際通貨金融委員会(IMFC)で、円安進行を念頭に、「外国為替相場の行き過ぎた動きに対しては適切な対応を取る」との意見を表明した。声明では「為替市場を含めた金融市場における変動の高まり」を指摘し、「過度な変動は望ましくない」との見解が示された。
5月6日、IMF理事会は対日4条協議を終了した、と表明している。
ロンドン為替見通し=レーンECB専務理事の発言に要注目か
本日のロンドン為替市場のユーロドルは、欧州中央銀行(ECB)理事会で全会一致での金利据え置きを主導したレーンECB専務理事兼チーフ・エコノミストの講演を見極めつつ、欧米長期金利の動向に連れた値動きが想定される。
レーンECB専務理事は、先日、タカ派的な見解として、「サービス価格のインフレは依然として重要。インフレを評価するには少し時間が必要」と述べ、ハト派的な見解として「賃金上昇圧力は、緩和傾向が続く見通し」と述べていた。
そして、18日のECB理事会では、レーンECB専務理事による政策金利据え置き提案が全会一致で決定されており、一部のタカ派的な理事でさえも、今後の経済指標でディスインフレ継続が確認されれば利下げに前向きであることが報じられている。
ユーロドルの上値を抑える要因としては、フランス議会が単独過半数の政党がいないハングパーラメントに陥り、連立政権の先行きには不透明感が高まっていることや欧州委員会が、フランスに対して過剰赤字手続き(EDP)を開始すると勧告していることで、フランスの財政危機への警戒感が高まっていることなどが挙げられる。
トルコ中銀は政策金利50%を据え置くことが予想されており、注目ポイントは中銀声明となる。前回6月は引き締め姿勢の継続を再度確認しつつ、「今年後半にはディスインフレが定着するだろう」とも言及していた。
6月のインフレ率は71%台と5月の75%台を下回り、伸び率鈍化の兆しがみられるものの、依然として高い水準での推移となっている。市場では秋以降の利下げ観測が高まりつつある中、トルコ中銀がどの程度インフレ抑制姿勢を示すか否かに要注目か。
想定レンジ上限
・ユーロドル:1.0981ドル(3/8高値)
・ユーロ円:172.20円(日足一目均衡表・基準線)
・トルコリラ円:4.80円(日足一目均衡表・転換線)
想定レンジ下限
・ユーロドル:1.0807ドル(日足一目均衡表・基準線)
・ユーロ円:169.33円(6/21安値)
・トルコリラ円:4.68円(7/18安値)
東京マーケットダイジェスト・23日 円高・株上値重い
(23日15時時点)
ドル円:1ドル=156.31円(前営業日NY終値比▲0.73円)
ユーロ円:1ユーロ=170.23円(▲0.80円)
ユーロドル:1ユーロ=1.0890ドル(▲0.0001ドル)
日経平均株価:39594.39円(前営業日比▲4.61円)
東証株価指数(TOPIX):2833.39(△5.86)
債券先物9月物:142.90円(▲0.11円)
新発10年物国債利回り:1.060%(△0.010%)
ユーロ円TIBOR3カ月物:0.14900%(横ばい)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
特になし
(各市場の動き)
・ドル円は軟調。東京仲値にかけて本邦実需勢の売りが観測されたほか、上昇して始まった日経平均株価がマイナス圏に沈んだことを受けて売りが優勢に。昨日安値の156.29円を下抜けて156.20円まで下げ足を速めた。
・ユーロ円も軟調。ドル円の下落につれたうえ、日本株の一転下落を受けて円買い圧力が高まった流れに沿った。ユーロ円は一時170.13円、ポンド円は201.94円、豪ドル円は103.61円までそれぞれ下値を広げた。
・ユーロドルはもみ合い。円絡みの取引が中心となったためユーロドル自体は1.08ドル台後半で方向感を欠いた。
・日経平均株価は5日続落。昨日の米国株式相場が上昇した流れを引き継いで買いが強まり、指数は一時300円超上昇した。ただ、一巡後は利食い売りが持ち込まれる形で失速。マイナス圏に沈んで取引を終えた。
・債券先物相場は5日続落。日銀が早期利上げに踏み切るのではとの思惑が引き続き上値を抑えた。一方、国債買い入れオペで需給の引き締まりが確認できたことは下支え要因となった。
7月利上げの経済面からの根拠には説得力あり=MSMUFG
モルガン・スタンレーMUFG証券では、ベースケースとして、9月や10月よりも、日銀が7月の会合で政策金利を0.1%から0.25%に利上げする可能性の方が高いとみている。7月会合前に得られた重要なデータは物価の基調が先行き上昇する可能性を示唆していると捉えており、7月利上げの経済面からの根拠には説得力があると考えている。また、7月利上げに伴ってドル円が下落する場合、株式市場では、相対的に円高耐性が強い食料品や小売りセクターの物色が強まる可能性が高いと考えている。
米個人消費の底堅さを示した6月の小売売上高=東海東京
東海東京インテリジェンス・ラボでは、16日に発表された米国の6月の小売売上高が前月比横ばい(0.0%)となったことに注目している。米小売売上高に関しては、昨年終盤から金額ベースでほとんど増えておらず、「頭打ち」に近い状態が続いているとのこと。米国の個人消費は強くはない。かといって「底割れ」している状況にはない。個人消費の「底割れ」あるいは景気後退を回避しつつ、米利下げサイクルの開始が実現するのであれば、それは今の米株市場にとって最良のシナリオになると、東海東京では考えている。
株価指数先物【引け後】 日米ともに主要企業の決算に振らされやすい
大阪9月限
日経225先物 39540 +60 (+0.15%)
TOPIX先物 2829.0 +4.5 (+0.15%)
日経225先物(9月限)は前日比60円高の3万9540円で取引を終了。寄り付きは3万9950円と、シカゴ日経平均先物の清算値(3万9950円)にサヤ寄せする形で、買いが先行した。ただし、ナイトセッション同様、節目の4万円接近では上値の重さが意識され、寄り付きを高値に利食いに伴うロング解消や、戻り待ち狙いのショートが優勢となった。前場中盤は3万9700円~3万9800円辺りでの値動きとなったが、前場終盤にかけて上げ幅を縮め、後場の取引開始直後には一時3万9510円まで軟化した。
指数インパクトの大きいアドバンテスト <6857.T> [東証P]や東京エレクトロン <8035.T> [東証P]が日経平均株価を牽引する一方で、ソフトバンクグループ <9984.T> [東証P]、ファーストリテイリング <9983.T> [東証P]が重荷となった。また、自民党の茂木敏充幹事長が22日講演で、「日銀は利上げの検討も含め金融政策の正常化方針を打ち出す必要性がある」と語ったと伝わり、金融政策決定会合を来週に控えて、為替市場で円相場が円高に振れていたことも持ち高調整に向かわせたようだ。
日経225先物は4万0100円近辺に位置する25日移動平均線が上値抵抗線として意識されたが、寄り付き時点で3万9950円を付けた後は、4万円処を狙ったロングの動きはみられなかった。反対に前日のナイトセッションの安値水準での攻防となるなか、3万9500円辺りでの底固めが意識されている。
23日の米国市場ではNXPセミコンダクターズ<NXPI>の時間外の下落の影響が警戒されるなか、グローベックスの主要な米株先物はマイナス圏で推移している。また、アルファベット<GOOG>、テスラ<TSLA>、テキサス・インスツルメンツ<TXN>などの決算発表が予定されている。大型テック株やハイテク株の決算内容がネガティブ視されるようだと、積極的にポジションを傾けてくる動きは限られよう。
そのため、オプション権利行使価格の3万9500円を中心とした75日線近辺の3万9000円から4万円辺りでのレンジ推移が想定されやすい。週足では13週線が3万9190円、26週線が3万8880円辺りに位置しており、目先的には13週線辺りを狙ったショートが入りやすいと考えられる。
NT倍率は先物中心限月で13.97倍と横ばいだった。朝方は指数インパクトの大きい値がさハイテク株が買い先行で始まったこともあり、14.03倍を付ける場面もみられた。ただし、その後は業績の上方修正を発表した日本郵船 <9101.T> [東証P]が急伸し、他の海運株も買われるなど、相対的にTOPIX型優位の展開となった。なお、取引終了後にニデック<6594.T> [東証P]が2025年3月期第1四半期(4-6月)決算発表と併せて、25年3月期通期予想を上方修正した。また、1株を2株に分割を発表しており、日経平均型を支えてくる可能性がありそうだ。
手口面(9月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が3万2451枚、ソシエテジェネラル証券が1万5745枚、サスケハナ・ホンコンが9129枚、楽天証券が2570枚、バークレイズ証券が2091枚、SBI証券が1826枚、JPモルガン証券が1602枚、日産証券が1134枚、松井証券が945枚、ゴールドマン証券が911枚だった。
TOPIX先物は、ABNクリアリン証券が1万9114枚、ソシエテジェネラル証券が1万6072枚、サスケハナ・ホンコンが3688枚、バークレイズ証券が3626枚、モルガンMUFG証券が2873枚、
JPモルガン証券が2552枚、ビーオブエー証券が2288枚、ゴールドマン証券が1483枚、みずほ証券が1178枚、野村証券が941枚だった。
NY為替見通し=ドル円、日銀利上げ警戒感で上値重いか
本日のNYタイムでは6月米中古住宅販売件数や7月リッチモンド連銀製造業指数などの発表が予定されているが、大きな手がかりにはなりにくくドル円は基本的に米長期金利や米株の動向を睨んだ動きが予想される。最近の円相場はボラティリティが大きくなっており、新規材料が乏しくても既存の手がかりが蒸し返されたり、要人発言一つでドル円は神経質な動きになりやすい。
来週の30-31日に日銀金融政策決定会合を控えているが、ここに来て利上げ警戒感が高まりつつあり、日銀の金融政策イベントもドル円の上値を圧迫しそうだ。今月に入って河野デジタル相が日銀に利上げを要求したと伝わり、円買い要因の一つとなり、同氏は先週末の閣議後会見で政府による日銀への圧力と捉えかねない点について火消しに回ったが、昨日は自民党の茂木敏充幹事長が「段階的な利上げの検討も含めて金融政策を正常化する方針をもっと明確に打ち出す必要がある」と述べたと伝わった。自民党の次期総裁候補と言われる人たちの異例の発言は、輸入物価上昇の誘因とされる超低金利政策を続ける日銀への政治的不満が高まっていることや国民世論が円安対策として利上げを求めていることを示唆している。
日銀の7月会合での利上げを織り込む動きはまだ限定的で、利上げ見送りが主流となっているが、先週末に発表された6月消費者物価指数では、生鮮食品とエネルギーを除いたいわゆるコアコアでもインフレ率の下げ止まりが確認された。足元で弱めの個人消費が追加利上げに踏み切るかどうかの判断を複雑化させており、7月日銀会合関連のヘッドラインに要注意だ。
・想定レンジ上限
ドル円、本日これまでの高値157.10円や昨日の高値157.61円が上値めど。
・想定レンジ下限
ドル円、18日安値155.38円や6月5日安値154.80円が下値めど。
中国は5%成長目標の達成に黄信号=大和総研
大和総研では、中国の2024年4-6月の実質GDP成長率が前年同期比4.7%となったことを受けて、このまま景気減速が続けば、2024年の政府成長率目標5.0%前後の達成は困難と指摘している。中国政府は景気てこ入れ策を強化してくる可能性が高いが、打てる手は、製造業投資やインフラ投資増強、あるいは消費刺激策の拡充が中心になるとみている。前者は過剰生産能力のさらなる深刻化や投資効率の低下を招きかねない。後者はクーポン配布などの効果は一過性のものにとどまり、補助金政策は需要先食いという副作用が付きまとう。これらの点から、仮に2024年は5%成長を達成できたとしても、そのツケは後年支払うことに注意が必要と大和総研ではコメントしている。
NY株見通し-上値の重い展開か 決算発表はコカ・コーラ、GM、UPSなど
今晩は上値の重い展開か。昨日はバイデン米大統領が11月の米大統領選から撤退し、カマラ・ハリス副大統領が民主党の有力候補となったことで、トランプ元大統領の再選を見越した「トランプ・トレード」が巻き戻され、エネルギー株が下落したものの、半導体株を中心にハイテク株が買い戻されたほか、メガ・キャップからの資金ローテーションが続く小型株も上昇した。ダウ平均は127.91ドル高(+0.32%)と3日ぶりに反発し、S&P500とナスダック総合はそれぞれ1.08%高、1.58%高と4日ぶりに反発した。小型株指数のラッセル2000も1.66%高と4日ぶりに反発した。
今晩は米国経済のソフトランディング期待や先行きの利下げ期待が下値支援となることが期待されるものの、昨日の上昇の反動や、引け後のアルファベットやテスラの決算発表を控えた様子見が強まることが予想され、上値の重い展開か。寄り前に発表される6月中古住宅販売件数などの経済指標やコカ・コーラ、ゼネラル・モーターズ(GM)、ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)などの決算発表をにらんだ神経質な展開となりそうだ。
今晩の米経済指標・イベントは6月中古住宅販売件数、7月リッチモンド連銀製造業総合指数、同サービス業売上高指数など。企業決算は寄り前にコカ・コーラ、フィリップモリス、GM、UPS、フリーポート・マクモラン、GEエアロスペース、ロッキード・マーチン、引け後にアルファベット、テスラ、ビザなどが発表予定。
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