7-9月期GDPNow、+2.9%と前回から上方修正 アトランタ連銀
アトランタ連銀が発表した米国の国内総生産(GDP)成長率の現時点予測である7-9月期GDPNowは+2.9%と前回の+2.5%から引き上げられた。
7-9月期GDPNow、+2.9%と前回から上方修正 アトランタ連銀
アトランタ連銀が発表した米国の国内総生産(GDP)成長率の現時点予測である7-9月期GDPNowは+2.9%と前回の+2.5%から引き上げられた。
日経平均株価テクニカル分析-長い陽線で強く戻った印象、あすはマド埋めか反落か
日経平均株価は大幅反発。終値ベースの上昇幅は3217円と歴代最大の上げ幅を記録した。前日の長大陰線にはらむ長い陽線を形成し、強く戻った印象である。
RSI(9日)は前日の13.0%→33.7%(8/6)に上昇。再びボトムアウトとなった。5日移動平均線(35854円 8/6)が上値抵抗になりうるが、上方のマド埋めと同時に5日移動平均線を終値で超えられるかが目先の焦点となる。きょうの長い陽線の反動安(より短い陰線)なども想定しておきたい。
前日までの急落を通じて、週足の一目均衡表では雲の下限(32748円 同)を下回っており、週間終値ベースで雲の上限(35189円 同)以上に戻せるかが焦点となる。52週移動平均線(35994円 同)上も回復できれば、一時的に38000円処まで伸びる可能性が高まる。
月足では、36カ月移動平均線(31044円 同)付近から反発、2020年3月安値(16358円)を起点として2023年1月安値(25661円)を通る上昇トレンドライン付近から反発する格好となった。月間終値までこの状況を保てるかが重要で、36カ月移動平均線や上昇トレンドラインを割り込むとネガティブな判断となる。
日足ベースの上値メドは、8/2安値(35880円)、200日移動平均線(36866円 同)、8/1安値(37737円)~心理的節目の38000円、75日移動平均線(38825円 同)などが考えられる。下値メドは、8/5安値(31156円)、2023年10/4安値(30487円)や心理的節目の3万円、心理的節目29500円や29000円、2023年3/9高値(28734円)などがある。
米3年債入札、最高落札利回り3.810% 米財務省
米財務省によると、3年債入札(ダッチ方式)の落札結果は最高落札利回りが3.810%、応札倍率(カバー)が2.55倍となった。
欧州マーケットダイジェスト・6日 株高・金利上昇・円強含み
(6日終値:7日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=145.33円(6日15時時点比▲0.49円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=158.79円(▲0.82円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0926ドル(▲0.0020ドル)
FTSE100種総合株価指数:8026.69(前営業日比△18.46)
ドイツ株式指数(DAX):17354.32(△15.32)
10年物英国債利回り:3.920%(△0.051%)
10年物独国債利回り:2.201%(△0.010%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
7月スイス失業率
2.3% 2.3%
6月独製造業新規受注
(前月比) 3.9% ▲1.7%・改
(前年比) ▲11.8% ▲8.7%・改
6月スイス小売売上高
(前年同月比) ▲2.2% ▲0.2%・改
7月英建設業購買担当者景気指数(PMI)
55.3 52.2
6月ユーロ圏小売売上高
(前月比) ▲0.3% 0.1%
(前年比) ▲0.3% 0.5%・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は弱含み。米景気減速懸念などを背景としたリスク回避姿勢の強まりや日銀の追加利上げ観測を受けて強まった円買い・ドル売りの流れは一服したものの、戻りは限定的だった。ナイト・セッションの日経平均先物が大証終値比1410円安の3万2830円まで下落すると円買い・ドル売りが入り一時144.05円付近まで下押しした。
ただ、アジア時間に付けた日通し安値143.63円が目先サポートとして働くと下げ渋った。米国株相場が堅調に推移したうえ、米長期金利の指標となる米10年債利回りが3.90%台まで上昇すると円売り・ドル買いがじわりと強まった。2時前には145.42円付近まで下げ幅を縮めた。
・ユーロドルは下げ渋り。米長期金利の上昇に伴うユーロ売り・ドル買いが出たほか、6月ユーロ圏小売売上高が予想を下回ったことが相場の重しとなり、20時30分前に一時1.0904ドルと日通し安値を付けたものの、前日の安値1.0893ドルが目先サポートとして働くと下げ渋った。24時前には1.0935ドル付近まで下値を切り上げた。
・ユーロ円はドル円と似た動き。日経平均先物の大幅下落を受けて円買い・ユーロ売りが入ると一時157.30円と日通し安値を付けたものの、米国株が堅調に推移すると徐々に買い戻しが優勢に。2時前には158.91円付近まで下値を切り上げた。
・ロンドン株式相場は4日ぶりに反発。前日まで3日連続で下落しており、自律反発期待の買いが入った。7月英建設業購買担当者景気指数(PMI)が予想を上回ったことも相場を下支えした。ロールス・ロイス・ホールディングスやメルローズ・インダストリーズなど資本財サービス株が買われた半面、セグロやユナイト・グループなど不動産株が売られた。
・フランクフルト株式相場は4日ぶりに小反発。足もとで相場下落が続いたあとだけに短期的な戻りを期待した買いが入った。米国株相場の上昇も相場を下支えした。ただ、6月ユーロ圏小売売上高が予想を下回ったことは相場の重し。個別ではシーメンス・エナジー(3.34%高)やSAP(2.31%高)、コンチネンタル(2.18%高)などの上昇が目立った。
・欧州債券相場は下落。米債安につれた。
NYマーケットダイジェスト・6日 株反発・金利上昇・円底堅い
(6日終値)
ドル・円相場:1ドル=144.34円(前営業日比△0.16円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=157.79円(▲0.11円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0931ドル(▲0.0021ドル)
ダウ工業株30種平均:38997.66ドル(△294.39ドル)
ナスダック総合株価指数:16366.86(△166.78)
10年物米国債利回り:3.89%(△0.10%)
WTI原油先物9月限:1バレル=73.20ドル(△0.26ドル)
金先物12月限:1トロイオンス=2431.6ドル(▲12.8ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
6月米貿易収支
731億ドルの赤字 750億ドルの赤字・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は6日ぶりに小反発。本日の東京株式市場では前日5日に過去最大の下落幅となった日経平均が大幅に反発し過去最大の上げ幅を記録。投資家の過度なリスク回避姿勢が和らぎ、円売り・ドル買いが出た。東京市場では一時146.36円まで上昇する場面があった。
ただ、NY市場では戻りの鈍さが目立った。ナイト・セッションの日経平均先物が大証終値比1410円安の3万2830円まで下落したことなどが相場の重しになると、一時144.05円付近まで下押しした。米長期金利の指標となる米10年債利回りが3.90%台まで上昇すると、2時前に145.42円付近まで持ち直す場面もあったが、戻りは限定的。引けにかけては144.17円付近まで押し戻された。
・ユーロドルは3日ぶりに反落。米長期金利の上昇に伴うユーロ売り・ドル買いが出たほか、6月ユーロ圏小売売上高が予想を下回ったことが相場の重しとなり、20時30分前に一時1.0904ドルと日通し安値を付けた。
ただ、前日の安値1.0893ドルが目先サポートとして働くと下げ渋った。24時前には1.0935ドル付近まで下値を切り上げた。
・ユーロ円は小幅ながら8日続落。ドル円と同様に東京市場では160.22円まで買われたが、NY市場では日経平均先物の大幅下落を受けて一時157.30円と日通し安値を付けた。米国株相場が上昇すると買い戻しが優勢となり、2時前に158.91円付近まで持ち直したものの、買い戻しの勢いは長続きしなかった。取引終了間際には157.58円付近まで押し戻された。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は4日ぶりに反発。足もとで相場下落が続いたあとだけに短期的な戻りを期待した買いが優勢となった。これまで下げがきつかった半導体関連などハイテク株に買いが集まると、指数は一時740ドル超上昇する場面があった。ただ、米景気減速への懸念から戻りを売りたい向きも多く、引けにかけては急速に伸び悩んだ。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も4日ぶりに反発した。
・米国債券相場で長期ゾーンは下落。本日の日米株価指数がひとまず反発したことで、投資家のリスク回避姿勢が後退。相対的に安全資産とされる米国債に売りが出た。
・原油先物相場は反発。日経平均株価をはじめ、米国株も大きく反発したことで投資家のリスク回避姿勢が和らぎ、リスク資産を買い戻す動きが出た。
・金先物相場は3日続落。米長期金利が上昇したことで金利がつかない金の魅力低下から売りが優勢となった。
6日の主な要人発言(時間は日本時間)
6日06:16 デイリー米サンフランシスコ連銀総裁
「労働市場は比較的堅調」
「経済はここ数カ月減速している」
「今後の会合で利下げにオープン」
「次の雇用統計の内容を注視」
「FRBは雇用最大化と物価安定の目標達成のため何でもする」
「政策金利は調整が必要、次期と規模はデータ次第」
6日10:18 鈴木財務相
「日銀の政策転換が金利・財政・経済に与える影響、注意深く見てゆく必要がある」
「実質賃金のプラス転換は『着実に改善している姿』」
「賃金・投資面で日本経済に明るい兆し、前向きな動きを後押しし力強い成長につなげる」
「現状を冷静に判断するとともに日銀とも連携しつつ、経済財政運営に万全を期す」
6日11:02 岸田首相
「日銀と連携して経済財政運営を進める」
6日11:18 林官房長官
「為替市場の動向をしっかり注視」
「(実質賃金27カ月ぶりプラスで)賃上げの明るい動きが明確になってきた」
6日13:33 オーストラリア準備銀行(RBA)声明
「基調的インフレ率は依然として過度に高水準にある」
「インフレ率が持続的にターゲットレンジ内に収まるまでには今暫く時間を要する見通し」
「データはインフレ率の上振れリスクに対する警戒の必要性を裏付けており、理事会はいかなる選択肢も排除せず」
「インフレ率が持続可能な形でターゲットレンジに向かって収束していると確信できるまで、金融政策は十分に引き締め的である必要」
「経済見通しは不透明」
「最近のデータはインフレを目標に戻すプロセスが遅く、困難を極めていることを示している」
「サービス部門におけるインフレの持続は、インフレに上振れリスクがあることを示唆」
「中国経済の見通しは軟化しており、商品価格に反映」
6日14:40 ブロックRBA総裁
「理事会では利上げを検討した」
「政策金利の水準は、CPIと雇用のバランスという意味で適切」
「インフレの進展はここ1年遅い」
「インフレの軌道修正が必要」
「金利はより長く高止まりする必要があるかもしれない」
「利下げは当面の議題ではない」
「今後6カ月で利下げとの市場の見方、理事会と一致せず」
「市場の期待は少し先走りすぎている」
6日15:42 三村財務官
「(三者会合)経済金融市場の動向を緊張感持って見極めていくことで一致」
「政府と日銀との間で緊密に連携を確認」
「日本経済は緩やかに回復していく見通しに変わりはない」
「為替相場の動向、しっかり注視していくことに尽きる」
7日03:59 ホワイトハウス
「経済チームは現在の状況を継続的に監視していく」
「経済にはある程度の変動が見られたが、経済全体としては回復力がある」
※時間は日本時間
7日のイベントスケジュール(時間は日本時間)
<国内>
○08:50 ◇ 7月外貨準備高
○10:30 ◎ 内田日銀副総裁、金融経済懇談会で会見
○14:00 ◇ 6月景気動向指数速報値(予想:先行108.8/一致113.8)
<海外>
○07:45 ◎ 4-6月期ニュージーランド(NZ)失業率(予想:4.7%)
◎ 就業者数増減(予想:前期比▲0.2%/前年比横ばい)
○未定 ◎ 7月中国貿易収支(予想:990.0億ドルの黒字)
○15:00 ◎ 6月独鉱工業生産(予想:前月比1.0%/前年同月比▲4.2%)
○15:00 ◇ 6月独貿易収支(予想:235億ユーロの黒字)
○15:45 ◇ 6月仏貿易収支
○15:45 ◇ 6月仏経常収支
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○23:00 ◇ 7月カナダIvey購買部協会景気指数
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○8日02:00 ◎ 米財務省、10年債入札
○8日04:00 ◇ 6月米消費者信用残高(予想:100.0億ドル)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
株価指数先物【寄り前】 過度なリスク回避姿勢は和らぐ
大阪9月限ナイトセッション
日経225先物 33400 -840 (-2.45%)
TOPIX先物 2356.0 -51.5 (-2.13%)
シカゴ日経平均先物 33605 -635
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
6日の米国市場は、NYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が上昇。6日の東京市場で日経平均株価が10%を超える上昇をみせたほか、欧州市場でドイツDAX指数、英FTSE100指数が小幅ながら反発し、米国市場でも自律反発の買いが優勢となった。エヌビディア<NVDA>が3.7%超上昇し下げのきつかったハイテク株を牽引したほか、アマゾン・ドット・コム<AMZN>やマイクロソフト<MSFT>など大型テック株も買われた。
米国のリセッション(景気後退)懸念が世界の株式市場を揺るがしているが、為替市場では急激な円高・ドル安が一服しており、持ち高の過剰な圧縮は一巡したとの見方につながった。S&P500業種別指数はテクノロジー・ハード・機器、食品・飲料・タバコの2セクターが小幅に下落した一方で、運輸、不動産、半導体・同製造装置、消費者サービス、各種金融の強さが目立った。
シカゴ日経平均先物(9月限)清算値は、大阪比635円安の3万3605円だった。日経225先物(9月限)のナイトセッションは日中比290円安の3万3950円で始まり、直後に付けた3万4100円を高値にロング解消の展開となり、3万2830円まで売られた。売り一巡後は3万3000円~3万3600円辺りで保ち合いを継続。米国市場の取引開始後にレンジを上放れ、3万4000円を回復する場面もみられたが買いは続かず、終盤にかけて下げ幅を広げ、3万3400円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、売り優勢で始まりそうだ。6日の日中取引で自律反発が強まり、2860円高と記録的な上昇となったこともあり、ロングの解消が入りやすいところだろう。ただし、連鎖的な世界株安がいったん止まったこともあり、売り一巡後は底堅さを見極めつつ、押し目狙いのロング対応に向かいそうである。
日経225先物は下向きで推移するボリンジャーバンドの-2σ(3万3600円)辺りが心理的な抵抗線として意識されやすい。-3σ(3万0890円)とのレンジ推移だが、自律反発とはいえ米国株が反発したことで、下へのバイアスが強まる展開は落ち着きそうである。そのため、まずは3万3000円固めを見極めることになりそうだ。下値の堅さがみられてくるようだと、-2σ突破から節目の3万5000円処をターゲットとしたスキャルピング中心のロングに向かいやすいだろう。
そのため、オプション権利行使価格の3万3000円から3万5000円のレンジを想定する。週足のボリンジャーバンドでは-2σが3万4590円辺りで推移しており、これを捉えてくると、ボトム形成の意識が高まりやすいと考えられる。
昨日のNT倍率は先物中心限月で14.22倍に低下した。5日には一時14.69倍まで上昇したが、昨日は13.65倍まで低下し、昨年10月下旬以来の水準まで下げる場面もみられた。その後は14.00倍~14.20倍水準での推移となった。本日は米ハイテク株が買われた流れにより、NTロングに振れやすいとみられるが、大きく放れる局面ではその後のレンジ内への収束を想定した動きがありそうだ。
6日のVIX指数は27.71(前日は38.57)に上昇した。終盤に一時24.02まで切り下がる場面もみられた。依然として20.00を上回ってはいるものの、過度なリスク回避姿勢は和らぐ形であり、押し目でのロングに向かわせやすいだろう。
東京為替見通し=ナンピンのドルロング切れず、想定為替レート接近でドル円は上値重いか
昨日の海外市場でのドル円は、ナイト・セッションの日経平均先物が大証終値比1410円安の3万2830円まで一時下落したことなどが相場の重しになると、一時144.05円付近まで下押しした。米10年債利回りが3.90%台まで上昇すると、145.42円付近まで持ち直す場面もあったが、戻りは限定的。ユーロドルは1.09ドル前半で小幅な値動きだった。
本日の東京市場でも引き続き荒い値動きが予想されるが、ドル安・円高の中期的なトレンドは変わらないか。
今回のドル円の売りトレンドを決定づけたのが、7月31日の日銀政策決定会合での政策金利引き上げと国債買い入れの減額、及び植田日銀総裁のタカ派発言がきっかけだった。そして、その後は米雇用統計の悪化、株式市場の暴落などもあり、更にドル売り圧力が高まった。クロス円の値動きを見ても分かるようにドル売りトレンドだけではなく、円買いトレンドが強い。この流れが変わらないとする要因は複数あるが、市場がドルロングを切れていない点、本邦の想定為替レートに近づいている点、日米中央銀行の方向性の違いなどの3点があげられる。
ドルの上値を抑える1つ目の要因は、先月31日の日銀の結果発表前から緩やかながらドル円が弱含む中で、市場参加者はドル買い・円売りトレンドを信じ、ドルのロングポジションを抱えたままでいたことが挙げられる。31日の決定会合直後は151.64円まで下落すると「オーバーシュート」「売られすぎ」の声が出始め、ドルが下がるたびに根拠のない「売られすぎ」の声が増え、5日には141.70円まで下げ幅を拡大した。
そもそも、「オーバーシュート」や「売られすぎ」の声が多く出るのは、31日の日銀政策決定会合や米雇用統計後のドル売り相場への反転についていけなかった市場参加者の声を代弁している。大幅なドル安の反動は、昨日6日には、上述の151.64円と141.70円の半値に当たる146.67円に迫る146.36円まで戻したことで、買い戻し水準的にある程度達成したとも言えるかもしれない。依然として短期的なポジションを持っている市場参加者はナンピンを繰り返していることで、売り逃げきれていないこともあり、ドル円は当面は上値が重くなると予想される。
ドル円の上値を抑える2つ目の要因として、本邦実需勢の想定為替レートに近づき、ドル売り圧力が高まることだ。7月1日に日銀短観で発表された全規模・全産業が想定する2024年度の為替レートはドル円が144.77円、ユーロ円が155.40円だった。また、大規模・製造業はドル円が142.68円、ユーロ円が153.73円となっている。それぞれ3月時点の調査よりも大幅に円安に設定レートを変更し、僅か1カ月超ですでに想定為替レートに近い水準まで円高が進んでしまっている。今回の円高相場で多くの企業の為替予約が後手となってしまったこともあり、想定為替レートに近いことで手堅く円買いに動くことになりそうだ。
3点目としては、日銀がタカ派に傾いたのとは逆に、米国の利下げ圧力が高まっていること。一部では度重なる政府与党からの圧力に屈したことによる7月の利上げとの声もあるが、植田日銀総裁は株価の乱高下について閉会中審査の出席も求められている。しかし、今更方針を戻すことは考えにくく、日銀のタカ派姿勢が崩れるのは考えづらい。
一方で米国の利下げ期待は高まっている。CMEのフェドウォッチによれば、9月米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.50%利下げ織り込み度は昨日の85%から71.5%まで低下したとはいえ、1週間前の1割台からの
大幅上昇は変わらず。今後の米経済指標の結果次第では、0.50%の利下げ圧力は強まりそうだ。このような日米の金融政策の方向性の違いが、ドルの頭を抑えることになるだろう。
また、昨晩の日経平均先物が下落していることや、中東情勢がさらに悪化していることなど、様々なドル円の売り要因もあることも見落とすことはできないだろう。
なお、本日は本邦の7月外貨準備高が発表され、先月の為替介入の実績を把握することが出来る。午後には6月の景気一致及び先行指数・速報値も発表される。しかしながら、円安相場からすでに転換しているため、介入実績に対しての市場の反応は限られるだろう。6月の景気指数については、今回の株の乱高下などが組み入れられておらず、市場の反応は限定されるか。
ほか、早朝発表されたニュージーランドの雇用指数以外には中国の貿易収支が発表されるが、市場の焦点は引き続き株式市場などの動向が中心となりそうだ。
【よろずのつぶやき by Wada】後始末
本日の海外市場も含めたメインイベントであった内田日銀副総裁の講演と会見。10時30分から日銀としての本意が報じられると、ドル円は一気に147.48円まで本日安値からは3円を超える急騰。日経平均も900円を超える下落から始まったわけですが、一時1200円近い急上昇へと転換していきました。
昨日の3者会合が発表になった時点で、その本源的重要性を理解していた市場参加者からすれば「必然的な結果」となっているとも言え、昨日の会合の時点で、本日寄付きから日経平均に持ち込まれた不自然な本邦機関投資家からと思われる大量の買いも、現在の日銀内でのキーパーソンとして知られる内田副総裁の発言もまた、容易に想像が出来たといったところ。
世界中の金融市場の混乱を引き起こした日本当局としては、自らの責任において壊れた市場を鎮静化させる必要があったわけで、ましてや、市場が今回の日銀の利上げを問題視しているわけではなく、あくまでも、政治的圧力の影響からか、植田日銀総裁が極めて深刻な市場とのコミュニケーションエラーの状態となっていることへの修正が必至だったのは言うまでもありません。
内田副総裁の発言は、先週の日銀会合前までの市場が認識していた日銀の基本姿勢を改めて表明していますが、いずれにしても、今回の騒動の後始末が始まっているといったところです。
株価指数先物【昼】 5日の急落局面で残した大陰線を埋める
日経225先物は11時30分時点、前日比1100円高の3万5340円(+3.21%)前後で推移。寄り付きは3万3430円と、シカゴ日経平均先物の清算値(3万3605円)を下回り、売り先行で始まった。ただし、直後に付けた3万3220円を安値にロングの勢いが強まり、中盤にかけてプラス圏を回復。買い一巡後は3万4000円~3万4500円辺りでの保ち合いとなったが、終盤にかけてレンジを大きく上放れ、一時3万5850円まで上げ幅を広げた。
日経225先物は売り一巡後にリバウンドを強めており、5日の急落局面で残したチャート上の大陰線を埋めてきた。週足チャートでは3万5780円辺りで推移している52週移動平均線を上回る場面もみられた。日銀の内田真一副総裁は講演で、「金融資本市場が不安定な状況で利上げをすることはない」と述べたと伝わったことが材料視されたようだ。為替市場では円相場が一時1ドル=147円台と円安に振れるなか、先物市場ではロングの動きが強まった。なお、日経225先物は52週線までのリバウンドにより、自律反発の流れとしては達成感が意識されてきそうであり、同線突破を見極めたいところであろう。
NT倍率は先物中心限月で14.10倍に低下した。14.19倍を付ける場面もみられたが、同水準で推移している200日線に上値を抑えられた。その後は内田副総裁の発言を受けてTOPIX型のインデックス買いが目立つなか、一時13.99倍に低下した。14.00倍~14.20倍辺りでのレンジ推移が続いており、スプレッド狙いのトレードは限られそうだ。
ロンドン為替見通し=ユーロドル、方向感模索の動きが続くか
本日のロンドン市場では、ユーロドルは前日に引き続き米長期金利のほか、欧米株価の動向を通して方向感を模索する展開が見込まれる。
5日にユーロドルは一時1.10ドル台に乗せたが、先週末に発表された弱い米雇用統計をきっかけとして米景気減速が懸念され、米長期金利の低下とともにドルが売られたものによる。ただ、その後はドル、ユーロともに手掛かり材料難のなかで、主に1.09ドル台前半でのもみ合いが続いた。
本日午前の東京市場では、時間外の米10年債利回りが一時3.91%に上昇したことでユーロドルは小緩んだが、内田日銀副総裁のハト派的発言を受けて安く始まった日経平均が大幅に反発してユーロ円が大きく上昇した事もあり、昨日安値1.0904ドルを前に下げ渋る動きとなった。
本日は独で鉱工業生産や貿易収支が、仏では貿易収支や経常収支がそれぞれ発表されるものの、通常は為替相場の大きな動意につながりにくい。今週この後はユーロ圏のみならず米国でも目玉となりそうな経済イベントが見当たらないこともあり、ユーロドルは積極的には売買しづらい空気が漂う中で、株価や米長期金利をながめつつ方向感を模索する展開が見込まれる。
テクニカル面では、ユーロドルは足もとでこう着を強める中、まずは昨日のレンジ(1.0904ドル-1.0963ドル)を上下どちらにブレイクするか注目したい。上抜けた場合は5日高値1.1008ドルに向けた一段高が、下抜けた場合は日足・一目均衡表の基準線1.0872ドルに向けた続落も考えられる。
想定レンジ上限
ユーロドル:6日高値1.0963ドル、超えると5日高値1.1008ドル。
想定レンジ下限
ユーロドル:6日安値1.0904ドル、割ると日足・一目均衡表の基準線1.0872ドル。
東京マーケットダイジェスト・7日 円大幅安、株高
(7日15時時点)
ドル円:1ドル=146.95円(前営業日NY終値比△2.61円)
ユーロ円:1ユーロ=160.31円(△2.52円)
ユーロドル:1ユーロ=1.0909ドル(▲0.0022ドル)
日経平均株価:35089.62円(前営業日比△414.16円)
東証株価指数(TOPIX):2489.21(△55.00)
債券先物9月物:144.96円(△0.06円)
新発10年物国債利回り:0.875%(▲0.010%)
ユーロ円TIBOR3カ月物:0.24600%(横ばい)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
7月外貨準備高
1兆2191億ドル 1兆2315億ドル
6月景気動向指数速報値
先行指数 108.6 111.2
一致指数 113.7 117.1
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は買い優勢。144円台後半を中心とするレンジ内で朝方から底堅く推移していたが、内田日銀副総裁の発言をきっかけに相場は急伸した。日銀副総裁が「金融市場が不安定な状況で利上げをすることはない」との見解を示すと円が全面安となり、一時147.90円まで大きく上昇。もっとも、その後は急ピッチで値を上げた反動から146円台後半まで持ち高調整売りに押された。
・ユーロ円も買い優勢。円全面安の流れに沿って一時161.42円まで上値を伸ばした。その後はドル円と同じく調整売りが入り、159.90円台まで上値を切り下げている。
・ユーロドルは小安い。対円でのドル高進行に伴って1.0906ドルまで弱含んだ。
・日経平均株価は続伸。連日で値幅を伴った荒い値動きが続くなか、本日も前場で900円超安まで下げた後、1200円近く上昇するなど上下に振らされた。内田日銀副総裁の発言が伝わり、外国為替市場で円安・ドル高が進んだことが買い戻しを誘った要因。ただ、戻り待ちの売りと値ごろ感に着目した買いが交錯する状況が続いており、買いの勢いも続かなかった。
・債券先物相場は反発。前日終値を挟んで上下する不安定な値動きとなった。昨日の米国債券相場が下落した流れを引き継いで144円55銭まで弱含む場面もあったが、その後は買い戻しが優勢に。内田日銀副総裁の発言を手掛かりに一時145円43銭まで上昇した。もっとも、引けにかけては再び終値付近まで押し戻された。
日経平均の年末株価のメドを4万円に引き下げ~大和
大和証券では、従来、日経平均の2024年末のメドを45000円としていたが、円高進行などを考慮して下方修正している。想定PERを24年の予想PER平均値である16.5倍に引き下げた。メーンシナリオでは、緩やかに米景気見通しが持ち直し、国内企業ファンダメンタルズも保たれると想定。24年内のドル円想定は140円~150円としており、中央値である145円想定時のEPSと予想PER16.5倍により、年内40000円、25年3月末を41000円と変更している。下値メドは、FRBが大幅利下げを行いドル円が130円になるリスクシナリオを想定。ドル円130円想定時の予想EPSと予想PER13倍から下値メドを29000円としており、年内のレンジは29000円~40000円を想定している。
【市場の目】トルコリラは再びジリ安に、その背景にある材料を考える
第一生命経済研究所経済調査部主席エコノミスト・西?M徹氏
トルコリラは再びジリ安に、その背景にある材料を考える
市場環境悪化と投資妙味の乏しさに加え、中東情勢を巡るエルドアン大統領の「動き」にも要注意
トルコリラ相場は、昨年の大統領選後の内閣改造を経た正統的な政策運営を受けて調整が続いた流れに変化の兆しが出てきた。さらに、足下ではインフレの頭打ちが確認されるとともに、中銀も直近の定例会合で引き締め姿勢を堅持する考えを示し、主要格付機関も格上げに動くなど対外的な評価は着実に向上している。ただし、国際金融市場では米ドル高が一服しているにも拘らず、足下のリラ相場は再びジリ安の動きを強めて最安値を更新する展開をみせる。中銀の引き締め維持も実質金利は大幅マイナスで推移するなど投資妙味が乏しく、中東情勢を巡る不透明感が高まるなかでのエルドアン大統領の立ち位置がリラ相場の足かせとなっているほか、国際金融市場の混乱もリラ相場の足かせになっているとみられる。当面のリラ相場は市場環境に加えて中銀の忍耐、そして、エルドアン大統領が政策運営や中東情勢を巡ってさらなる「不規則な」発言や対応を抑えられるか否かに掛かっている状況は変わっていないと捉えられる。
当面の米国株は上値の重い展開か~みずほ
みずほ証券では米国株相場に関して、当面は上値の重い展開になると予想している。米国企業の4-6月期決算発表が一巡して材料不足となる中で、米国景気の減速懸念がさらに強まった場合、S&P500指数の下値メドとしては、7月16日に付けた高値(5667ポイント)から調整局面入りとされるマイナス10%の水準である5100ポイントや、200日移動平均線の5011ポイント(8月5日時点)に近い水準の5000ポイントなどを挙げている。
中国の7月米ドル建て輸出は7%増、市場予想から下振れ
中国の税関総署が7日に発表した2024年7月の米ドル建て貿易統計は、輸出が前年同月比7.0%増となった。市場予想(9.7%増)から下振れし、前月の8.6%増から減速した。半面、輸入は7.2%増となり、市場予想(3.5%増)を上回った。前月は2.3%減だった。貿易黒字は846億5000万米ドルと市場予想の990億米ドルを下回った。
人民元建てでは、輸出が6.5%増、輸入が6.6%増。前月実績はそれぞれ10.7%増、0.6%減だった。貿易黒字は6019億元。
【相場の細道】植田日銀総裁が鳴らす「円キャリートレード」閉幕のベル
「パーティーが盛り上がり始めたら、参加者から不満が出てもパンチボウル(酒が入ったボウル)をさっさと片付けるのがFRBの仕事だ」(マーティン第9代FRB議長)
黒田第31代日銀総裁が主導していた「異次元の量的金融緩和政策」による「円・キャリートレード」は、円の流動性の大量供給により、世界の資産市場を押し上げてきた。
国際決済銀行(BIS)のデータによると、2021年末以降、国境を越えた円の借り入れは7420億ドル増加しており、市場筋の推計では、約5000億ドルが円・キャリートレードという運用されていたらしい。すなわち、ほぼゼロ金利で円を借りて、日本株、欧米株などに投資する円・キャリートレードというパーティーが闌(たけなわ)となり、2024年7月にはNYダウは41221.98ドル、日経平均株価は42426.77円の史上最高値を記録した。
しかし、2024年7月31日、植田第32代日銀総裁はパーティー終了のベルを鳴らした。
日本銀行は、ゼロ金利を導入した以降の25年間で2回利上げしたが、その後の世界的な景気後退により、時期尚早の利上げとの批判を浴びており、トラウマとなっている。
2000年8月の利上げ(ゼロ⇒0.25%)の後は、米国発のITバブルが崩壊した。
2006年7月の利上げ(ゼロ⇒0.25%⇒0.50%)の後は、米国発の住宅バブルが崩壊した。
2024年3月、植田日銀総裁は3回目の利上げ(▲0.10%+0.10%=0-0.10%)を決定し、7月30-31日の日銀金融政策決定会合では、政策金利を0.25%まで引き上げ、中立金利1%に向けた追加利上げを示唆したことで、バブル崩壊の足音が聞こえ始めている。
1.2000年8月11日:速水第28代日銀総裁(反対2名の利上げ):ITバブル崩壊
2000年8月11日の日銀金融政策決定会合で、速水第28代日銀総裁は、政府の議決延期請求を否決して、無担保コール翌日物金利を、ゼロ金利から0.25%へ引き上げた。
速水第28代日銀総裁は「成長率が著しく高まることは期待しがたいと思うが、少なくとも日本経済はデフレ懸念の払拭が展望できる情勢に至ったと判断する」と述べた。
しかし、2001年にITバブルが崩壊したことで、2001年2月にゼロ金利に回帰し、3月には量的金融緩和政策に踏み切った。
植田日銀審議委員は、「まだ大きな水準の需給ギャップが存在している可能性がある」と述べて反対していた。
2.2006年7月14日:福井第29代日銀総裁(全員一致の利上げ):住宅バブル崩壊
2006年7月14日の日銀金融政策決定会合で、福井第29代日銀総裁は、無担保コール翌日物金利を、ゼロ金利から0.25%へ引き上げ、翌年2月には0.50%へ引き上げた。
しかし、2007年にサブプライム危機により、利下げを余儀なくされた。
福井総裁は「超低金利が長く続くリスクということをやはり念頭に置きながら、今後しっかり物を考えていく必要がある」と述べていた。
3.2024年植田第32代日銀総裁
2024年3月19日の日銀金融政策決定会合で、植田第32代日銀総裁は、2024年春闘での賃上げの状況を受けて、マイナス金利を解除し、イールドカーブ・コントロール(YCC、長短金利操作)を撤廃した。そして、「基調的物価上昇率がもう少し上昇すれば短期金利の水準の引き上げにつながる」と述べ、将来の追加利上げの可能性を示唆した。また、「為替相場が経済物価見通しに影響を与えるのであれば、金融政策での対処を検討する」と述べ、円安による輸入物価の上昇「第1の力」への警戒感を示した。
7月31日の日銀金融政策決定会合では、政策金
利(無担保コール翌日物金利)が、これまでの「0-0.1%程度」から、「0.25%程度」に引き上げられた。
そして、植田日銀総裁は記者会見で、「0.25%への利上げでも実体経済への影響は出ない。経済のショック、景気循環で日本経済に下振れが生じた場合、0.25%では対応しづらい。2006年からの前回の利上げ局面のピークである0.5%が壁になるとは認識していない」と述べた。さらに、中立金利の下限である1%を意識した見通しを示したことで、年内に1回(+0.25%=0.50%)、来年は1-2回程度で0.75%から1.00%に向けた利上げの可能性が示唆された。
ドル円は、161.95円の高値(7/3)から141.70円(8/5)まで20.25円(▲12.5%)下落した。
日経平均株価は、42426.77円の高値(7/11)から31156.12円(8/5)まで11270.65円(▲27%)下落した。
8月5日の令和のブラックマンデーでは、世界市場から6.4兆ドルが消えたらしい。
米国ではクレジットカード債務に対する懸念が募る~SMBC日興
SMBC日興証券では米国経済に関するリポートの中で、クレジットカード債務が2024年1-3月期に前期比年率-4.9%と減少した後、4-6月期に+10.0%と増加したことに注目している。同社経済分析チーム試算による季節調整値では、1-3月期に+13.5%、4-6月期に+5.9%と13四半期連続で増加しているとのこと。SMBC日興では、超過貯蓄の費消を補う格好で、クレジットカード債務は速いペースの増加基調にあると指摘。クレジットカード債務の拡大や延滞増加が、個人消費の圧迫に今後作用する可能性があると考えている。
株価指数先物【引け後】 日銀のハト派発言で52週線を捉える
大阪9月限
日経225先物 35070 +830 (+2.42%)
TOPIX先物 2480.0 +72.5 (+3.01%)
日経225先物(9月限)は前日比830円高の3万5070円で取引を終了。寄り付きは3万3430円と、シカゴ日経平均先物の清算値(3万3605円)を下回り、売り先行で始まった。しかし、直後に付けた3万3220円を安値にロングの勢いが強まり、前場中盤にかけてプラス圏を回復。買い一巡後は3万4000円~3万4500円辺りで保ち合ったが、前場終盤にレンジを大きく上放れ、一時3万5850円まで上げ幅を広げた。後場は3万5200円~3万5700円辺りでの推移が続き、中盤にかけて3万5820円まで買われたが、前場に付けた高値には届かず、引けにかけては持ち高調整に伴うロングの解消により3万5000円水準に上げ幅を縮めた。
日経225先物は売り一巡後にリバウンドを強め、5日の急落局面で残したチャート上の大陰線を埋めてきた。ただし、週足チャートでは3万5780円辺りで推移する52週移動平均線を上回る場面もみられたものの明確に突破することはできず、同線が心理的な上値抵抗として意識された形である。もっとも、終盤は持ち高調整に伴うロング解消の動きが優勢だったことからも、スキャルピング中心の売買であったことが窺える。
本日は日銀の内田真一副総裁が講演で、「金融資本市場が不安定な状況で利上げをすることはない」と述べたと伝わったことをきっかけに、リスク選好の展開となった。円相場が一時1ドル=147円台と円安に振れるなか、先物市場ではロングが強まった。なお、日経225先物は52週線までのリバウンドによって、自律反発としては達成感が意識されそうだ。また、週足のボリンジャーバンドの-2σが3万5300円辺りで推移しており、こちらも抵抗線になりやすい。
一方で、週足の-2σおよび52週線をクリアしてくる局面では、-1σの3万6990円、中心値(13週)の3万8630円処が射程に入ってこよう。国内で追加利上げへの警戒が和らぎ、米国市場が落ち着きを取り戻してくると、ロング優勢の展開となる可能性がある。
NT倍率は先物中心限月で14.14倍に低下した。14.19倍を付ける場面もみられたが、同水準で推移している200日線に上値を抑えられた。その後は内田副総裁の発言を受けて、TOPIX型のインデックス買いが目立つなか、一時13.99倍に低下した。14.00倍~14.20倍辺りのレンジ推移が続いており、スプレッド狙いのトレードは限られそうだ。
手口面(9月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が3万9787枚、ソシエテジェネラル証券が3万3168枚、バークレイズ証券が7740枚、SBI証券が5966枚、JPモルガン証券が4829枚、モルガンMUFG証券が4737枚、サスケハナ・ホンコンが4251枚、ゴールドマン証券が3412枚、野村証券が3373枚、ビーオブエー証券が2943枚だった。
TOPIX先物は、ABNクリアリン証券が6万6353枚、ソシエテジェネラル証券が5万5986枚、ゴールドマン証券が1万2321枚、バークレイズ証券が1万0842枚、モルガンMUFG証券が9629枚、JPモルガン証券が7868枚、みずほ証券が5308枚、ビーオブエー証券が4917枚、サスケハナ・ホンコンが4776枚、シティグループ証券が4328枚だった。
NY為替見通し=ニューヨーク株式市場や10年債入札に要注目か
本日のNY為替市場のドル円は、NYダウや債券市場の動向を見極めながら、パウエルFRB議長が9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ開始を示唆した後の米国10年債入札を見極める展開が予想される。
日経平均株価の日足は、5日に過去最大の下落幅(▲4451円:▲12.4%)という大陰線に対して、6日は過去最大の上昇幅(+3217円:+10.23%)という大陽線により、底打ちを示唆する「陰の陽孕み」が示現し、7日も続伸している。懸念材料は、8月2日と5日の間に空いた「窓」が埋められていないことになる。
NYダウの日足も5日と6日で「陰の陽孕み」(2day reversal)が示現していたことで、日経平均株価と同様の反転が見込まれる。
リスクシナリオは、中東情勢の緊迫化、すなわち、イランによるイスラエルに対する報復攻撃、中東の地政学リスクの高まりとなる。
NY勢による内田日銀副総裁の発言への反応にも注目しておきたい。
ハト派的な見解としては、「金融資本市場が不安定な状況で利上げをすることはない」。
タカ派的な見解としては、「植田総裁と自分との考えの違いはない。経済や物価が見通しに沿って展開していくのであれば、それに応じて金融緩和の度合いを調整していくことが適切」。
パウエルFRB議長が9月FOMCでの利下げ開始を示唆し、米7月雇用統計が労働市場の悪化を示唆したことで、5日のニューヨーク債券市場では2年債の利回りが10年債を下回り、2022年7月以来の「逆イールド」現象が一時的に解消された。
逆イールドの解消は、過去4回のリセッション直前に起きており、利下げの論拠が明確に示されたことになる。
米連邦準備理事会(FRB)の元エコノミストであるクローディア・サーム博士が提唱した「サーム・ルール」が0.5%以上だった場合、1年以内にリセッション入りするとの説は過去50年間の7回のリセッションを完璧に予告していた。7月は0.53%へ上昇しており、景気後退入りの「炭鉱のカナリア」が鳴き止んでいる。
・想定レンジ上限
ドル円の上値目処(めど)は、148.46円(日足一目均衡表・転換線)
・想定レンジ下限
ドル円の下値目処(めど)は、144.29円(8/7安値)
NY株見通し-引き続き堅調か 決算発表はディズニー、CVSヘルスなど
今晩は引き続き堅調か。昨日は過度な米景気後退懸念が和らいだことや、日本株が大幅反発したことが安心感につながり主要3指数がそろって4営業日ぶりに反発した。前日までの3営業日で2139ドル下落したダウ平均が294.39ドル高(+0.76%)と反発し、S&P500とナスダック総合もそれぞれ1.04%高、1.03%高となった。業種別では不動産を筆頭にS&P500の全11セクターが上昇し、前日に一時65ポイント台まで上昇したVIX指数は27.71ポイントに低下した。引け後の動きでは決算が嫌気されたスーパー・マイクロ・コンピューターとエアビーアンドビーが時間外でそれぞれ13%安、16%安と急落した。
今晩は引き続き堅調か。アジア時間で日銀の内田副総裁が「金融資本市場が不安定な状況で利上げをすることはない」と述べたことを好感し、日経平均が1000円以上上昇し、ドル円も147円台後半まで上昇している。先週の日銀の利上げを受けて強まった円キャリートレードの巻き戻しの動きが一服することが期待され、米国株にも安心感が広がることが期待される。ナスダック先物はプレ・マーケットで1%以上上昇しており、ハイテク株を中心に続伸が期待できそうだ。
今晩の米経済指標・イベントはMBA住宅ローン申請指数、6月消費者信用残高、米10年債入札など。企業決算は寄り前にウォルト・ディズニー、ラルフ・ローレン、CVSヘルス、引け後にオキシデンタル・ペトロリアム、ワーナー・ブロスなどが発表予定。