【市場の目】トルコリラは再びジリ安に、その背景にある材料を考える
第一生命経済研究所経済調査部主席エコノミスト・西?M徹氏
トルコリラは再びジリ安に、その背景にある材料を考える
市場環境悪化と投資妙味の乏しさに加え、中東情勢を巡るエルドアン大統領の「動き」にも要注意
トルコリラ相場は、昨年の大統領選後の内閣改造を経た正統的な政策運営を受けて調整が続いた流れに変化の兆しが出てきた。さらに、足下ではインフレの頭打ちが確認されるとともに、中銀も直近の定例会合で引き締め姿勢を堅持する考えを示し、主要格付機関も格上げに動くなど対外的な評価は着実に向上している。ただし、国際金融市場では米ドル高が一服しているにも拘らず、足下のリラ相場は再びジリ安の動きを強めて最安値を更新する展開をみせる。中銀の引き締め維持も実質金利は大幅マイナスで推移するなど投資妙味が乏しく、中東情勢を巡る不透明感が高まるなかでのエルドアン大統領の立ち位置がリラ相場の足かせとなっているほか、国際金融市場の混乱もリラ相場の足かせになっているとみられる。当面のリラ相場は市場環境に加えて中銀の忍耐、そして、エルドアン大統領が政策運営や中東情勢を巡ってさらなる「不規則な」発言や対応を抑えられるか否かに掛かっている状況は変わっていないと捉えられる。