NY為替見通し=ニューヨーク株式市場や10年債入札に要注目か
本日のNY為替市場のドル円は、NYダウや債券市場の動向を見極めながら、パウエルFRB議長が9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ開始を示唆した後の米国10年債入札を見極める展開が予想される。
日経平均株価の日足は、5日に過去最大の下落幅(▲4451円:▲12.4%)という大陰線に対して、6日は過去最大の上昇幅(+3217円:+10.23%)という大陽線により、底打ちを示唆する「陰の陽孕み」が示現し、7日も続伸している。懸念材料は、8月2日と5日の間に空いた「窓」が埋められていないことになる。
NYダウの日足も5日と6日で「陰の陽孕み」(2day reversal)が示現していたことで、日経平均株価と同様の反転が見込まれる。
リスクシナリオは、中東情勢の緊迫化、すなわち、イランによるイスラエルに対する報復攻撃、中東の地政学リスクの高まりとなる。
NY勢による内田日銀副総裁の発言への反応にも注目しておきたい。
ハト派的な見解としては、「金融資本市場が不安定な状況で利上げをすることはない」。
タカ派的な見解としては、「植田総裁と自分との考えの違いはない。経済や物価が見通しに沿って展開していくのであれば、それに応じて金融緩和の度合いを調整していくことが適切」。
パウエルFRB議長が9月FOMCでの利下げ開始を示唆し、米7月雇用統計が労働市場の悪化を示唆したことで、5日のニューヨーク債券市場では2年債の利回りが10年債を下回り、2022年7月以来の「逆イールド」現象が一時的に解消された。
逆イールドの解消は、過去4回のリセッション直前に起きており、利下げの論拠が明確に示されたことになる。
米連邦準備理事会(FRB)の元エコノミストであるクローディア・サーム博士が提唱した「サーム・ルール」が0.5%以上だった場合、1年以内にリセッション入りするとの説は過去50年間の7回のリセッションを完璧に予告していた。7月は0.53%へ上昇しており、景気後退入りの「炭鉱のカナリア」が鳴き止んでいる。
・想定レンジ上限
ドル円の上値目処(めど)は、148.46円(日足一目均衡表・転換線)
・想定レンジ下限
ドル円の下値目処(めど)は、144.29円(8/7安値)