美少女「あの......先生......雷が怖くて......一緒に寝てくれませんか......」美女教授「ん?なに?またか......」 ID:AhMFZVhh

1以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2016/10/02(日) 06:03:48.33 ID:AhMFZVhh

教授「......ほら、もっとつめて」

少女「......えへへ」ニコニコ

教授「まったく、私も忙しいんだがな......」

少女「だって......雷......怖いんです......」

教授「......怖いこと無いだろう?ただの自然現象だよ」

少女「もう......!先生は良いですよね......!」プイッ

教授「......ごめんごめん......さ、もうおやすみ」アタフタ

少女「うふふ......温かい......」ウトッ

少女「......」

少女「......zZZ」スースー

教授「......寝たか」スッ

少女「......ん......おかあさん......」ギュッ

教授「......」

教授「......おやすみ」ナデナデ

4以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2016/10/02(日) 06:35:32.40 ID:AhMFZVhh

..................
............
......

この子に初めて出会った日も、こんな雷の日だった。
「......すごい雷だ。何処かで雨宿りしていくか」
そこいらに落雷の轟音が鳴り響き、前も後ろも、叩くような豪雨が道をふさいでいた。
「まったく......困った」
ふと視線をそらすと、白色の光がぼんやりと道路を照らしながらこちらに向かってくる。
どうやら自動車の様だ。しかし、どこか様子がおかしい。
大雨のせいで上手くブレーキやハンドルが効かないようである。
「まずい......ぶつかるぞ」
言うが早いか、コントロールを失った青い軽自動車は、向かい10メートルほど先の電柱にぶつかり停車した。
「っ......!」
急いで駆け寄る。かなりの衝撃だったのか、車の前方の殆んどがひしゃげていた。
中に乗っている女性も、恐らく即死だろう。
「ああ......くそっ......」
なす術もなくドアを拳で叩く。
焼けたゴムのような臭いと、ジュウジュウというむき出しになったエンジンへ雨があたる音とが辺りを包んだ。
そのとき、後部座席から微かに呼吸が聞こえた。
はっとして顔を向けると、そこにはちょうど小学校に上がるくらいの歳であろう女の子が横たわっていた。
頭から血を流しているが、致命傷ではないように見えた。
後部座席には沢山の縫いぐるみがあり、これがクッションとなったのだろう。

6以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2016/10/02(日) 06:53:56.27 ID:AhMFZVhh

「......い、今助けるぞ.....!」
ヒビの入ったガラスを近くの石で割り、後部席の鍵を開ける。
しかし、衝撃でドアが変形して上手く開かない。
「......とりあえず救急......救急に電話だ」
携帯で救急車を呼ぶ。先程の窓ガラスで少し切ったのか、耳に当てた手の小指から血が流れていた。

しばらく経ち、慌ただしく到着した救急隊員がバールの様なものでドアをこじあけ、少女を救出した。
運転席の女性はやはり即死だったようで、二人は別の救急車で運ばれいった。


後日、少女のお見舞いに病室を訪ね、少女と初めて会話をした。
「......やあ、......調子はどうかな」
そう言ってお見舞いのフルーツをサイドテーブルの上に置く。
少女は俯いたままだ。
後に警察から聞いた話によると、運転席で亡くなっていたのは彼女の母親だったそうだ。
薄々とそんな気はしていたが、年端もいかぬこんな少女にはあまりに辛いだろう。
「......あなた......だれ?」
虚ろな目でこちらを見据えながら、消え入るような声で少女が問いかける。
「わたしか?わたしは......」
言葉に困るが、ここは一つ方便を使う。

7以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2016/10/02(日) 07:07:55.40 ID:AhMFZVhh

「......君のお母さんの......ゆ、友人なんだ」

「おかあさんの......おかあさん......」

少女の瞳から涙が溢れる。しまった。言葉ン間違えてしまった。

「......な、泣かないで......」

急いで慰めるも、少女は泣き続ける。事故から日にちも経ち、自分の身に起こった事を理解している様だった。

「そうだ......ほら、フルーツ......フ、フルーツはきらいかい?」

テーブルの上のバスケットをとりよせ、少女に近づける。
少女は泣きながらも少し顔をあげ、......リンゴ、とだけ言った。

「......リンゴ?......リンゴが好きなのかな?」

そう問いかけると、ゆっくりと頷いた。

「......おかあさんが......良く剥いてくれた」

悲しそうな目で、リンゴを見つめる。
まいった。私はリンゴなど剥けない。
どうしようか迷ったあげく、口をついた言葉は

「......ニュートンが木から落ちるリンゴから万有引力を発見したっていうのは、実は作り話なんだ」

なんてものだった。
少女はぽかんと口をあけてこちらを見ている。

8以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2016/10/02(日) 07:23:48.75 ID:AhMFZVhh

「......へんなおねえさん」

そう言うと少女は少し笑った。
つられて私も少し笑う。
私達が最初に話したのはそれだけだった。

その後も何度か病室に顔を出すうちに、少女に合うのはすっかりと習慣になっていた。

少女の家族はシングルマザーだったそうで、身近な少女の身寄りは母方の祖母一人だそうだ。
その祖母も腰を悪くしており、なかなか病院までこれないのだとか。
私にはここに来る義理は無いが、理由はあった。
いつも寂しそうにしている彼女が、私が顔を見せた途端に嬉しそうに振り向く。そんな些細な事が、私を病室へと向かわせていた。

「先生、今日もきてくれたんだ」

「ああ、君に会いたくてね」

そう言ってベッドの横の椅子に腰かける。

「ひまなの?」

「......うん。......大学教授なんて暇だらけなのさ」

「ふーん......あ、そうだ。この前の本読み終わったよ」

少女から本を受けとる。ちょうど先週に貸した悪魔と一緒に簡単な算数を楽しむ本。

「......は、早いな。面白かったかい?」

「うん!とっても。でも、少しかんたんだったかも」

9以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2016/10/02(日) 07:37:14.37 ID:AhMFZVhh

「......君は、ゼミの連中より賢いかもしれないね」

「ゼミ?......セミ?」

「そうかもね、夏前になるとミンミンうるさいから」

「大がくにもセミいるんだ!」

「うん。沢山ね」

「そっか......私も先生の大がく行きたいなぁ」

「うん?......君なら、あと少し勉強すれば来れるさ」

「ほんと!?うれしいな!」

ニコニコしながらはしゃぐ少女。最近は笑顔を良く見せるようになった。

「......じゃあ今日はこの本を貸そう。私も好きな本だ」

そう言って鞄から取り出した本を手渡す。

「......なんかむずしそう......」

「大丈夫だよ。完璧に分からなくてもいいんだ......読み終わったら返してくれればいい」

「ありがとう、先生。......でも」

12以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2016/10/02(日) 08:32:56.28 ID:AhMFZVhh

「ん?」

「私、もうすぐ退いんする事になったの」

「......そうか。良かった」

気づけば、あの事故から半年以上経っていた。
少女の体は順調に快方に向かい、ついには退院だそうだ。

「ぜんぜん......うれしくないよ」

「......」

「おかあさん........いなくなっちゃったし、先生ともお別れなんて......」

久しぶりにまた悲しそうな顔をする。
いや、私の前に見せなかっただけで、彼女についた深い傷はまだ殆ど癒えていないのだろう。

「......退院したらどうするんだい?」

「......おばあちゃんのお家にいっしょに住むの」

「......そっか」

ふと窓を眺める。窓は少し開いていて、そこから涼しい風が流れ込んだ。

「......」

「......お祖母ちゃんの家はどの辺なんだい?」

「......ここからそんなに遠くないって。少し町外れの方っていってた」

「......そっか。ならたまに家に遊びに来なよ」

そう言って、手帳のリフィルを一枚千切り、自宅の住所を書く。

「大学の近くだよ。この病院からもそう遠くない」

「......いいの?」

13以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2016/10/02(日) 08:42:02.71 ID:AhMFZVhh

「もちろん。ただ、来るときは気を付けて来るように。大通りを通って」

「......うん......ありがと、先生」

「それじゃ、また来るよ。退院はいつ?」

「さ来週の水よう日って、お医者さんは言ってた」

「......じゃあ、その日にまた来るよ。......また」

「うん......ばいばい」

その日はそうして病室を後にした。
やれやれ、散らかり放題な部屋を掃除しないと。

そして退院の日、病室に向かうとそこには少女とお婆さんがいた。

「こりゃどうも......孫がお世話になりました」

「ああ、いえ。こちらこそ。......退院おめでとうございます。これ、退院のお祝いです」

「これはこれはご丁寧に......本当にありがとうございますええと......」

「きょーじゅ。先生はきょーじゅなんだよ、おばあちゃん」

少女が私の服の袖を軽く引っ張りながら言う。

「ははあ、学者さまですか......この度は本当に孫の事を......」

14以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2016/10/02(日) 09:02:45.96 ID:AhMFZVhh

「い、いえいえ、本当に......。こちらこそお孫さんには良い話し相手になってもらっていました」

これは本当だ。正直友人の少ない私にとって、少女との時間は気を休める時間であった。
二人はそのまま、病院からタクシーで帰っていった。

少女はというと、それからちょくちょく私の家に遊びに来ていた。
最近は研究室にまで顔を出す始末で、最初は私の子かと疑われたものだ。

「わ、教授、博士号の次は隠し子ですか!」

あの下らない洒落をかました生徒の評価を下げておいたのは、言うまでもない。
素直で好奇心旺盛な彼女は、今ではゼミ生からも良く可愛がられている。

..................
............
......

少女「......zZZ」スー

教授「......私は君の母親には到底なれないな」ナデナデ

少女「......」

教授「だけど、君の嫌いな雷の日に、一緒にいるくらいはできる......か」スッ

少女「......ん......せんせぃ」ムニャ

教授「......」プニ


外の雷はだんだん弱くなっているようだった。
天気予報では明日は晴れるそうだ。
彼女の心も、いつの日かはれるのだろうか。
私はもう一度少女の頭をゆっくりと撫で、やりかけの仕事のため寝息の響く部屋を後にした。


このIDをNGリストに追加する

今後このIDの書き込みやスレッドを表示したくない場合、以下のボタンをクリックしてください。
NGリストに追加

このスレッドは過去ログです。