「......君のお母さんの......ゆ、友人なんだ」
「おかあさんの......おかあさん......」
少女の瞳から涙が溢れる。しまった。言葉ン間違えてしまった。
「......な、泣かないで......」
急いで慰めるも、少女は泣き続ける。事故から日にちも経ち、自分の身に起こった事を理解している様だった。
「そうだ......ほら、フルーツ......フ、フルーツはきらいかい?」
テーブルの上のバスケットをとりよせ、少女に近づける。
少女は泣きながらも少し顔をあげ、......リンゴ、とだけ言った。
「......リンゴ?......リンゴが好きなのかな?」
そう問いかけると、ゆっくりと頷いた。
「......おかあさんが......良く剥いてくれた」
悲しそうな目で、リンゴを見つめる。
まいった。私はリンゴなど剥けない。
どうしようか迷ったあげく、口をついた言葉は
「......ニュートンが木から落ちるリンゴから万有引力を発見したっていうのは、実は作り話なんだ」
なんてものだった。
少女はぽかんと口をあけてこちらを見ている。