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この子に初めて出会った日も、こんな雷の日だった。
「......すごい雷だ。何処かで雨宿りしていくか」
そこいらに落雷の轟音が鳴り響き、前も後ろも、叩くような豪雨が道をふさいでいた。
「まったく......困った」
ふと視線をそらすと、白色の光がぼんやりと道路を照らしながらこちらに向かってくる。
どうやら自動車の様だ。しかし、どこか様子がおかしい。
大雨のせいで上手くブレーキやハンドルが効かないようである。
「まずい......ぶつかるぞ」
言うが早いか、コントロールを失った青い軽自動車は、向かい10メートルほど先の電柱にぶつかり停車した。
「っ......!」
急いで駆け寄る。かなりの衝撃だったのか、車の前方の殆んどがひしゃげていた。
中に乗っている女性も、恐らく即死だろう。
「ああ......くそっ......」
なす術もなくドアを拳で叩く。
焼けたゴムのような臭いと、ジュウジュウというむき出しになったエンジンへ雨があたる音とが辺りを包んだ。
そのとき、後部座席から微かに呼吸が聞こえた。
はっとして顔を向けると、そこにはちょうど小学校に上がるくらいの歳であろう女の子が横たわっていた。
頭から血を流しているが、致命傷ではないように見えた。
後部座席には沢山の縫いぐるみがあり、これがクッションとなったのだろう。