「い、いえいえ、本当に......。こちらこそお孫さんには良い話し相手になってもらっていました」
これは本当だ。正直友人の少ない私にとって、少女との時間は気を休める時間であった。
二人はそのまま、病院からタクシーで帰っていった。
少女はというと、それからちょくちょく私の家に遊びに来ていた。
最近は研究室にまで顔を出す始末で、最初は私の子かと疑われたものだ。
「わ、教授、博士号の次は隠し子ですか!」
あの下らない洒落をかました生徒の評価を下げておいたのは、言うまでもない。
素直で好奇心旺盛な彼女は、今ではゼミ生からも良く可愛がられている。
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少女「......zZZ」スー
教授「......私は君の母親には到底なれないな」ナデナデ
少女「......」
教授「だけど、君の嫌いな雷の日に、一緒にいるくらいはできる......か」スッ
少女「......ん......せんせぃ」ムニャ
教授「......」プニ
外の雷はだんだん弱くなっているようだった。
天気予報では明日は晴れるそうだ。
彼女の心も、いつの日かはれるのだろうか。
私はもう一度少女の頭をゆっくりと撫で、やりかけの仕事のため寝息の響く部屋を後にした。