「もちろん。ただ、来るときは気を付けて来るように。大通りを通って」
「......うん......ありがと、先生」
「それじゃ、また来るよ。退院はいつ?」
「さ来週の水よう日って、お医者さんは言ってた」
「......じゃあ、その日にまた来るよ。......また」
「うん......ばいばい」
その日はそうして病室を後にした。
やれやれ、散らかり放題な部屋を掃除しないと。
そして退院の日、病室に向かうとそこには少女とお婆さんがいた。
「こりゃどうも......孫がお世話になりました」
「ああ、いえ。こちらこそ。......退院おめでとうございます。これ、退院のお祝いです」
「これはこれはご丁寧に......本当にありがとうございますええと......」
「きょーじゅ。先生はきょーじゅなんだよ、おばあちゃん」
少女が私の服の袖を軽く引っ張りながら言う。
「ははあ、学者さまですか......この度は本当に孫の事を......」