NYマーケットダイジェスト・10日 株高・金利低下・円安
(10日終値)
ドル・円相場:1ドル=161.69円(前営業日比△0.36円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=175.11円(△0.66円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0830ドル(△0.0017ドル)
ダウ工業株30種平均:39721.36ドル(△429.39ドル)
ナスダック総合株価指数:18647.45(△218.16)
10年物米国債利回り:4.28%(▲0.01%)
WTI原油先物8月限:1バレル=82.10ドル(△0.69ドル)
金先物8月限:1トロイオンス=2379.7ドル(△11.8ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
米MBA住宅ローン申請指数
前週比 ▲0.2% ▲2.6%
5月米卸売売上高
前月比 0.4% 0.2%・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は3日続伸。欧米株価指数の上昇などを背景に投資家のリスク志向改善を意識した買いが先行した。ダウ平均が440ドル超高まで上昇幅を拡大するなか、米10年債利回りがNY勢の参入後に低下幅を縮小したことも支えとなり、一時161.81円と日通し高値をつけた。
なお、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は米下院金融サービス委員会で議会証言を行ったが、「インフレに関してさらなる確信が欲しい」など、前日とほぼ同様の見解を示したため、相場への影響は限定的だった。
・ポンドは堅調。ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員やマン英MPC委員からインフレ懸念が相次いで示されたことを受け、全般にポンド買いが強まった。ポンドドルは一時1.2849ドルまで上昇。ポンド円は円売りの流れに沿った面もあり、2008年以来の高値となる207.82円まで上値を伸ばした。短期金融市場では8月の英利下げ確率が50%未満まで低下する場面もあり、英金利先安観の後退がポンドを下支えしたようだ。
・ユーロ円は続伸。欧米株高を手掛かりにした円売り・ユーロ買いが進み、一時175.16円までユーロ導入来の高値を更新した。
・ユーロドルは3営業日ぶりに反発。取引時間終盤には株高を受けたリスクオンの流れに沿って1.0831ドルまで上昇する場面があったものの、総じて1.0820ドル台を中心とする狭いレンジ内推移に終始。本日の値幅はわずか0.0020ドル程度と限られた。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反発。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言では前日と同様に利下げ時期についての明言はなかったものの、内容自体はタカ派的なものではなく、議会証言を通過したことによる買い安心感が広がった。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は7日続伸し、史上最高値で取引を終えた。多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数も過去最高値を連日で更新した。
・米国債券相場で長期ゾーンは反発。明日に米消費者物価指数(CPI)の発表を控えて持ち高調整の買いが入ったほか、米10年債入札が好調な結果だったことも相場を下支えした。
・原油先物相場は4営業日ぶりに反発。週明けから売られていた反動でこの日は買い戻しが先行。米エネルギー省(EIA)が発表した週間石油在庫では、原油・ガソリンともに一部で予想されていた以上の取り崩し幅となった。これを受けて82ドル半ばまで上値を伸ばす場面があった。
・金先物相場は続伸。NY序盤まで米長期金利が低下基調だったため、金利が付かない金の価値が相対的に高まった。米下院の委員会おけるパウエルFRB議長の証言を眺め、長期金利が
10日の主な要人発言(時間は日本時間)
10日07:02 バイデン米大統領
「米国と同盟国はウクライナに防空システムを提供へ」
10日11:04 ニュージーランド準備銀行(RBNZ)声明
「金融政策が制限的であり続ける必要があることに合意」
「国内主導のインフレが短期的に持続するリスク」
「ヘッドライン・インフレ率は今年後半に1-3%の目標範囲内に戻ると予想」
「国内で発生する物価上昇圧力は依然として強い」
「生産能力への圧力と企業の価格設定の低下に伴い、インフレの持続性が緩和される兆しがある」
「減税が個人消費に与えるプラスの影響は、確実性が低い」
「金融政策の適切なスタンスについて議論された」
10日22:37 ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト
「MPCはインフレの持続性を注視」
「インフレの上振れリスクを示すいくつかの指標がある」
「利下げするかどうかではなく、いつ利下げするかが問題」
10日23:34 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長
「完全雇用の実現には物価の安定が不可欠」
「政策は制限的だと考えている」
「中立金利は少なくとも短期的には上昇したに違いない」
「今年後半に中立金利の見直しを検討する予定」
11日01:54 マン英中銀金融政策委員会(MPC)委員
「英労働市場は依然として引き締まっている」
「英インフレ率は年末まで2%を超える可能性が高い」
※時間は日本時間
11日のイベントスケジュール(時間は日本時間)
<国内>
○08:50 ◎ 5月機械受注(予想:船舶・電力除く民需 前月比0.8%/前年比7.2%)
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
<海外>
○08:01 ◇ 6月英王立公認不動産鑑定士協会(RICS)住宅価格(予想:▲15)
○08:30 ◎ クック米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○未定 ◎ 韓国中銀、政策金利発表(予想:3.50%で据え置き)
○15:00 ◎ 6月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比0.1%/前年比2.2%)
○15:00 ☆ 5月英国内総生産(GDP、予想:前月比0.2%)
○15:00 ◎ 5月英鉱工業生産(予想:前月比0.2%/前年比0.6%)
○15:00 ◎ 5月英製造業生産高(予想:前月比0.4%)
○15:00 ◇ 5月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:168.00億ポンドの赤字/28.50億ポンドの赤字)
○21:00 ◎ 5月ブラジル小売売上高(予想:前年同月比4.0%)
○21:30 ☆ 6月米CPI(予想:前月比0.1%/前年比3.1%)
☆ エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比3.4%)
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:23.6万件/186.0万人)
○12日00:15 ◎ ボスティック米アトランタ連銀総裁、質疑応答
○12日02:00 ◎ ムサレム米セントルイス連銀総裁、質疑応答
○12日02:00 ◎ 米財務省、30年債入札
○12日03:00 ◎ 6月米月次財政収支(予想:830億ドルの赤字)
○北大西洋条約機構(NATO)首脳会議(ワシントン、最終日)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
東京為替見通し=円安トレンド強い、米金利低下・円金利高止まりも円の買い戻し進まず
昨日の海外市場でのドル円は、欧米株価指数の上昇などを背景に投資家のリスク志向改善を意識したドル買いが先行した。ダウ平均が440ドル超高まで上昇幅を拡大するなか、米10年債利回りがNY勢の参入後に低下幅を縮小したことも支えとなり、一時161.81円と日通し高値をつけた。ユーロドルは総じて1.0820ドル台を中心とする狭いレンジ内推移に終始。
本日の東京市場では円安地合いは変わらないか。昨日はアジア時間でNZ準備銀行(RBNZ)がインフレ目標の前倒しを表明したことでNZドルが対ドルで弱含んだが、米金利が小幅ながら低下したこともあり、欧州通貨や他の主だった通貨でドル安がやや優勢だった。しかしながら、対円でドルは堅調に推移し、改めて円安トレンドの強さを物語っていると言える。また、本邦の長期金利が高水準を維持しているにもかかわらず円高に動かないことで、7月の日銀政策決定会合で仮に国債買い入れの大幅減額を決定したとしても、円が買い戻されない可能性も高まっている。
国債買い入れ額に関しては、昨日まで行われた日銀が「債券市場サーベイ」などに参加する金融機関の実務担当者を集めて行った「債券市場参加者会合」では、メガバンクを中心に国債買い入れの大幅減額を要望したと伝わっている。日銀の買い入れ減少は、本邦金融機関が減少分を引き取るとの見方になっているが、メガバンクにとっては保有国債の含み損を抱える地銀とは違い、含み損よりも金利上昇の収益増加効果が絶大であることで、このような要望の声が強い。ここ最近はインフレ傾向の強い本邦経済指標が出ているが、実質賃金は過去最長のマイナスになり、消費支出も弱く、GDPは大幅に下方修正されるなど、内容は非常に悪いことで日銀の中では大幅減額には及び腰の声が出ている。しかしながら、今回の臨時に行われた債券市場参加者会合での減額要望が強いことを口実に、政府の圧力もあり7月の会合での変更が見込まれそうだ。
また、円安の流れが継続しそうな理由として、岸田政権が円安対策を講じないこともあげられている。今月発表された税収が過去最大になったことや、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も最大の黒字になるなど、政権は円安のメリット部分を享受している。口先では円安を懸念しているが、円安対策は無策なことでスピード調整を図ったとしても、円安を止める手段は限られていると市場関係者も理解している。
本日は本邦からは5月機械受注と前週分の対外対内証券投資が発表される。ここ3週にわたって海外投資家は国債などの国内中長期債を売り越している。前週も海外勢の国債売り越しが大きくなれば、債券市場では7月の日銀政策決定会合での国債買い入れ減額をほぼ織り込んだと言えるか。
また、本日は米国から6月の消費者物価指数(CPI)が公表されるが、市場では前年比では5月の3.3%から3.1%へ低下すると予想。また、コア指数は3.4%で前月から横ばい予想となっている。市場はすでに米連邦準備理事会(FRB)の9月の利下げを7割以上織り込んでいることで、予想通りのCPI低下となった場合のドル売りは限られるか。逆にここ最近の弱いインフレ指数で市場の利下げ予想が高まっていることで、インフレが高止まりした場合のサプライズの方が市場へ与える影響は大きそうだ。仮に予想を上回った場合は、ドル円は3日高値161.95円を超えて円安になることが濃厚だろう。
株価指数先物【寄り前】 ヘッジ対応のロングが強まりやすい
大阪9月限ナイトセッション
日経225先物 42480 +540 (+1.28%)
TOPIX先物 2948.5 +33.0 (+1.13%)
シカゴ日経平均先物 42470 +530
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
10日の米国市場は、NYダウ、 S&P500、ナスダックが上昇。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長による米下院での議会証言は、前日の米上院での証言に続き、利下げ時期について明言を避けたが、インフレは鈍化しているとの認識を示したことが安心感につながった。
エヌビディア<NVDA>やマイクロン・テクノロジー<MU>、台湾積体電路製造(TSMC)<TSM>、アームホールディングス<ARM>、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ<AMD>など半導体株が相場を牽引する展開となった。また、アップル<AAPL>やマイクロソフト<MSFT>、メタプラットフォームズ<META>、アルファベット<GOOG>など大型テック株が買われた。S&P500業種別指数は電気通信サービスのみが小幅に下落したほかは、半導体・同製造装置、テクノロジー・ハード・機器、素材、資本財、保険の強さが目立った。
シカゴ日経平均先物(9月限)清算値は、大阪比530円高の4万2470円だった。日経225先物(9月限)のナイトセッションは日中比10円高の4万1950円で始まり、直後に付けた4万1900円を安値に切り返し、4万2000円に乗せた。その後は4万2100円~4万2200円辺りで保ち合いを継続。米国市場の取引開始後にレンジを上放れると、終盤にかけて上げ幅を広げ4万2490円まで買われ、4万2480円とナイトセッションの高値圏で取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形で、買い優勢で始まりそうだ。7月に入り上げ幅は2300円を超えており、急ピッチの上昇に対する過熱感は警戒されやすいが、買い遅れている海外ファンドとみられる資金流入が継続するなか、ロングの勢いが強まりやすい。
また、週末にオプションSQ(特別清算指数算出)を控えているなかでレンジを切り上げてきているため、ヘッジが新たなヘッジにつながる形で上へのバイアスが強まりやすい。米国市場では半導体株が牽引する形で強い基調を形成しており、東京市場でも東京エレクトロン <8035.T> [東証P]やアドバンテスト <6857.T> [東証P]、ソフトバンクグループ <9984.T> [東証P]など指数インパクトの大きい値がさハイテク株が日経平均株価を押し上げる展開が見込まれる。
日経225先物は上向きで推移するボリンジャーバンドの+2σ(4万2020円)を支持線とした+3σとのレンジを形成している。+3σは4万3200円辺りまで上昇しており、+3σを突破してくる局面では、いったんはピーク感が意識されるだろう。ただし、方向性としては3月22日の高値4万0870円から4月19日の安値3万6700円までの下落幅(4170円)をリプレイスしたターゲットは4万5040円となる。+2σ辺りを明確に下回ってくるまでは、押し目狙いのロングスタンスとなろう。
そのため、オプション権利行使価格の4万2500円を中心とした上下の権利行使価格4万2000円から4万3000円と広めのレンジを想定する。ナイトセッションの終値水準での膠着が続き、利食いに向かう局面では押し目待ちの買い意欲は強いと考えられる。
昨日のNT倍率は先物中心限月で14.38倍に上昇した。後場の日経平均型のインデックス買いが入った場面では一時14.41倍まで上げた。ETF決算に絡んだ需給面の影響を通過し、NTロングの巻き戻しでNTショートに振れやす
株価指数先物【昼】 利益確定に伴うロング解消の動きで上げ幅縮める
日経225先物は11時30分時点、前日比270円高の4万2210円(+0.64%)前後で推移。寄り付きは4万2460円と、シカゴ日経平均先物の清算値(4万2470円)にサヤ寄せする形から、買いが先行して始まった。ただし、直後に付けた4万2470円を高値に軟化し、中盤にかけて4万2120円まで上げ幅を縮める場面もみられた。もっとも、押し目待ち狙いの買い意欲は強いと考えられるなか、終盤にかけては4万2200円を挟んでの底堅さが意識された。
日経225先物は買い先行で始まった後は、利益確定に伴うロング解消の動きとなった。ファーストリテイリング <9983.T> [東証P]、東京エレクトロン <8035.T> [東証P]、ソニーグループ <6758.T> [東証P]など指数インパクトの大きい値がさ株の一角が日経平均株価を牽引している。一方で、アドバンテスト <6857.T> [東証P]、ソフトバンクグループ <9984.T> [東証P]、リクルートホールディングス <6098.T> [東証P]などが買い一巡後に下げに転じるなど、利益確定の売りもみられている。東証プライムの騰落銘柄は、値上がり数が全体の7割超を占めているなか、後場はインデックス買いが断続的に入ってくるかが注目されよう。
なお、NT倍率は先物中心限月で14.40倍に上昇した。指数インパクトの大きい値がさハイテク株の一角に利食いの動きがみられており、14.40倍を挟んだ狭いレンジでの動きになりそうだ。ただし、昨日同様に、後場のインデックス買いの動きが強まるようだと、NTロングに振れやすくなろう。
【よろずのつぶやき by Wada】大局観
昨日は、東京時間から日経平均の上昇が話題に。海外市場になっても日経平均先物への買いが断続的に観測されるとドル円もクロス円中心に上値を試す展開となりました。NY時間に入ってからも前日の米3年債入札に続いて米10年債入札が1bpのストップスルーとなる好調な結果に終わったにもかかわらず、下押しが10銭足らずにとどまるといった底堅い動きに。結局、161.81円まで値を上げることになりました。
アジア時間に入ってからは、ポジション調整から161.48円まで下押ししたものの、NY時間の安値161.43円が目先のサポートレベルとして意識されると再び161.68円まで買戻されているといったところです。
いずれにしても、日経平均には明日のSQを控えて思惑的な動きが出ていることは確かですが、それにもまして、海外勢を中心とした買いがまとめて出ているわけで、市場では「中東のソブリンファンドからの買いが目立つ」との声も聞かれるなか、明らかにまだまだ割安感の強い日本株へのしっかりとした資金流入が続いていることがわかります。
日経平均の先物市場では、連日、踏み上げ相場となっていますが、こういった世界のマネーのうねりを感じながら為替市場の動向を見ていくことこそ、今の相場の方向性の大局観を感じることが出来るというものです。
ロンドン為替見通し=欧・英経済指標を眺めつつ米CPI待ち
ロンドンタイムは、序盤発表の6月独消費者物価指数(CPI)は改定値で、修正幅の大きさにもよるがユーロの大きな上下につながりにくいとみる。同じく序盤発表の5月英国内総生産(GDP)や同鉱工業生産・製造業生産高、貿易収支が、このところ堅調なポンドに与える影響には一応留意しつつも、NYタイムに金融市場全般の注目を集める6月米CPI発表を控えるなかでは、欧州通貨も明確なトレンドをともなう強弱がつきにくいだろう。
ここ最近の欧州通貨、特にユーロはフランス下院選挙でのサプライズの左派躍進に対しても、先行きが不透明で売り買いを判断しかねるところもあるとはいえ反応が明確ではなく、米金融政策の行方や関連した発言を織り込んで対ドルで上下している印象。主体性が乏しい感があり、ドル相場にとって大きな材料である米CPIの結果を確認するまで動きにくさがある。相応な振れを挟みつつも、米CPI待ちの様相となりやすいだろう。
想定レンジ上限
・ユーロドル:6月6・7日高値1.0902ドル。
・ポンドドル:7月2日・9安値の値幅2層倍=NT計算値1.2940ドル。
想定レンジ下限
・ユーロドル:3日ロンドンタイム安値1.0753ドル。
・ポンドドル:昨日10日安値1.2784ドル。
東京マーケットダイジェスト・11日 円安・株高
(11日15時時点)
ドル円:1ドル=161.69円(前営業日NY終値比横ばい)
ユーロ円:1ユーロ=175.19円(△0.08円)
ユーロドル:1ユーロ=1.0835ドル(△0.0005ドル)
日経平均株価:42224.02円(前営業日比△392.03円)
東証株価指数(TOPIX):2929.17(△19.97)
債券先物9月物:142.82円(横ばい)
新発10年物国債利回り:1.080%(▲0.005%)
ユーロ円TIBOR3カ月物:0.14900%(横ばい)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<国内> <発表値> <前回発表値>
対外対内証券売買契約等の状況(前週)
対外中長期債
2377億円の取得超 2542億円の処分超・改
対内株式
6037億円の取得超 1850億円の所得超・改
5月機械受注(船舶・電力除く民需)
前月比 ▲3.2% ▲2.9%
前年同月比 10.8% 0.7%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ユーロ円は堅調。日経平均の上げ幅拡大を追い風にじり高で推移すると、175.31円まで上昇してユーロ導入来の高値を記録した。また、ポンド円は5月英国内総生産(GDP)が前月比で予想を上回る伸びとなった事も追い風となり、2008年以来となる208.10円まで上昇した。
・ドル円は底堅い。前日の上昇を背景とした利益確定の動きが重しとなり、161.48円まで下押すも、その後は仲値に向けてややドル買いが入ったことで下げ渋り。その後は本邦株高を背景としたクロス円の上昇を支えに161.75円まで切り返した。
・ユーロドルは小動き。円主導の展開となった事もあり、1.0830ドル台を中心とした動意に乏しい展開となった。
・日経平均株価は続伸。前日の米株高に反応して高く始まると、3日連続で史上最高値を更新したほか、終値で初めて4万2000円台に乗せた。
・債券先物相場は様子見。手掛かり材料に乏しい中、小動きが続いた。なお、20年債入札は「順調」な結果と市場では受け止められたが、反応は限られた。
【市場の目】内需の弱さがデフレ圧力を招く悪循環に陥る中国経済
第一生命経済研究所経済調査部主席エコノミスト・西?M徹氏
内需の弱さがデフレ圧力を招く悪循環に陥る中国経済
価格競争の激化で企業は価格転嫁もできず、ディスインフレが長引く可能性は高まっている
足下の中国経済は内需が勢いを欠くなかで外需の動向がカギを握る展開が続く。外需依存度が相対的に高い製造業ではマインドが改善する一方、内需依存度が高い分野は力強さを欠く対照的な状況にある。当局は不動産対策に動いたほか、金融市場は3中全会で何らかの対策に動くことを期待しているが、複雑な構造問題を勘案すれば一足飛びに事態打開が進むとは見通しにくい。さらに、足下では欧米などが中国への強硬姿勢を示すなど外需を取り巻く環境も厳しくなっており、景気の不透明感が増す動きもみられる。
内需の弱さに加え、供給過剰はディスインフレ圧力を招いている上、不動産市況の低迷という資産デフレが本格的なデフレを招く懸念もくすぶる。6月のインフレ率は前年比+0.2%、前月比も▲0.2%と下振れしており、生活必需品のみならず6.18商戦による価格競争の動きも幅広くディスインフレ圧力を増幅させている。他方、川上では原材料関連を中心に物価上昇圧力が強まる動きがみられるが、価格転嫁の難しさが川中段階から川下段階でのディスインフレ圧力を招いている。供給過剰に伴う過当競争がEVの値引き競争を招くほか、雇用不安による家計の財布の紐の固さもディスインフレ基調の長期化を招く懸念はくすぶる。
金融市場では3中全会での対策に加え、ディスインフレが金融緩和余地を生むと期待されるが、人民元安を恐れて動けない展開が続く可能性は高い。ミクロでみた中国は企業、技術に世界的な競争力を有する分野があるのは間違いない一方、マクロでみた中国経済を巡る状況は一段と厳しさが増す可能性がある。
【市場の目】ニュージーランド中銀はタカ派姿勢を後退、NZドル相場の行方は
第一生命経済研究所経済調査部主席エコノミスト・西?M徹氏
ニュージーランド中銀はタカ派姿勢を後退、NZドル相場の行方は
「タカ派」堅持のオーストラリアと対照的、先行きのNZドルの対日本円相場は方向感の乏しい展開も
ニュージーランド中銀は10日の定例会合において政策金利を8会合連続で5.50%に据え置いた。足下のインフレ率は依然中銀目標を上回る推移が続くが、中銀は足下の抑制的な政策スタンスがインフレ鈍化に繋がっていることを好感するとともに、年後半には目標域に回帰するとの見通しを示している。その上で、先行きの政策運営を巡って「抑制度合いは時間を掛けて緩和される」として、5月の前回会合ではより長期に亘って抑制的なスタンスを維持するとした考えからタカ派姿勢を後退させた。高金利通貨として注目を集めるオセアニア通貨を巡ってオーストラリアがタカ派姿勢を堅持しており、NZドルと豪ドルの力関係に差が生じることは避けられない。日本円に対しては大きく強含みする展開が続いたがその勢いの変化は避けられない一方、先行きは日銀の「次の手」も見出せないなかで方向感の乏しい動きが続く可能性も予想される。
過去最高値を更新した日米主要指数に上昇余地あり=大和
大和証券では、TOPIX、日経平均株価、S&P500、ナスダック総合指数、SOX指数がいずれも過去最高値を更新していることに注目。米大統領選ではバイデン大統領が依然出馬意欲を示して不透明感が高まっていないこと、FRBは9月利下げ開始の可能性が高いこと、TOPIXのEPSコンセンサス予想の上方修正傾向が続いていること、NT倍率に上昇余地があることなどから、2024年の夏はこれらの指数がいずれも高値圏で推移すると予想している。
国内企業物価は前年比上昇率が拡大=第一生命
第一生命経済研究所では、6月の企業物価指数を受けてリポートしている。6月は前年比+2.9%、前月比+0.2%となり、前年比は前月の+2.6%から上昇率が+0.3%pt拡大した。補助金が6月請求分から半減されたことで、電気・ガス代の前年比寄与度が押し上げられたことが上昇率拡大の要因となった。第一生命では、先行きの国内企業物価は年内は+2%台後半での前年比上昇が続くと見込んでいるが、エネルギーを除いた部分でも上振れリスクが高まっているとみている。企業物価は原材料などの動向に影響を受けやすいことから、先行きも上昇圧力は強く、上振れに注意が必要と指摘している。
【相場の細道】オバマ第50代副大統領から第47代大統領へ?
「報道ではさまざまな臆測が出ているが、私は選挙戦にとどまって最後まで戦い、ドナルド・トランプを打ち負かすと固く決意している」(バイデン米大統領)
バイデン米大統領は、6月27日の米大統領選に向けた討論会で高齢不安が再燃したことで撤退圧力が強まる中、連邦議会の民主党議員に書簡を送り、党内の混乱に終止符を打つよう呼びかけて撤退をあらためて拒否した。
1.ニューヨーク・タイムズ紙の撤退要請
■6月28日「バイデン氏は選挙戦から撤退すべきだ」
「トランプ氏の危険性、この国の将来、そしてバイデン氏の不安定さを考えれば、アメリカは共和党候補に対抗できる、より強力な人物を必要としている。民主党にとって極めて明確な道筋とは、バイデン氏では選挙戦を続けられないことを認め、11月にトランプ氏を負かすことが可能な人物を選ぶプロセスを始めることだ」
■7月9日
「肉体的、精神的な適性に関する有権者の懸念を無視し、国を重大な危険にさらしている。バイデン氏の反抗はトランプ氏に勝利を譲る恐れがある、と民主党の幹部から本人に伝えるべきだ」
2. 合衆国憲法修正25条
修正25条は、大統領が在任中に死亡するか辞任するか、または副大統領と過半数の閣僚が大統領の職務遂行は不可能と申し立てた場合、副大統領が大統領職を代行するものと定めている。申し立ては下院議長と上院議長に送られ、その時点でハリス副大統領がバイデン大統領の権限を「ただちに引き継ぐ」ことになる。
バイデン大統領は内閣の申し立てに拒否権を発動し、大統領職に復帰することができる。副大統領は4日間の猶予を与えられ、大統領の異議を事実上無効にするかどうかを判断する。無効にすると決定した場合、議会は48時間以内に会議を開き、上下両院は大統領が「権限と義務を遂行できない」のかどうかについて議決する。できないという決定をするには、両院とも3分の2以上の賛成が必要になる。
3. オバマ米第50代副大統領
ハリス第49代米副大統領がバイデン第46代米大統領に代わって民主党の大統領候補となり、副大統領にオバマ第44代米大統領を指名すれば、おそらくトランプ第45代米大統領に勝てるのではないだろうか。オバマ第44代米大統領も、トランプ第47代米大統領の誕生を阻止するためには、受け入れると思われる。そして、ハリス第47代米大統領が誕生した暁には、退陣して、オバマ第50代米副大統領が第47代米大統領に昇格させるという「プランB」も想定できる。
5月機械受注は外需が強いが内需がさえず=SMBC日興
SMBC日興証券では、5月の機械受注を受けてリポートしている。5月機械受注の民需(船舶・電力除く)は前月比-3.2%と、2カ月連続で前月から減少した。民需は今年に入ってから緩やかな増加基調にあったが、足元では回復に陰りが見られるとのこと。外需は半導体製造装置の好調が続いていることなどから、前月比+9.1%と2カ月連続で増加した。一方、インフレを背景に、設備投資の先行指標となる民需はさえない動きが続いている。SMBC日興では、設備投資が十分に回復するにはまだ時間がかかるとみており、当面は外需が機械受注をけん引する展開が続くと予想している。
中国証券監督管理委員会、株券転貸業務を禁止
中国証券監督管理委員会(CSRC)は10日、証券会社が証券金融会社などから株式を借り、空売りを行う投資家に転貸する「転融券」と呼ばれる株券貸借業務を禁止すると発表した。政府系金融機関の中国証券金融が7月11日付で転融券業務の申請受け付けを一時停止する。既存の転融券約定のロールオーバーは9月30日まで認める。
CSRCは2023年8月以降、株式相場の安定を目的に、証券会社が投資家に株券を貸す「融券」「転融券」業務に対する監督を強化してきた。今年2月には転融券の新規の積み増しを禁止した。同委員会によれば、24年6月末時点で融券と転融券の規模はそれぞれ64%、75%縮小。融券がA株の時価総額全体に占める比率は約0.05%となり、融券の1日当たり売り出し額はA株取引額の0.2%に低下した(以前は0.7%)。CSRCは国務院(内閣に相当)が今年4月に公表した「リスクコントロールの強化と資本市場の質の高い発展の促進に関する意見」(通称「国9条」)に従い、制度の公平性を維持し、市場の安定性の向上を重視する方針を示した。
株価指数先物【引け後】 終日4万2000円を上回って推移
大阪9月限
日経225先物 42370 +430 (+1.02%)
TOPIX先物 2929.0 +13.5 (+0.46%)
日経225先物(9月限)は、前日比430円高の4万2370円で取引を終了。寄り付きは4万2460円と、シカゴ日経平均先物の清算値(4万2470円)にサヤ寄せする形で買いが先行した。直後に付けた4万2470円を高値に軟化し、前場中盤に4万2120円まで上げ幅を縮める場面もあった。もっとも、押し目待ちの買い意欲は強く、前場終盤にかけては4万2150円~4万2300円辺りで保ち合った。後場に入っても保ち合いが続いたが、終了間際には4万2470円と朝方に付けた高値水準まで上昇した。直後に4万2230円まで軟化するなど、やや荒い値動きをみせたが、終日4万2000円を上回っての推移だった。
日経225先物は買い先行で始まった後は、前場中盤にかけて利益確定に伴うロング解消の動きとなった。ただし、押し目買い意欲は強く、ショートを仕掛けてくる動きは限られていたとみられる。ファーストリテイリング <9983.T> [東証P]、東京エレクトロン <8035.T> [東証P]、ソニーグループ <6758.T> [東証P]など指数インパクトの大きい値がさ株の一角が日経平均株価を牽引していた。また、買い一巡後に利食いに押されていたソフトバンクグループ <9984.T> [東証P]が後場に入り上昇に転じた動きからも、海外ファンドによる資金流入が続いていたと考えられる。
ボリンジャーバンドの+2σはナイトセッションで4万2320円辺りまで上昇し、+3σは4万3590円まで拡大してきた。+2σが支持線として意識され、同水準では押し目狙いのロング対応に向かいそうだ。グローベックス米株先物は小安く推移しているが、6月の消費者物価指数(CPI)の発表を控えているほか、前日の大幅高の反動も出やすいところだろう。
ただし、市場の予想では前月から上昇率の鈍化が見込まれているため、予想の範囲内であれば利下げ期待が強まる可能性があり、エヌビディア<NVDA>などハイテク株物色が強まる展開もありそうだ。東京市場へ買いが波及する展開が期待されるなか、オプションSQ(特別清算指数算出)に絡んだ売買の影響も想定しておきたい。
なお、NT倍率は先物中心限月で14.46倍に上昇した。指数インパクトの大きい値がさハイテク株の一角に利食いがみられていたが、後場の日経平均型のインデックス買いにより、上へのバイアスが強まる形となった。週末要因からリバランスの動きが入る可能性はありそうだが、方向性としては3月4日に付けた14.84倍が射程に入ってきた。
手口面(9月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が3万3407枚、ソシエテジェネラル証券が1万9454枚、サスケハナ・ホンコンが6606枚、バークレイズ証券が3596枚、JPモルガン証券が2767枚、ゴールドマン証券が2248枚、モルガンMUFG証券が2223枚、野村証券が2029枚、SBI証券が1722枚だった。
TOPIX先物は、ABNクリアリン証券が2万6816枚、ソシエテジェネラル証券が2万2613枚、JPモルガン証券が5422枚、バークレイズ証券が5308枚、サスケハナ・ホンコンが4384枚、モルガンMUFG証券が3293枚、ゴールドマン証券が3281枚、ビーオブエー証券が2791枚、野村証券が2050枚だった。
NY為替見通し=ドル円、米6月消費者物価指数(CPI)のサプライズに要警戒か
本日のNY為替市場のドル円は、前年比+3.1%と伸び率鈍化が予想されている米6月消費者物価指数(CPI)のサプライズに警戒する展開が予想される。
米6月CPIは前月比+0.1%、前年比+3.1%と予想されており、5月の前月比±0.0%からは伸び率上昇、前年比+3.3%からは伸び率鈍化が見込まれ、コアCPIは前月比+0.2%、前年比+3.4%と予想されており、5月の前月比+0.2%、前年比+3.4%からは伸び率は変わらずと見込まれている。
5月のコアCPIは四捨五入前で前月比+0.16%だったが、6月が+0.2%以上だった場合は、9月米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ開始確率が低下し、米10年債利回りの上昇、そしてドル買い要因となる。
ドル円は、7月3日の高値161.95円を上抜けて、「神田ライン」(過去28日間の安値から10円上昇)164.55円に向かって上昇していくことが予想される。
6月が0.15%未満(四捨五入で+0.1%)だった場合は、9月FOMCでの利下げ開始確率が高まり、米10年債利回りの低下、そしてドル売り要因となる。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」での9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ開始確率は70%付近、12月のFOMCでの利下げ確率は46%前後となっている。
また本日は、先週の新規失業保険申請件数などで、労働市場の状況を確認することになる。パウエルFRB議長は議会証言で「労働市場は強いが過熱してはいない。労働市場は完全にバランスを取り戻したようだ」と楽観的な見解を示していた。
・想定レンジ上限
ドル円の上値目処(めど)は、まず161.95円(7/3高値)、その上は162.75円(1986/12/22高値)
・想定レンジ下限
ドル円の下値目処(めど)は、160.26円(7/8安値)
NY株見通し-利下げ見通しを巡り6月消費者物価指数(CPI)に注目
今晩は米6月消費者物価指数(CPI)に注目。昨日はダウ平均が429.39ドル高(+1.09%)と3日ぶりに大幅反発し、S&P500とナスダック総合もそれぞれ1.02%高、1.18%高となりともに大幅に7日続伸した。S&P500は初めて5600ポイントを上回り、ナスダック総合とともに取引時間中の史上最高値も更新した。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が火曜日と水曜日の議会証言で高金利政策の長期化によるリスクに言及し、先行きの利下げを示唆したことが支援となったほか、木曜日と金曜日に発表される6月消費者物価指数(CPI)、6月生産者物価指数(PPI)の伸びが鈍化するとの見通しも追い風となった。
今晩は寄り前に発表される米6月消費者物価指数(CPI)が焦点となる。6月CPIは前年比+3.1%と5月分の+3.3%から鈍化が見込まれ、変動の大きい食品、エネルギーを除くコアCPIは前年比+3.4%、前月比+0.2%と、ともに前月から横ばいが予想されている。パウエルFRB議長の議会証言を受けて市場では9月米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ開始や年内2回の利下げ期待が高まっており、CPIの伸びが鈍化すれば、利下げ期待の一段の高まりが株式相場の追い風となることが期待される。
今晩の米経済指標・イベントは6月CPIのほか、新規失業保険申請件数、米30年債入札など。企業決算は、寄り前にペプシコ、デルタ航空が4-6月期決算を発表し、第2四半期決算発表シーズンがスタートする。
このIDをNGリストに追加する
今後このIDの書き込みやスレッドを表示したくない場合、以下のボタンをクリックしてください。
NGリストに追加