【市場の目】ニュージーランド中銀はタカ派姿勢を後退、NZドル相場の行方は
第一生命経済研究所経済調査部主席エコノミスト・西?M徹氏
ニュージーランド中銀はタカ派姿勢を後退、NZドル相場の行方は
「タカ派」堅持のオーストラリアと対照的、先行きのNZドルの対日本円相場は方向感の乏しい展開も
ニュージーランド中銀は10日の定例会合において政策金利を8会合連続で5.50%に据え置いた。足下のインフレ率は依然中銀目標を上回る推移が続くが、中銀は足下の抑制的な政策スタンスがインフレ鈍化に繋がっていることを好感するとともに、年後半には目標域に回帰するとの見通しを示している。その上で、先行きの政策運営を巡って「抑制度合いは時間を掛けて緩和される」として、5月の前回会合ではより長期に亘って抑制的なスタンスを維持するとした考えからタカ派姿勢を後退させた。高金利通貨として注目を集めるオセアニア通貨を巡ってオーストラリアがタカ派姿勢を堅持しており、NZドルと豪ドルの力関係に差が生じることは避けられない。日本円に対しては大きく強含みする展開が続いたがその勢いの変化は避けられない一方、先行きは日銀の「次の手」も見出せないなかで方向感の乏しい動きが続く可能性も予想される。