この時間に埋まるのかと
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裁判官
チョモランマ
アリスとテレス
溢れ出る
奴隷商「ちっ、ここを超えねーといけねーってわけかよ」
部下「みたいですね……」
奴隷商「めんどくせぇ。つーか馬の体力持つのかこれ」
部下「しかしここさえ超えれば一攫千金。金の山だと思って」
奴隷商「まあそうだな。金のためだ。俺らの飯の種だ、行くしかねぇか」
奴隷商「おい、ガキ共に伝えてこい。凍死でもしやがったら馬の餌にしてやるからな、しりとりでもして意識だけははっきりさせとけってな」
部下「へい」
ーーーーーーーーーー
ガシャッ
部下「おいてめーら」
ガキ共「……」ブルブル
部下「これから大きな山を超える。寒さも一層増すだろう。が、お前らは商品だ。死なせるわけにもいかない」
ガキ共「……」
部下「俺にはなんもできねぇが、『しりとりでもして意識だけははっきりさせとけ』とボスが言っていた」
ガキ共「……」プルプルプル
部下「……それだけだ」
バタンッ
部下「あいつら、凍えてました」
奴隷商「……知ったこっちゃねぇ。まあ、五匹も残ったら上出来と思おうや」
部下「……」
ーーーーーーーーーー
ガタガタガタ
鼻たれ「……僕たち、どうなるのかな」
ブス「……決まってるわよ。次の街で売られる」
ハゲ「寒すぎてつま先の感覚がなくなってきた……」
ブス「……ほら、みんなもっとくっついて。体で温めあうのよ」
ハゲ「……」ブルブル
鼻たれ「おい近寄るなよハゲ」
ハゲ「だって、寒すぎて……」
鼻たれ「うるせーハゲが移る」
ロリ「……」
ブス「ねぇ、あなた、名前はなんだっけ?」
ロリ「えっ……。」
ブス「名前よ!もしかして、名前がないの?」
ロリ「……ない」
ブス「そうなの。でも珍しいことじゃないわ。この荷馬車にいる半分以上の子は、名前も親も希望もなにもない」
ロリ「……」
ブス「私には名前があるけどね。私『マーガレット』。よろしくね」
ロリ「よ、よろしく……」
マーガレット「……それにしても寒いわね。凍えてる12人の子供に対して、くたびれた毛布が3枚。なんなのよ全く」
ロリ「……」
マーガレット「あなた、昔はどんな子だったの?」
お前帰ってきたのか
ブスのくせに可愛い名前じゃねえか
ロリ「むかし……?」
マーガレット「そう。奴隷商に捕まる前」
ロリ「……わかんない。気付いたらつかまってた」
マーガレット「そうなの……」
ロリ「……」
マーガレット「……私は元々、貴族の産まれなのよ。こう見えてもね」
ロリ「へぇすごい……」
鼻たれ「うわ出たよマーガレットの貴族自慢。まじで死ね」
ハゲ「本当にそういうところ性格悪いよね。こんな現状で話すことじゃない」
マーガレット「うっさいわ貧民産まれの負け組!」
ロリ「貴族の産まれなのに、どうしてこんな……」
マーガレット「……よくある話よ。私の父が連帯保証人になって、借金背負い込まされて自殺。母が生活苦と精神疲労で私を売り飛ばした。それで今に至るわけ」
ロリ「すごいね……」
マーガレット「すごい?」
ロリ「私なんかより、よっぽど辛い思いしてる」
マーガレット「……どうかしらね」
ロリ「……」
マーガレット「そうそう、あなた名前がないのよね?」
ロリ「……」
マーガレット「だったら私がつけてあげる。あなたの名前は、そうね……」
マーガレット「『アリス』。あなたの名前は『アリス』よ」
谷村新司よ
マーガレットちゃんかわいいけどブス
ぜひ完結させてくれ
最近のSSスレは未完成で終わる
アリス「どうして、『アリス』なの?」
マーガレット「それはね、私が大好きなおとぎ話、その主人公の名前がアリスだから」
アリス「……どんなお話?」
マーガレット「そうね、どう話せば良いのかしら」
アリス「……」
マーガレット「まずはタイトルからかしらね。タイトルは……」
ーーーーーーーーーー
鼻たれ「だから俺は言ってやったんだ!『お前みたいな親に産まれたことが、世界で一番不幸なことだ!』ってな」
ハゲ「……」
鼻たれ「どう?かっちょいいだろ?」
ハゲ「で?今ここにこうしている感想は?そのときの不幸度と今の不幸度どっちが高いの?」
鼻たれ「……」
ハゲ「そんなこと言わないで、素直にごめんって謝ってれば、今頃ママの膝でゆっくり眠れたのにね」
鼻たれ「うるせぇ!殺すぞ!」
ハゲ「……」
鼻たれ「……」
ハゲ「……寒い」
鼻たれ「……だな」
ハゲ「……」ソロソロ
鼻たれ「近寄んなハゲが移る」
ハゲ「……はぁ。もういい、寝る」
鼻たれ「おう、俺も寝るわ」
ーーーーーーーーーー
アリス「……」クークー
マーガレット「でね、女王が言うの。『この子の首をはねておしまい!』……ってあれ?寝てるの?」
アリス「……」
マーガレット「……おやすみ。アリス」
鼻たれ「……」
マーガレット「……」
ガシャッ
部下「……」
ガキ共「!?」
部下「馬が限界だ。原因は荷物が重すぎるせいだ」
ガキ共「……」ビクビク
部下「……」
部下「おい、そいつと、そいつ」
アリス「……」
ハゲ「……」
部下「死んでるのか?」
マーガレット「生きてるわ!寝てるだけよ!」
部下「……そうか。悪いが降りてもらう」
マーガレット「……!?」
鼻たれ「おい!」
部下「……奴隷が俺に触れるな」
鼻たれ「……」
マーガレット「……」
部下「せめてもの情けだ。意識があるまま凍えるより、寝ながら凍え死んだほうが痛みは少ない」
マーガレット「ひどい……!」
部下「よっこらせっくすっと」グイッ
ハゲ「……」クークー
アリス「……」クークー
部下「……」ドサッ
マーガレット「……アリス」
鼻たれ「……ハゲ」
部下「さようならだ」
ーーーーーーーーーー
ハゲ「うー、さぶっ!」
アリス「……」クークー
ハゲ「……え?あれ?馬車は……?みんな……?」
アリス「……」
ハゲ「お、おい、起きろ」ユサユサ
アリス「へ、ヘックチョィ!」
ハゲ「きたねっ!おいふざけんなよ、お前何日も歯磨きしてない唾を飛ばすんじゃないよ」
アリス「……?」
ハゲ「……」
アリス「……」
ハゲ「どういうことだ……」
アリス「……」
ハゲ「自由の身になったってことなのか……?わからん。なんにもわからん」
アリス「……みんなどこ?」
ハゲ「知るかよ。ほら、立て。うー、さみぃ」
アリス「……」
ハゲ「とりあえず歩こう。轍を見るに、馬車はあっちに行ったらしい。何日か歩けば街に着くはずだ」
アリス「……ふらふらする」
ハゲ「だろうな。疲労、寒さ、栄養失調。全てがピークに達してる」
アリス「……」
ハゲ「この岩山。近くに食べれそうなものもない。動くしかない」
アリス「……わたし、死ぬのかな」
ハゲ「このままだとそうなる。けど、意図せずせっかく自由の身になったんだ。満喫しないと」
アリス「ポジティブだね」
ハゲ「ポジティブすぎてハゲたわ」
アリス「……意味わかんない」
ハゲ「あ、ちょっと笑ったな?いいぞ、大事だぞ笑うことは」
アリス「ほら、行こう」
ハゲ「おう」
マーガレット「……」
鼻たれ「……」
マーガレット「あの子たち、大丈夫かしら」
鼻たれ「……だと良いな」
マーガレット「冷たいわね。モテないわよ、そんなんじゃ」
鼻たれ「うっせーんだよブスッ!話しかけんなボケ!なにイイ女演じてんだよ?ブスだからね、お前は」
マーガレット「見た目の醜さより、心の美しさが人を惹き付けるのよ。逆もまた然り」
鼻たれ「うっぜ」
マーガレット「……助けに行くわ」
鼻たれ「は?」
マーガレット「次、食事の配給がきたら全力で死んだふりをするの」
鼻たれ「……」
マーガレット「……」
鼻たれ「一人でいけよ。俺はこの極寒の中、果てしない旅にブスと二人で出るつもりはない」
マーガレット「そう、わかった」
鼻たれ「……ちっ」
ーーーーーーーーーー
アリス「……ハァハァ」フラフラ
ハゲ「おい、大丈夫かよ」
アリス「……ハァハァ」
ハゲ「やばそうだな。一旦休憩しよう」
アリス「……アリスは」ハァハァ
ハゲ「……は?」
アリス「アリスは、どうなっちゃったの。トランプの裁判……」ハァハァ
ハゲ「……トランプ、裁判、アリス」
アリス「……ハァハァ」
ハゲ「……」
アリス「お名前、なんて言うの……?」
ハゲ「名前?俺の?」
アリス「……」
ハゲ「……そんなこと知ってどうする」
アリス「……」
ハゲ「……」
アリス「……」
ハゲ「『テレス』だよ」
アリス「……名前が、あるのは良いこと」
テレス「……お前は?」
アリス「『アリス』。」
テレス「……『アリス』か。良い名前じゃないか。誰がつけてくれたんだ?」
アリス「……内緒」
テレス「……酷なことを言うが、お前はもうじき死んでしまうだろう」
アリス「……知ってる」
テレス「……そうか。俺もあんまり余裕がない」
アリス「……知ってる」
テレス「もう少し長生きして、植毛して結婚して子供つくって、普通に生きてみたかったなあ」
アリス「……私はそうは思わない」
テレス「なんで?」
アリス「……名前をもらうことができたから。わたしの人生で唯一、人からもらったもの」
テレス「……」
アリス「初めてだけど、最期でいいの。マーガレットみたいに、知りすぎて不幸にはなりたくない」
テレス「……知らなければ傷つくこともないか」
アリス「……」
テレス「……」
アリス「……眠くなってきちゃった」
テレス「……俺も」
ハゲかっこよすぎワロタ
マーガレット「……ハァハァ!」
鼻たれ「……くそがくそがくそが!!」
マーガレット「黙って走って!」
鼻たれ「るっせぇ!」
ーーーーーーーーーー
ガシャッ
部下「食事の時間だ」
ガキ共「……」
部下「……そこで寝てる二人は」
ガキ1「……冷たい。二人とも 」
部下「そうか、死んでるか。死んでるなら仕方ないな」グイッ
マーガレット「……」
鼻たれ「……!」
ドサッ
部下「……」
部下「……達者で暮らせ」
ーーーーーーーーーー
マーガレット「あいつ、気づいていたのかしら」
鼻たれ「どうだかな!」
マーガレット「わざわざポケットにパンまで詰めてもらって」
鼻たれ「……」
マーガレット「……」
鼻たれ「……」
マーガレット「……」
鼻たれ「あ、おい!いたぞ!」
マーガレット「……!?」
鼻たれ「……」
マーガレット「……」
アリス「……」
テレス「……」
鼻たれ「……冷たい。死んでる」
マーガレット「……」
鼻たれ「遅かったか……」
アリス「……」『あっ、白いウサギだ』
マーガレット「……」
アリス「……」『どんどん行っちゃう!追いかけなきゃ!』
マーガレット「……」
アリス「……」『待って!置いていかないで!』
マーガレット「……そしてアリスは言ったのよ。『あなたたちはただのトランプよ!』」
アリス「……」『穴に落ちちゃったわ!私も行かなきゃ!』
マーガレット「するとトランプの兵隊は、舞い上がってヒラヒラと落ちたの」
アリス「……」『どこまで続くの、この穴は……?』
マーガレット「気づいたら、アリスはお姉さんの膝の上で寝ていた。丁度、上から枯れ葉がヒラヒラと落ちてきたの」
アリス「……」『不思議な穴だわ……』
マーガレット「……これでおしまい」
アリス「……」『ようやく下が見えてきたわ』
マーガレット「アリス……。私の最期の友達……」
鼻たれ「……そろそろ行こう」
マーガレット「……ええ」
アリストテレス「という話が、わしの名前の由来らしいのお」
> そうなんだ!すごいね! <
´ ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄
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/ ・ ゙! /・ `ヽ
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ヽ、 (三,、, _) /
/ー-=-i'’ (____,,,.ノ
|__,,/ |__ゝ
おわり
エロスがねぇ!「溢れだす」もねぇ!
四時間後には仕事だ!最高!
普通にいい話でどう反応していいの分からない
やるじゃねぇか!乙だぜ!泣いたぜ!
久々だなおい
2回死んで4回生き返れ
相変わらず読ませる文章だな
ホッとした