― ギルガメッシュの酒場,街
勇者「全てを破壊する魔王が現れたんだよ」
勇者「まだ伏せてあるけど、王も知っている」
勇者「男の助けが必要なんだ。力を貸してくれ」
勇者「大陸に魔王が現れて、この街や世界をも滅ぼそうとしているんだ」
男「お前…本気、なのか?」
勇者「俺はいつだって本気だ」
男「すまない…考えさせてくれ」
勇者「いや、いいんだ。突然のことだからな。だが忘れないでくれ。あまり時間がないんだ」
勇者「これは信頼してるから話したんだ。あと、他言無用で頼む」
男「ああ…わかっている」
― ギルガメッシュの酒場,街
勇者「全てを破壊する魔王が現れたんだよ」
勇者「まだ伏せてあるけど、王も知っている」
勇者「男の助けが必要なんだ。力を貸してくれ」
勇者「大陸に魔王が現れて、この街や世界をも滅ぼそうとしているんだ」
男「お前…本気、なのか?」
勇者「俺はいつだって本気だ」
男「すまない…考えさせてくれ」
勇者「いや、いいんだ。突然のことだからな。だが忘れないでくれ。あまり時間がないんだ」
勇者「これは信頼してるから話したんだ。あと、他言無用で頼む」
男「ああ…わかっている」
― 城下町
勇者「今日はこっちで仲間を集めてみるか」
勇者「お、あれは僧侶さん。彼女なら信用できるな」
僧侶「あら、勇者さま。こんにちは」
勇者「僧侶さん、こんにちは」
僧侶「何か、お困りですか?」
勇者「はは、僧侶さんには隠せないな」
勇者「実は、貴女を見込んでお願いがあります」
勇者「北の果てに魔王が降臨しました。私は、魔王の討伐に向かいます」
勇者「その供に加わってもらえないでしょうか?」
僧侶「わかりました。お引き受けしましょう」
勇者「ありがとう!貴女が居れば絶対に勝てます!」
僧侶「まあ、勇者さまったら」
4円
男「勇者!やはり、こっちに居たか」
勇者「男じゃないか。来てくれたのか」
男「ああ。いろいろ考えたんだが、同行させてくれ」
勇者「やはり、思ったとおりだ。お前は頼りがいがあるぜ」
勇者「それから、紹介するよ。こちら僧侶さん。俺たちに賛同してくれた仲間だ」
僧侶「よろしくお願いします」
男「ああ、よろしく」
勇者「それで、そちらの人は?」
女「…」
男「こちらは魔術師の女さん。かなりの使い手だ」
男「それに信用できる人だ。勇者には悪いが、俺から話をしてしまった」
勇者「男が信じるなら、俺も信じるさ」
男「すまない。ありがとう」
勇者「俺とお前の仲じゃないか。いいってことよ」
勇者「女さん、よろしくな」
女「よろしく」
― 町外れ
男「ハァ、ハァ、ハァ」
男「皆、すまない。足を引っ張ってしまって」
勇者「気にすんなって。だけど鍛錬はスパルタで行くぜ、ハハッ」
男「ここまで戦闘が下手になっているとは…すまん」
僧侶「女さんは本当にすごいのですね」
女「…そんなことない」
勇者「それじゃあ、次行ってみよう!」
男「ああ」
僧侶「はい!」
女「…うん」
― 門,城下町
勇者「男もだいぶレベルアップしたし、北へ向かおうと思う」
男「わかった」
僧侶「いよいよですね!」
勇者「そうだ。だが無茶は無しだ」
勇者「俺もまだ弱い。北へ向かいながら皆で力をつけていこうと思う」
勇者「そこでだ。ギルドで一つ依頼を受けてきた」
勇者「次の町まで隊商の護衛だ」
男「なるほど」
女「隊商はどこ?」
勇者「もうすぐ待ち合わせの時間なんだが」
旅商人「おーい」
― 次の町
旅商人「護衛、ありがとうございました」
旅商人「また、機会があればよろしくお願いしますね。それでは失礼します」
勇者「それでは」
勇者「さて、宿を取ったら情報収集に出ようか」
男「そうだな」
僧侶「はい!」
女「…うん」
勇者「何か情報はあったか?」
男「ここから北へ行った二つ先の肆の町付近で魔物の動きが活発だと噂になっている」
僧侶「教会では、その町と連絡が取れなくなってるとか」
女「…あやしい」
勇者「怪しいな。肆の町への移動を最優先にして、依頼はついでにしようか」
勇者「今日は休んで明日に備えよう」
男「わかった」
僧侶「はい!」
女「…うん」
― 肆の町付近
男「参の町での情報通りだな。魔物が見張り台に立っている」
勇者「やはり魔王軍に占拠されているのか」
女「勇者、義勇軍が着いた」
勇者「わかった。作戦会議だ」
僧侶「はい」
義勇軍将軍「勇者殿、馳せ参じたぞ。貴殿の言葉に心打たれた者が集まった」
勇者「いえ、私だけじゃない。貴方の力添えがあったからこそです」
女「作戦」
義勇軍将軍「そうであった。して、どのような?」
勇者「それは女さんから説明します」
女「町の門は1ヵ所。守りが堅い。だけどもう一つ、人しか通れない通用門がある」
女「ここから私たちが潜入し、大将の首を取る」
女「義勇軍は門を攻めて陽動とする」
― 肆の町
勇者「これで止めだ!」ザシュ
魔物大将「ぐほぁ」ドサッ
僧侶「やりましたね!」
女「まだ敵は残っている。気を抜かないで」
男「魔物は門に集まっている。挟撃しよう」
勇者「男も中々言うようになったな!行くぞ!」
僧侶「はい!」
女「…うん」
義勇軍将軍「勝ち鬨をあげよ!」
― 街道
勇者「だいぶ進んだな」
男「ああ、そうだな」
勇者「次の町で装備を見直そうか」
男「…」
勇者「おい、男。聞いているのか?」
男「ん?ああ、すまない。考え事をしていた」
勇者「しっかりしてくれよ。お前は前衛の要なんだからな」
勇者「それにしても旅の始めに比べたら、男もだいぶ成長したよな」
男「悪かったよ。勘弁してくれ」
僧侶「ふふ」
女「ふふっ」
― 砦付近
女「おそらく、あの砦が魔王城の防衛線」
勇者「ここを抜けたら魔王城って訳か」
女「そう」
男「気合を入れないとな」
僧侶「大丈夫でしょうか」
勇者「俺たちだってかなり力をつけた。無茶をする気は無いよ」
勇者「それに僧侶の加護があれば平気さ」
僧侶「勇者さまったら」
男「お熱いことで」
女「そうそう」
― 砦内部
男「あっけなかったな」
勇者「だから言っただろ?俺たちだって強くなったんだぜ」
女「そう」
僧侶「そうですね」
勇者「ここでキャンプするか」
女「転送魔法で一度街に戻ったほうがいい」
勇者「そうか?それじゃ、砦から少し離れて転送魔法を使おうか」
女「それがいい」
男「街で一杯やるか?」
勇者「僧侶が飲めないからなあ」
女「…私が行ってもいい」
僧侶「あらあら」
勇者「はは、男も隅に置けないな」
勇者「それじゃあ、集合はいつもの時間な」
― 魔王城付近
男「いよいよだな」
勇者「ああ、決着をつける」
僧侶「無茶はいけませんよ」
女「そうそう」
勇者「もちろんさ」
勇者「義勇軍も来ている。城攻めは彼らに任せて、俺たちは俺たちの仕事をするさ」
勇者「時間だ。行こう」
― 魔王の間,魔王城
勇者「これで止めだ!」ザシュ
魔王「ぐわっ!」
魔王「これで…勝ったと思うなよ…第二第三の魔王が…この世界を…っ」ガクッ
僧侶「やりましたね!勇者さま!」
勇者「ああ!これで世界は救われる」
女「…うん」
男「そうだな」
勇者「さあ、城へ戻ろう」
― 城下町
勇者「王への報告も終わったな」
男「意外とあっさりしてたな」
勇者「これで、このパーティも解散だ」
男「少し寂しいな」
勇者「なあに。別のミッションでもあれば、またすぐ集まれるって」
勇者「皆、これからどうするんだ?」
女「街でゆっくりする」
男「俺もそうするかな」
勇者「俺はもう少し、ここに居るよ」
僧侶「私も残ります」
勇者「それじゃ、一時のお別れだな。またな皆」
男「ああ、またな」
女「また」
・
・
・
勇者「さてと」
グニャア
勇者「そんなっ!?視界が歪む―」
ブツン
勇者「たはっ」
勇者「ここは街!?強制転送された!?」
勇者「さっきまで町に居たはず。何が起こったんだ」
勇者「嫌な予感がする」
― 酒場,城下町
男「…」グビッ
女「…」グビッ
勇者「おお、男。それに女も。いい所に居た」
勇者「実は先日、大陸各地で怪奇現象が観測されたんだ」
男「どういうことだ?」
勇者「時空の歪みとでも言うべき現象で、強制的に転送されたんだ」
女「官報は?」
勇者「関連する告知は全く無い」
女「いたずらは?」
勇者「その可能性は無い。俺も現象を体験したんだから間違いない」
勇者「それから、この石板を見てくれ。怪奇現象の後、大陸中にばら撒かれたんだ」
男「これは」
女「ありふれた物」
勇者「だが、文字が刻まれている」
勇者「『真魔王は街に顕現した。ここに魔王城を定める。世界を滅ぼす』ってな」
勇者「これは真魔王って奴からの挑戦状だ」
ごめん
つまらない
男「それでどうするんだ?」
勇者「今回の件では、王は当てにできない」
勇者「今、僧侶と義勇軍将軍が密かに仲間を募っている」
勇者「真魔王城は街にあるかなら」
女「誰でも行ける訳じゃない」
勇者「そうだ。それもあるし諜報の恐れもある」
女「冴えてる」
勇者「女に言われるとむず痒いな」
女「…作戦は?」
勇者「それが、まだなんだ」
女「やっぱり駄目だ。私に考えがある」
勇者「そうこなくちゃ」
― 真魔王城近く,街
勇者「皆、集まってくれてありがとう」
義勇軍将軍「勇者殿、頭を上げてくだされ。皆、一騎当千の猛者ばかり」
義勇軍将軍「義勇軍の大将として我らに下知を」
勇者「わかった。作戦を説明する」
勇者「真魔王城の出入り口は2ヶ所、門と裏口だ」
勇者「すでに出撃しているが男と女が別働隊として裏口から城へ潜入、真魔王城の結界の動力炉を止める」
勇者「動力炉が止まれば、あの魔法の篝火も消えるはずだ」
勇者「それを合図に俺たち義勇軍は門から突入、各階を制圧する。真魔王は最上階に居るはずだ」
勇者「必ず1班3人で行動しろ。皆、生きて帰るぞ。いいな」
オー!
僧侶「男さんたちは大丈夫でしょうか」
勇者「心配要らないさ。それにゴーグルに皆のバイタルも出るようにしている」
勇者「作戦開始の時間だ」
ドーン
勇者「戦闘が始まった!?近衛兵か!」
勇者「…ッ」
カッ! ドーン
僧侶「勇者さま…門の奥から閃光が」
勇者「大丈夫だ。あいつらは、ただじゃ死なない」
義勇軍将軍「明かりが消えた!」
勇者「続け!突入するぞ!」
勇者「僧侶!離れるなよ!」
僧侶「はい!」
― 真魔王城内部
勇者「真魔王の兵はこの程度か。他愛も無い」
僧侶「研究員が多いようですね」
勇者「階段は1ヵ所しかない!1班はこの階に残れ!皆、我に続け!」
オー!
勇者「ここが真魔王の間か」
僧侶「いよいよですね」
勇者「ああ、必ず勝とう」
勇者「真魔王!覚悟しろ!」
真魔王「なんなのだ、貴様らは!」
勇者「平和を乱す輩!喰らえ!」ボコッ!!
真魔王「ぐぼあ」
義勇軍将軍「生け捕りにしたか」
勇者「ああ、こいつには皆の前で裁きを受けてもらう」
義勇軍将軍「男殿と女殿だが」
勇者「言うな。わかっている」
勇者「あいつらのおかげで今がある」
勇者「…皆の前で勝ち鬨をあげよう。表に出るぞ」
デテキダゾ
勇者「勝ち鬨をあげろ!」
エイエイ!オウ!
カクホー!
勇者「!?」
僧侶「!?」
カクホー!
勇者「憲兵共め!何をする!放せ!」
僧侶「勇者さま!」
カクホー! カクホー!
勇者「こらっ!僧侶から離れろ!」
僧侶「勇者さまっ!勇者さまーっ!」
――――――
―――
―
・
・
・
・
・
― 居酒屋”ギルガメッシュの酒場”,街
男「…何を言ってるんだ?」
勇者「だから、大陸に魔王が現れて、この街や世界をも滅ぼそうとしているんだ」
男「大陸はわかるが、この街は関係ないだろ」
勇者「それがあるんだ。大有りなんだよ」
男「お前なにを…っ。本気、なのか?」
勇者「俺はいつだって本気だ」
男「すまない…考えさせてくれ」
勇者「いや、いいんだ。突然のことだからな。だが忘れないでくれ。あまり時間がないんだ」
勇者「これは信頼してるから話したんだ。あと、他言無用で頼む」
男「ああ…わかっている」
男(行ったか…。あいつの眼は本気だった。いったい何が起こったんだ)
男(あの話を切り出すまでは普通だったのに)
男(お互いゲーム好きで友人になったが、あいつはゲームと現実を混同するような奴じゃなかった)
女「ここ、いいかしら?」
男「え?ああ、どうぞ」
男(けっこう、かわいい娘だな)
女「ねえ、貴方。ゲームと現実との区別がつかない人のこと、どう思う?」
男「は!?あなた何を言って!?」
女「ごめんなさい。少し聞いちゃったの。でも知りたくない?どうして、ああなったのか」
男「…」
女「HMD、ヘッドマウントディスプレイを使ったヴァーチャルMMORPG。あのゲームのせいよ」
女「あれはね、ログアウトした後も現実でゲームの幻覚を見る致命的な問題があったの」
男「どういうことだ」
女「お金を使わせる為に射幸心を煽るでしょ?その延長の産物よ」
女「アルファからベータ開始直後は酷かったわ。今はだいぶマシだけど」
男「そんなこと!許される訳が」
女「だから、友達を助けたかったら協力してちょうだい」
― 酒場,ゲーム
男「いろいろ考えたんだが、同行させてくれ」
勇者「やはり、思ったとおりだ。お前は頼りがいがあるぜ」
勇者「それから、紹介するよ。こちら僧侶さん。俺たちに賛同してくれた仲間だ」
僧侶「よろしくお願いします」
男「ああ、よろしく」
男「(女、ほんとに幻覚の方は大丈夫なんだろうな?)」
女「(パッチあててるから大丈夫。虎穴に入らんば虎児を得ず、よ)」
女「(それに、ゲーム内での協力者も必要なの)」
男「(…わかったよ)」
― 男宅,街
男「駄目だ…あの頭と直結する感覚、気持ち悪い」
女「早くゲームに慣れてよね」
男「現実の5分がゲーム内で1時間…。あれだけやって、半日も経ってないのかよ」
女「仕様に文句言わないでよ」
男「それはそうと、お前、家にあがりこんで大丈夫なのか?」
女「下手にチャットや電話を使って記録を残すより、こっちのほうが安全なのよ」
男「ゲーム内のチャットは?」
女「あれはログが最終的に残らない仕様だし、パッチでも重ねて対策しているわ」
男「そうか」
女「それに、あなたのこと信用してるしね」
男「常套句だな、それ」
男「なあ、幻覚が見えているかどうか、どうやって他人が判断するんだ?」
女「幻覚が見えている人は、ゲームと現実の区別が全くつかなくなるわ。つまり区別がついているうちは大丈夫よ」
男「そんな…」
面白い
― 街道,ゲーム
勇者「だいぶ進んだな」
男「ああ、そうだな」
男(旅を始めて約2週間。現実では3日)
男(確かに、このゲーム内には魔王を名乗る者が居る)
男(魔王城を攻略するのは明後日あたりになるのか?)
男(俺と女はチート行為をしているとは言え、とんとん拍子だ)
男(けれど、これに何の意味が)
勇者「おい、男。聞いているのか?」
男「ん?ああ、すまない。考え事をしていた」
勇者「しっかりしてくれよ。お前は前衛の要なんだからな」
― 魔王城,ゲーム
勇者「これで止めだ!」
魔王「ぐわっ!」
魔王「これで…勝ったと思うなよ…第二第三の魔王が…この世界を…っ」ガクッ
僧侶「やりましたね!勇者さま!」
勇者「ああ!これで世界は救われる」
男(この魔王、ボスキャラクターなのか?確かに強かったが、得られた経験値は少ない)
男(な!?あのエフェクト、魔王がログアウト!?)
男「(おい、女。魔王がプレイヤーってのは、どういうことだ)」
女「(…後で話すわ)」
― 街
男「なあ、教えてくれ」
男「それに、どこへ連れて行く気だ」
女「ここよ」
男「ここ?この建物は…サーバー管理会社?」
女「そうよ。ゲームのサーバーを管理してる会社。そして…」
男(建物から誰か出てきたな)
男「…あいつは!」
女「魔王の居るところよ」
女「ちょっといいかしら?」
魔王「なんですか?…貴様ら!勇者一行の!」
魔王「よもや転送魔法で、ここまで追いかけてくるとはな」
男「こいつは」
女「力を失った魔王なんて、怖くないわ!あなたはここで、私と彼に再び倒されるのよ」
男「何を言って」
魔王「なぜ、それを!?」
女「あら、その建物に大切に保管されてる記録の箱の解放も終わってると思ってたけど、まだなのね。助かったわ」
魔王「フハハハ!貴様らの思い通りにはさせんわ!」
魔王「力を取り戻した暁には、真っ先に貴様らを血祭りに上げてやる」ダッ
男「おい、また建物に戻って行ったぞ。大丈夫なのか?」
女「大丈夫よ、たぶん。それに私たちに何かある前に、あいつが警察のお世話になるでしょ」
女「さ、帰りましょ」
男「おい、いい加減教えてくれ。お前は何をしようとしている」
女「…復讐よ」
女「あのゲームを開発して運営している、ゲーム会社にね」
男「どういうことだ」
女「ゲームの基幹部分は、兄が開発したの。でも幻覚を見る欠陥がわかって、止めようとしたわ」
女「でも、会社は許さなかった。それどころか兄を罠にはめて解雇した」
女「あの魔王は、その罠の手引きをしたのよ」
女「それでも兄は止めようとしてたけど、交通事故で死んだわ」
男「そんなことが」
女「兄は沢山の資料を残してた。おかげで事実を知ることが出来たわ」
女「だから誓ったのよ。あのデータを壊して、幻覚のことも隠したことも全部バラして、あいつら後悔させて」
女「その為なら、あなたの同情だって」
男「それ以上は…言わなくていい」
― 酒場,ゲーム
男(魔王が都合よくサーバーの電源を落としたせいでゲームは混乱した)
男(それを真魔王降臨というデマにすり替えるなんて)
男「(上手くいくのか?)」
女「(大丈夫よ、たぶん)」
男「(生産アイテムをチラシ代わりにするとはな。運営にバレないか?)」
女「(別IPの別アカウントで作ってるから大丈夫よ)」
男「(パッチといい、チートといい、この兄にして、この妹あり、か)」
女「(ゲームを破壊するだけが目的じゃないのよ)」
勇者「おお、男。それに女も。いい所に居た。実は―」
女「(ほらね)」
男「(…そうだな)」
― ゲーム会社,街
男「義勇軍には20人程集まったようだ」
女「けっこう集まったのね」
女「今、勇者たちのHMDに、私たちの偽のバイタルを表示しているわ」
女「裏口から入って5分以内に作戦行動を終えて撤退すること。いいわね?」
男「わかってる」
男「防音イヤーマフ、遮光グラス、スタンガン、スタングレネード。どうやってスタングレネードなんか」
女「ネット通販よ」
男「…そうか」
女「時間ね。行くわよ」
男「清掃会社から来ましたー」
警備員A「ご苦労様」
男「どもー」ポイッ
カッ!バーン!
女「…」バチッ
警備員A「」ドサッ
警備員B「!?」
男「…」バチッ
警備員B「」ドサッ
男(エントランスホールにも目くらましをっと)ポイッ
カッ!バーン! キャー
女「配電盤は…」
警備員C「…」ソーッ
男(3人目がいた!女の背後に!危ない!)バチッ
警備員C「」ドサッ
女「…ありがと。よし、これで建物の電源を切るわよ」
バチン
女「地下サーバー室の入口は、ここね。緊急電源は動いてるわね」
男「上は始まったぞ」
女「IDカード、とパスコード入力して…」ピピピ
ガチャン
女「兄のID残しとくなんて、ざるもいいところね」
女「さてと」カタカタカタ
男「あと2分だ」
女「慌てないの」
女「これね」カタカタカタ
女「これで…」
男「…」
女「…」カタン
男「行こう。すぐに警察が来る」
― 男宅
男「データは」
女「ゲーム会社のデータも壊した。サーバー会社のデータも同期してたから壊した」
女「防犯カメラの録画データも、サーバー室の入退室記録も、ログイン記録も、全部壊した」
男「終わったんだな」
女「ええ…終わったわ」
女「…くっ…ううっ」
男「…」ギュ
女「…ううっ」ギュウ
男(幻覚の発症や、その隠蔽工作に関する資料もリークした)
男(世論も動いた。これでもう、あの手のゲームで幻覚を見る者は出ないだろう)
男(勇者たちは暴徒として捕まったが、今は精神障害の患者として病院で治療を受けている)
男(治る見込みは…まだ無い)
男「俺は…何の為に」
男「いや…俺は、あいつの…」
― 居酒屋”ギルガメッシュの酒場”
男(ここに来るのも久しぶりだな)
男(襲撃の日から、女とは連絡が取れなくなった)
男(HMD以外の連絡方法を聞いていなかったからな。あの時HMDのデータも壊れたし)
男「静かなバーにすればよかったかな」
女「そう?これくらい騒々しい方が内緒話には都合がいいのよ」
男「!」
女「久しぶりね」
男「ああ、久しぶり」
女「聞かないの?」
男「どうせ秘密なんだろ?」
女「わかってないわね」
女「…実家に帰って…お墓参りをしたの」
男「そうか…俺は…」
女「引き篭もってたんでしょ?」
男「敵わないな」
女「連絡してね。約束よ」
男「わかってるよ。それじゃ、またな」
ドンッ
男(後ろから誰かぶつかって)
僧侶「裏切り者」
男「!?」
僧侶「貴方たちが勇者様を裏切った」
男(…わき腹が熱い)
僧侶「言われ無き罪を、勇者さまに擦り付けて!」
男(くっ…刺された…不味い…女にも)
男「よくぞ…見破った!…我こそが真魔王よ!…だがお前によって」
男「我が…野望も潰えた…真の平和が…訪れるだろう」
男「家に戻り…勇者の帰りを…待つが…よい」
僧侶「あぁ、これで…勇者さま…勇者さま」フラフラ
男(救急車を…意識が…女…)ドサッ
――――――
―――
―
― 病院
「また会えると思っていたよ」
「私もです」
「なあ、俺とずっと一緒に居てくれ」
「ほんとに?」
「ああ、君が好きなんだ」
「随分とはっきり言うのですね」
「嫌かい?」
「嫌じゃ、ないです」
「もう会えないと思っていたよ」
「私もよ」
「なあ、俺とずっと一緒に居てくれないか」
「同情?」
「違う、と言えば少し嘘になる。でも好きになったのは事実だ」
「随分とはっきり言うのね」
「嫌かい?」
「嫌じゃないわ」
END
くぅ~疲れ
二人は幸せなキスをして終了
トム・ハンクスはコメディアンだと言ったやつは誰だ
「トム・ハンクスの大迷宮」なんて社会派じゃないか
おつ
新しいなコレ
まあよかったよ前半だるかったけど
お疲れ(*´∀`)
途中のつまらんって言ったやつは絶対許さん
SSスレにわざわざあんなこと書く神経がおかしい
>>49
ほんこれ
伏線とかもっと長ければ最高だったなあ
次に期待
つまらん
何個目だこれ
URLぷりず
>>49
くっさ
>>54
,.'"´ ``ヽ
/ `、 /^ト、
,′ i / | ヽ
_,,j,,,_ニニ二ニー,,,, | | i
`ーrー' `''⌒ヾミヽ rー、| | |
午ン冫 にニ''ー‐' ハリ l. |
ノ`7´ ´`~ レ' 1 / |
. | L_,,,ゞ、 i 1_ノ ト、/ |
| f´ rーュ_``ヽ`, ,' ,' / /l |
ヽ ⌒ ノ,ノ / / /// L_
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价公价l. | | |/ / / /价公价
价公价i | | / / /价公价
价公价| | | / / /价公价公
价公价| | |/ / ∠只⌒)公价
備府九斎 [びっぷくさい]
(888~931 日本)
面白いSS見たいんだったらSS速報行くなりなろうに行くなり方法は色々あるのにNEPに何期待してるんですかね
ほ
いかないかウホッいい男
みたいな話かと思いきや真面目だった