欧州マーケットダイジェスト・31日 株高・金利低下・円高
(31日終値:1日2時時点)
ドル・円相場:1ドル=150.55円(31日15時時点比▲2.31円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=162.74円(▲2.72円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0809ドル(▲0.0015ドル)
FTSE100種総合株価指数:8367.98(前営業日比△93.57)
ドイツ株式指数(DAX):18508.65(△97.47)
10年物英国債利回り:3.970%(▲0.073%)
10年物独国債利回り:2.304%(▲0.036%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
6月独輸入物価指数
(前月比) 0.4% 0.0%
(前年比) 0.7% ▲0.4%
7月仏消費者物価指数(CPI)速報値
(前月比) 0.1% 0.1%
(前年比) 2.3% 2.2%
6月仏卸売物価指数(PPI)
(前月比) ▲0.3% ▲1.6%・改
7月独雇用統計
失業率 6.0% 6.0%
失業者数変化 1.80万人 2.00万人・改
7月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値
(前年比) 2.6% 2.5%
7月ユーロ圏HICPコア速報値
(前年比) 2.9% 2.9%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は大幅安。日銀の利上げを受けて欧州勢が円買い・ドル売りで参入。植田和男日銀総裁が定例記者会見で追加利上げの可能性を示唆すると全般円買いが加速した。市場では「植田総裁は今後数回の利上げにも前向きな姿勢をにじませた。総裁発言はタカ派と受けとめられている」との声が聞かれた。
NY市場に入ると、7月ADP全米雇用報告や4-6月期米雇用コスト指数が予想より弱い内容となったことを受けてドル売りが優勢に。23時過ぎに一時149.64円と3月19日以来約4カ月ぶりの安値を付けた。
ただ、売り一巡後は150.68円付近まで下げ渋った。一時は4.0892%前後と3月12日以来の低水準を記録した米10年債利回りが4.11%台まで低下幅を縮めるとドル買い戻しが入った。
・ユーロ円も大幅に下落した。植田日銀総裁の会見をきっかけに、日銀による金融政策の正常化が今後さらに進むとの観測が高まると全般円買いが活発化。17時過ぎに一時162.21円と3月19日以来約4カ月ぶりの安値を更新した。
ただ、売り一巡後は163.00円を挟んだもみ合いに転じた。ドル円とユーロドルの値動きの影響を同時に受けたため、相場は大きな方向感が出なかった。
・ユーロドルは一進一退。円絡みの取引が中心となったことや、米連邦公開市場委員会(FOMC)結果公表を前に動意に欠ける動きが続いた。
日本時間夕刻に一時1.0807ドルまで値を下げたものの、7月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値が予想を上回ったことが分かると買い戻しが進行。予想を下回る米経済指標を受けて米長期金利が低下した場面ではユーロ買い・ドル売りが強まり一時1.0849ドルと日通し高値を付けた。
ただ、独長期金利が低下幅を拡大し、米長期金利が低下幅を縮めると1.0804ドルの本日安値まで押し戻された。
・ロンドン株式相場は反発。本日のアジア株相場が上昇した流れを受けて、英株にも買いが波及した。中東情勢の緊迫を背景に原油先物相場が上昇するとBPやシェルなどエネルギー株が買われた。リオ・ティントやアングロ・アメリカンなど素材株も堅調。決算と自社株買いが好感されたHSBCをはじめ金融株も値上がりした。
・フランクフルト株式相場は続伸。米国による対中半導体輸出規制で日韓とともにオランダが適用対象外になると伝わると、投資家心理が改善。半導体関連株が買われた。シーメンス・エナジー(5.90%高)やエアバス(4.84%高)、フレゼニウス(4.04%高)などの上昇も目立った。
・欧州債券相場は上昇。独10年債利回りは一時2.300%前後と約4カ月ぶりの低水準を付けた。
NYマーケットダイジェスト・31日 株高・金利低下・円高・ドル安
(31日終値)
ドル・円相場:1ドル=149.98円(前営業日比▲2.79円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=162.36円(▲2.89円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0826ドル(△0.0011ドル)
ダウ工業株30種平均:40842.79ドル(△99.46ドル)
ナスダック総合株価指数:17599.40(△451.98)
10年物米国債利回り:4.03%(▲0.11%)
WTI原油先物9月限:1バレル=77.91ドル(△3.18ドル)
金先物12月限:1トロイオンス=2473.0ドル(△21.1ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は大幅に続落。植田和男日銀総裁の会見をきっかけに、日銀による金融政策の正常化が今後さらに進むとの観測が高まると全般円買いが先行。7月ADP全米雇用報告や4-6月期米雇用コスト指数が予想より弱い内容だったことが分かるとドル売りも優勢となり、23時過ぎに一時149.64円まで値を下げた。そのあとは米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えたポジション調整目的の買いなどが入り、FOMC結果公表直後には151.26円付近まで下げ渋る場面もあったが、戻りは非常に鈍かった。
FOMCはこの日、市場予想通り政策金利を5.25-5.50%で据え置くことを決めたと発表。声明では「インフレ目標に向けてのさらなる進展がみられた」「経済の見通しは不確実で、委員会は二つの責務の両サイドに対するリスクを大いに注視している」との見解が示された。また、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は会見で「FOMCは利下げに近づいているという感触を得ている」「9月FOMCで利下げが選択肢になる可能性ある」と述べ、9月利下げの可能性に言及した。市場では米金利の低下とドル売りが優勢となり、4時30分過ぎに一時149.61円と3月19日以来約4カ月ぶりの安値を付けた。
なお、米10年債利回りは4.0296%前後と2月2日以来の低水準を記録した。
・ユーロドルは3日ぶりに小反発。欧州時間発表の7月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値が予想を上回ったことが分かるとユーロ買い・ドル売りが先行。予想を下回る米経済指標を受けて全般ドル売りが強まると一時1.0849ドルと日通し高値を付けた。
ただ、そのあとは米重要イベントを控えたポジション調整目的のユーロ売り・ドル買いが進行。FOMC直後には一時1.0802ドルと日通し安値を更新した。
もっとも、パウエルFRB議長の会見を受けて米金利の低下とドル売りが優勢になると、1.0833ドル付近まで持ち直している。
・ユーロ円は大幅に4日続落。ドル円とユーロドルの値動きの影響を同時に受けたため、しばらくは方向感が出なかったものの、引けにかけて弱含んだ。日銀の追加利上げ観測を背景に全般円買いが入りやすい地合いとなる中、4時30分過ぎに一時162.02円と3月18日以来約4カ月ぶりの安値を更新した。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は続伸。パウエルFRB議長がFOMC後の会見で9月利下げの可能性について言及すると主力株に買いが集まり、指数は一時450ドル超上昇した。ただ、18日に付けた取引時間中の最高値41376.00ドルに接近した場面では利食い売りなどが出たため、引けにかけては伸び悩んだ。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は大幅に反発。米長期金利が低下したことで、高PER(株価収益率)のハイテク株には買いが入った。
・米国債券相場で長期ゾーンは5日続伸。7月ADP全米雇用報告や4-6月期米雇用コスト指数が予想より弱い内容だったことが分かると買いが先行。パウエルFRB議長がFOMC後の会見で9月利下げの可能性について言及するとさらに買いが強まった。利回りは一時4.0296%前後と2月2日以来の低水準を付けた。
・原油先物相場は4日ぶりに大幅反発。イスラエル軍による攻撃によってイスラム組織ハマスの指導者が殺害されたことを受け、中東情勢の緊迫化による供給懸念が意識された。また、パウエルFRB議長の発言などを手掛かりに外国為替市場ではドル安が進み、ドル建てで取引される原油相場の割安感も買い材料視された。
・金先物相場は続伸。イスラム組織ハマスの指導者であるハニヤ氏がイスラエル軍による攻撃により死亡したと明らかになり、中東情勢の緊迫化は避けられな
31日の主な要人発言(時間は日本時間)(1)
31日13:03 日本銀行声明
「国債の買い入れ額、原則四半期ごとに4000億円程度ずつ減額」
「長期国債の月間買い入れ額、2026年1─3月に3兆円程度」
「国債買い入れの減額計画、全員一致で決定」
「国債買入れ減額計画、来年6月の決定会合で中間評価行う」
「長期金利が急激に上昇する場合、機動的に買い入れ増額や指し値オペ・共通担保オペなど実施」
「必要な場合には決定会合で減額計画見直すこともあり得る」
31日15:36 植田日銀総裁
「景気、一部に弱めの動きが見られるが緩やかに回復している」
「金融・為替市場の動向や経済・物価への影響を十分注視」
「為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている」
「必要な場合は決定会合で減額計画の見直しもあり得る」
「経済・物価見通しが実現していけば、引き続き政策金利を引き上げる」
「0.5%という政策金利水準、特に意識しているわけではない」
「追加利上げで経済・物価が減速するとはみていない」
「このタイミングでの利上げ、先行きの急激な利上げを回避するというプラス面もある」
「円安、物価見通しが動くかもしれないリスクとして政策判断の一つにした」
「賃金上昇が続く見通しの下で利上げの判断になっている」
「金利の到達点について、今回利上げの影響を見つつ、歩きながら考える」
「今回の利上げ、円安が必ずしも最大の要因ではない」
「政策金利、まだしばらくは中立金利より低い水準」
「保有ETFの扱い、もう少し時間いただきたい」
31日16:46 鈴木財務相
「日銀との共同声明、当面は見直す必要はないと考えている」
「日銀利上げ、政府としても実体経済への影響を注視」
※時間は日本時間
31日の主な要人発言(時間は日本時間)(2)
1日03:00 米連邦公開市場委員会(FOMC)声明
「最近の指標は経済活動が引き続き堅調なペースで拡大していることを示している」
「雇用の伸びは緩やかで、失業率は上昇しているが依然低い」
「インフレ率はこの1年で緩和したが、依然としてやや高い水準にある」
「ここ数カ月間、委員会の2%のインフレ目標に向けてのさらなる進展がみられた」
「委員会は長期的に雇用の最大化と2%のインフレ率の達成を目指す」
「委員会は雇用とインフレ率の目標達成に対するリスクのバランスがこの1年で改善に向かっていると判断する」
「経済の見通しは不確実で、委員会は二つの責務の両サイドに対するリスクを大いに注視している」
「目標を支援するため、委員会はFF金利の目標誘導レンジを5.25-5.50%に維持することを決定した」
「FF金利の目標誘導レンジのあらゆる調整を検討するに当たり、委員会は今後もたらされるデータ、変化する見通し、リスクのバランスを慎重に評価する」
「委員会は、インフレ率が持続的に2%に向かっているとの確信がさらに強まるまで、目標誘導レンジの引き下げが適切になるとは予想していない」
「さらに、委員会は保有する米国債およびエージェンシーローン担保証券の削減を続ける」
「委員会は、インフレ率を2%の目標に戻すことに強く取り組む」
「金融政策の適切な姿勢を評価するに当たり、委員会は今後もたらされる経済見通しに関する情報の意味を引き続き監視する」
「もしも委員会の目標の達成を妨げる可能性があるリスクが生じた場合、委員会は金融政策の姿勢を適切に調整する準備がある」
「委員会の評価は労働市場の状況、インフレ圧力、インフレ期待、金融と世界の動向を含む幅広い情報を考慮する」
「今回の金融政策決定は全会一致」
1日03:35 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長
「責務の両サイドのリスクを注視」
「インフレ率を2%の目標に戻すことに強くコミット」
「この2年で両方の目標で大きな進歩を遂げた」
「2つの責務にしっかりと焦点を当て続ける」
「供給条件を改善し、堅調な需要を支える」
「雇用市場の需要と供給のバランスは改善した」
「経済が堅調なら、必要に応じて金利を維持する」
「利下げが早すぎるとインフレの進展が逆転する可能性がある」
「利下げが遅すぎると経済が過度に弱まる可能性がある」
「労働市場が予想外に弱まった場合、対応する準備ができている」
「最近の指標は経済が引き続き堅調なペースで拡大していることを示唆」
「データは雇用市場が過熱ではなく好調であることを示唆」
「FOMCは利下げに近づいているという感触を得ている」
「9月FOMCで利下げが選択肢になる可能性ある」
「今後の道筋は経済の進展次第」
「今年はゼロから数回の利下げのシナリオが考えられる」
「労働市場が軟化しているため、インフレの上振れリスクは減少している」
「今から9月までの間に多くのデータが得られる」
「政策制限を緩和する時が来ている」
「労働市場の下振れリスクは今や現実のもの」
「政策が制限的であることが今やはっきりとわかる」
「政策は制限的だが、極端に制限的ではない」
「今回のFOMCでは利下げの是非について真剣に議論が行われた」
「委員会の認識では利下げに近づいているが、まだそこには至っていない」
※時間は日本時間
イランの最高指導者、イスラエルへの報復攻撃を命令 報道
一部通信社が報じたところによると、「イランの最高指導者はイスラエルへの報復攻撃を命令した」ようだ。
1日のイベントスケジュール(時間は日本時間)
<国内>
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
<海外>
○10:30 ◇ 4-6月期豪輸入物価指数(予想:前期比▲0.7%)
○10:30 ◇ 6月豪貿易収支(予想:50.00億豪ドルの黒字)
○10:45 ◎ 7月Caixin中国製造業購買担当者景気指数(PMI、予想:51.5)
○15:00 ◇ 7月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比0.1%)
○16:00 ◇ 7月トルコ製造業PMI
○16:50 ◎ 7月仏製造業PMI改定値(予想:44.1)
○16:55 ◎ 7月独製造業PMI改定値(予想:42.6)
○17:00 ◎ 7月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:45.6)
○17:30 ◎ 7月英製造業PMI改定値(予想:51.8)
○18:00 ◎ 6月ユーロ圏失業率(予想:6.4%)
○20:00 ☆ 英中銀(BOE)、政策金利発表(予想:5.25%で据え置きと5.00%に引き下げで拮抗)
○20:00 ☆ 英中銀MPC議事要旨
○20:30 ◎ ベイリーBOE総裁、記者会見
○20:30 ◇ 7月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○21:30 ◇ 4-6月期米非農業部門労働生産性・速報値(予想:前期比1.7%)
○21:30 ☆ 4-6月期米単位労働コスト・速報値(予想:前期比1.8%)
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:23.6万件/185.6万人)
○22:45 ◎ 7月米製造業PMI改定値(予想:49.6)
○23:00 ☆ 7月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数(予想:48.8)
○23:00 ◇ 6月米建設支出(予想:前月比0.2%)
○24:00 ◇ 7月メキシコ製造業PMI
○2日01:00 ◎ ピル英中銀MPC委員兼チーフエコノミスト、講演
○スイス(建国記念日)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
東京為替見通し=ドル円続落か、タカ派の植田日銀総裁とハト派のパウエルFRB議長
31日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、植田日銀総裁が追加利上げの可能性を示唆し、パウエルFRB議長が9月米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げの可能性を示唆したことで、149.61円まで下落した。ユーロ円も162.02円まで下落した。ユーロドルは、7月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値が予想を上回ったことで1.0849ドルまで強含んだ後、1.0802ドルまで反落した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、植田日銀総裁が追加利上げを示唆し、パウエルFRB議長が9月米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げを示唆したことで、円・キャリートレードの手仕舞いで軟調推移が予想される。
昨日の日銀金融政策決定会合では、政策金利(無担保コール翌日物金利)の誘導目標が、これまでの「0-0.1%程度」から、「0.25%程度」に引き上げられた。
そして、植田日銀総裁は記者会見で、「0.25%への利上げでも実体経済への影響は出ない。経済のショック、景気循環で日本経済に下振れが生じた場合、0.25%では対応しづらい。2006年からの前回の利上げ局面のピークである0.5%が壁になるとは認識していない」と述べた。さらに、中立金利の下限である1%を意識した見通しを示したことで、年内に1回(+0.25%=0.50%)、来年は1-2回程度で0.75%から1.00%に向けた利上げの可能性が示唆された。
日銀では、経済・物価情勢が順調に進めば、来年度にかけて政策金利を1%まで引き上げておくのが望ましいとの声が出ている、と報じられている。
このタカ派的なシナリオを念頭に置けば、世界の資産市場を押し上げてきた「円・キャリートレード」の手仕舞い、すなわち、円が買い戻される局面が想定されることになる。
次回の日銀金融政策決定会合は9月19-20日に予定されているが、20日から月末に向けて自民党総裁選が行われるため、現状の金融政策の維持が見込まれている。
岸田首相は、追加利上げに対して、「デフレ型経済から成長型経済への移行が重要という政府との共通認識に沿って行われたものだ」との見解を示した。
ポスト岸田候補の河野デジタル相や茂木自民党幹事長も、日銀に利上げを要請しており、植田日銀総裁による利上げ路線は、政府・自民党からの支持を得られることで、10月か12月の日銀金融政策決定会合での3回目の利上げの可能性を高めている。
FOMCでは、8会合連続で政策金利据え置きが決定されたものの、声明文が、これまでの「インフレリスクのみ」から「2大責務の両面のリスク」に変更された。そして、パウエルFRB議長が9月FOMCでの利下げの可能性を示唆したことで、ドル売り要因となっている。
株価指数先物【寄り前】 円高重荷も、売り一巡後は押し目狙いのロング対応
大阪9月限ナイトセッション
日経225先物 38710 -520 (-1.32%)
TOPIX先物 2761.5 -35.5 (-1.26%)
シカゴ日経平均先物 38655 -575
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
31日の米国市場は、NYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が上昇。注目された7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で予想通り政策金利は据え置かれた。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長はFOMC後の会見で「早ければ9月に利下げする可能性がある」との見解を示した。この会見を受けてNYダウは一時7月17日に付けた最高値を上回る場面もみられた。だが、決算発表が本格化するなか、高値警戒感もあって終盤にかけて上げ幅を縮めた。
ナスダック指数は2.6%超と大幅に上昇した。「バイデン政権は新たな対中輸出規制で、日韓とオランダは適用が除外される見通し」と報じられたことを受けて、ASMLホールディング<ASML>が8%を超す上昇となったほか、決算が評価されたアドバンスト・マイクロ・デバイセズ<AMD>が買われた。また、前日に75日移動平均線を割り込んでいたエヌビディア<NVDA>も12%を超える上昇となるなど、半導体株に買いが広がった。S&P500業種別指数は半導体・同製造装置、自動車・同部品、小売が上昇した一方で、銀行、家庭用品・パーソナル用品、医薬品・バイオテクノロジーが下落。
シカゴ日経平均先物(9月限)清算値は、大阪比575円安の3万8655円だった。日経225先物(9月限)のナイトセッションは日中比140円安の3万9090円で始まり、寄り付きを高値にロングの解消が強まり、一気に3万8400円台まで下落幅を広げた。その後は3万8450円~3万8700円処で保ち合い、米国市場の取引開始直後には3万8390円まで下げ幅を広げた。売り一巡後は下落幅を縮めたものの、終盤にかけては3万8500円~3万8940円辺りでの荒い値動きとなり、3万8710円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、売り優勢で始まりそうだ。昨日は後場中盤辺りから東京エレクトロン <8035.T> [東証P]など指数インパクトの大きい値がさハイテク株の一角が急伸したことにより、ヘッジ対応のロングが入る形で75日線を突破し、7月25日の急落分を吸収した。いったんは達成感が意識されるうえ、為替市場で円高の勢いが強まっていることが重荷となるが、ナイトセッションの開始早々に急落していたため、ショートが強まるよりも押し目狙いのロング対応となろう。
昨日は東エレクが1社で日経平均株価を約210円押し上げたほか、ファーストリテイリング <9983.T> [東証P]、アドバンテスト <6857.T> [東証P]、TDK <6762.T> [東証P]、第一三共 <4568.T> [東証P]の5社で416円ほど押し上げていた。反動安は想定されるが、アドバンテストの上方修正がポジティブ視されやすく、売り一巡後はロングが入りやすいとみられる。ただし、アームホールディングス<ARM>は利益見通しが予想に届かなかったとして時間外取引で10%超下げており、ソフトバンクグループ <9984.T> [東証P]が重荷となる可能性はありそうだ。
そのため、日経225先物はオプション権利行使価格の3万8375円から3万8875円のレンジを想定する。ボリンジャーバンドの-1σが3万8770円辺りで推移しており、同水準での底堅さがみられるようだと、再び75日線が位置する3万9000円を試すことになりそうだ。75日線を捉えると、ショートカバーが強
まりやすいだろう。
昨日のNT倍率は先物中心限月で14.02倍に上昇した。前場は指数インパクトの大きい値がさ株が弱い値動きとなるなか、一時13.89倍と前日の安値水準まで下げる場面もみられた。その後は、後場終盤からのハイテク株急伸の影響により、足もとの保ち合いレンジの上限を捉えていた。本日は朝方こそ低下してくる可能性があるものの、値がさハイテク株への押し目買い意欲の強さに対して、円高進行により輸出関連株は弱含むことが想定されるため、相対的に日経平均型優位の展開が意識されやすい。
31日のVIX指数は16.36(前日は17.69)に低下した。FOMCを無難に通過したことが、安心感につながったようだ。ただし、ボリンジャーバンドのバンドが拡大傾向にあるなか、+1σ水準で下げ止まった形であるため、もう一段の低下があるかを見極めたいところである。
株価指数先物【昼】 アドバンテスト効果でNT倍率は上昇
日経225先物は11時30分時点、前日比1160円安の3万8070円(-2.95%)前後で推移。寄り付きは3万8730円と、シカゴ日経平均先物の清算値(3万8655円)にサヤ寄せする形から、売り優勢で始まった。直後に付けた3万8760円を高値に下へのバイアスが強まり、中盤にかけて一時3万7730円まで下落幅を広げる場面もみられた。その後は終盤にかけてショートカバーも入り、3万8000円を上回っての推移を継続している。
業績上方修正を発表したアドテスト <6857.T> [東証P]が買い気配から始まり、米国でハイテク株が買われた流れを受けて東京エレクトロン <8035.T> [東証P]も買い先行で始まった。この影響もあり、日経225先物はシカゴ先物ほど下げない水準で始まった。ただし、円相場が一時1ドル=148円台まで円高に振れるなか、日米金利差縮小に伴う持ち高調整の売りが警戒される形となった。日経225先物は3万7730円まで一気に売られたが、その後は3万8000円を上回って推移しており、週足のボリンジャーバンドの-1σ(3万8020円)辺りでの底堅さがみられるかが注目されよう。
NT倍率は先物中心限月で14.08倍に上昇した。全面安商状のなか、アドバンテストが1社で日経平均株価を235円ほど支えており、日経平均型優位となった。25日、75日移動平均線が位置する14.09倍辺りを捉えてきており、同線を上回ってくるかを見極めたい。
【相場の細道】神田財務官の勝鬨
神田財務官は、2022年秋の史上最大規模のドル売り・円買い介入(9兆1880億円)で、ドル円を高値151.95円から翌年1月の安値127.23円まで反落させた功績から、2024年7月までの3年間続投して「令和のミスター円」の称号を得た。退官後は、8月1日付けで内閣官房参与(金融・国際経済担当)に就任した。その後は黒田前日銀総裁と同じように、アジア開発銀行の総裁に就任し、その後は、日銀総裁の座を狙っているとの噂が流れている。
2024年の円買い介入(15兆3233億円=9兆7885億円+5兆5348億円)では、ドル円を1986年12月以来の高値161.95円から148円台まで反落させており、「勝つ介入」で有終の美を飾った。
神田財務官によるこれまで7回の円買い介入は、東京勢の参入直後、退出後、不在時、欧州勢の退出後などとなっている。すなわち、孫子の兵法『軍形篇』「勝兵は先ず勝ちて、しかる後に戦いを求め」にあるように、介入で勝利する態勢(時間帯と投機筋のポジション)を整えてから介入を断行してきた。
【2022年】
■2022年9月22日(木)の第1弾の円買い介入(2兆8382億円)
・介入時間帯:日本時間17時半頃(アジア・東京勢が退場し、欧州勢が参入し始めた頃)
・IMMネット円売り持ち高:81280枚(※9/20)
・ドル円:高値145.90円から安値140.36円まで、5.54円(3.8%)下落した。
■2022年10月21日(金)の第2弾の円買い介入(5兆6202億円)※覆面介入
・介入時間帯:日本時間23時半頃(欧州勢が退場し、NY勢が参入し始めた頃)
・IMMネット円売り持ち高:94336枚(※10/18)
・ドル円:高値151.95円から安値146.23円まで、5.72円(3.8%)下落した。
■2022年10月24日(月)の第3弾の円買い介入(7296億円)※覆面介入
・介入時間帯:日本時間8時半頃(東京勢が参入し始めた頃)
・IMMネット円売り持ち高:94336枚(※10/18)
・ドル円:高値149.71円から安値145.56円まで、4.15円(2.8%)下落した。
【2024年】
■2024年4月29日(月)の第4弾の円買い介入(約5.5兆円・・※推定)※覆面介入
・介入時間帯:東京市場は昭和の日で休場
・IMMネット円売り持ち高:179919枚(※4/23)
・ドル円:高値160.17円から安値154.54円まで、5.63円(3.5%)下落した。
■2024年5月1日(水)の第5弾の円買い介入(約3.5兆円・・※推定)※覆面介入
・介入時間帯:日本時間午前5時頃
・IMMネット円売り持ち高:179919枚(※4/23)
・ドル円:高値157.99円から安値153.04円まで、4.95円(3.1%)下落した。
■2024年7月11日第6弾の円買い介入(推定3.5兆円規模)※覆面介入
・介入時間帯:日本時間午後21時半頃
・IMMネット円売り持ち高:182033枚(※7/9)
・ドル円:高値161.76円から安値157.44円まで4.32円(2.7%)下落した。
■2024年7月12日第7弾の円買い介入(推定2.1兆円規模)※覆面介入
・介入時間帯:日本時間午後22時頃
・IMMネット円売り持ち高:182033枚(※7/9)
・ドル円:高値159.45円から安値157.38円まで、4.95円(3.1%)下落した。
ロンドン為替見通し=英・金融政策イベントに注目、中東・地政学リスクにも警戒
本日のロンドン為替市場のメインは、日本時間20時からの英中銀(BOE)の金融政策イベント。政策金利はアナリスト予想では、現行5.25%据え置きと5.00%に引き下げとで拮抗している。
先々週に発表された6月英消費者物価指数(CPI)では前年比総合が2%と英中銀ターゲットを維持したものの、予想からは上振れた。サービス価格のインフレが高止まっていることもあり、この時点では早期利下げ観測が大きく後退した。しかしながら、その翌日の英雇用データがさえなく、週平均賃金の減速も確認されたため、再び緩和期待が浮上した。
そういったなか、9名の英・金融政策委員会(MPC)委員による投票も僅差となるかもしれない。前回は7対2で据え置きだったが、議事要旨では、複数の委員にとって利下げの見送りは「微妙なバランス」だったことが明らかにされた。利下げの場合、ポンドの最初の反応は売りだろう。ただし据え置きでも、MPC投票差や議事要旨次第で次回会合からの緩和サイクルの開始が確実視されようだと下値模索の展開となってもおかしくない。
英米の金融政策が連動しているわけではないものの、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が昨日の定例会見で9月利下げに言及したことも、ベイリーBOE総裁がハト派な見解を述べやすくしたかもしれない。政策金利発表後のベイリー総裁の会見は、20時30分から予定されている。
ほか、中東を巡る地政学リスクの高まりにも要警戒。イランの首都テヘランで昨日、イスラム組織ハマスの最高指導者が暗殺された。イスラエルは公式に認めていないが、同国軍の実行と見られている。これを受け、イラン最高指導者が報復攻撃を命じたと一部メディアが報じた。
報復攻撃の度合いにもよるが、イスラエルとイランが敵対姿勢を強めれば、周辺地域への悪影響は避けられないだろう。また現在、仏パリでオリンピックが開かれている。イスラエル代表の安全が脅かされ、また無関係な人々も巻き込まれる可能性も否定できない。危険度が増せば、欧州市場に対する投資家のセンチメントの弱さに繋がってしまいそうだ。
想定レンジ上限
・ポンドドル、7月19日高値1.2968ドル
・ユーロドル、7月22日高値1.0903ドル
想定レンジ下限
・ユーロドル、日足一目均衡表・雲の下限1.0752ドル
・ポンドドル、日足一目均衡表・雲の上限1.2707ドル
【よろずのつぶやき by Wada】豹変振り
昨日は、日銀金融政策決定会合とFOMCが同日に行われるという、かなり珍しい重要イベントの連続に、市場にはただただ疲労感が漂っているといったところ。アジア時間も早朝こそ日経平均の1400円近い暴落につれてドル円も148.51円まで売り込まれたものの、円キャリートレードの巻き戻しの動きも単発に終わり、逆に月初にからむ本邦実需の買いが断続的に観測されると150.04円まで買戻されるなどの行って来いの動き。「値動きの割には静かな相場だった」模様です。
昨日は、植田日銀総裁の変貌ぶりに驚かされるばかり。肝いりのハト派だった総裁が、たったの1カ月で何故そこまでバリタカ派になり得るのか?といった純粋な疑問が浮上。定例記者会見での「政策金利はまだしばらくは中立金利(1.0%)より低い水準」との見解が、市場に最大限の警戒感を与えたことは間違いなく、ドル円の急落を招くきっかけとなりました。
市場では「想像を絶する政治的圧力があったに違いない」との声が多く聞かれていますが、いずれにしても、日米ともに、金融政策が政治圧力を無視できない状況となってきていることがわかります。市場では「そうは言っても、これだけ株価の暴落が付随してしまうと、何のための利上げが分からなくなってくる」との声も聞かれているわけで、発言を「額面通りには受け取れない」のも事実。8月期初の実需勢のフローとともに、しばらくは本当の意味での転換点を探っていくことになりそうです。
東京マーケットダイジェスト・1日 株大幅安・円買い一服
(1日15時時点)
ドル円:1ドル=149.74円(前営業日NY終値比▲0.24円)
ユーロ円:1ユーロ=162.12円(▲0.24円)
ユーロドル:1ユーロ=1.0826ドル(横ばい)
日経平均株価:38126.33円(前営業日比▲975.49円)
東証株価指数(TOPIX):2703.69(▲90.57)
債券先物9月物:142.96円(△0.24円)
新発10年物国債利回り:1.030%(▲0.025)
ユーロ円TIBOR3カ月物:0.24600%(△0.0800)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<国内> <発表値> <前回発表値>
対外対内証券売買契約等の状況(前週)
対外中長期債
7005億円の処分超 7307億円の処分超・改
対内株式
6705億円の処分超 569億円の処分超・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は下げ一服。前日の日銀会合や米連邦公開市場委員会(FOMC)を通過し、日米金利差縮小の思惑を背景としてドル売り・円買いが優勢となると、3月以来となる148.51円まで下落。売りの勢いが一服すると買い戻しが優勢となり、150.00円台まで切り返した。一時4.03%台に低下していた時間外の米10年債利回りが4.05%台まで上昇したことや、日経平均が下げ渋ったことが追い風となったか。
・ユーロ円は切り返し。ドル円の下げや、日経平均の大幅下落が重しとなり、3月以来となる160.89円まで下落。その後はドル円が切り返したこともあり162.40円台に上昇したが、買いの勢いが一服すると上値を切り下げた。
・ユーロドルは小動き。円主体の動きとなったこともあり、1.0820ドル台を中心として方向感を模索する展開となった。
・日経平均株価は大幅反落。前日の日銀による利上げのほか、植田日銀総裁の会見内容がタカ派的であった事を背景として、円高が進行した流れが嫌気された。寄り付きから安く始まると、下げ幅は一時1300円超となった。もっとも、後場に入ると下げたところでは押し買いが出たこともあり、下げ渋る動きとなった。
・債券先物相場は伸び悩み。前日の日銀の利上げや日銀総裁会見が重しなって142円70銭まで下押す場面が見られるも、その後は本邦株安を背景としたリスク回避の動きもあり143円台に切り返し。もっとも、143円台では上値が重く、その後は伸び悩んだ。
日銀は想定通り利上げを実施、年内50bp到達も~SMBC日興
SMBC日興証券では、7月31日の日銀の約5bp→25bpへの利上げ決定に関して、グローバル金融調査チームでは従来から7月の25bpへの利上げをメーンシナリオとしており、想定通りの結果と捉えている。同チームでは、年度内に50bpへの利上げ、基調物価上昇率と期待物価上昇率が下振れしなければ年内に50bpに達すると予想してきた。3月19日の利上げから4カ月強で20bpの利上げをしたことから、年内に50bpに達する可能性が一段高まったと考えている。展望レポートを見直す10月31日会合であれば3カ月、12月19日会合であれば5カ月弱で25bpの利上げになると指摘している。
中国、「人を核心とする新型都市化」5年計画を公表
中国の国務院(内閣に相当)は7月31日、「人を核心とする新型都市化戦略を深く実施する5カ年行動計画」を公表した。各地方の事情に応じた背策で都市化の質と水準を引き上げることで内需を掘り起こし、中国式現代化を強力に推し進め、しっかり支えるとした。
行動計画は4項目の「重大行動」と19項目の「重点任務・関連政策措置」で構成されている。要点は次の通り。
1、都市に移り住んだ農民を市民化させる新たな措置を実施:戸籍制度の改革をさらに深化、定住地における基本的な公共サービスを提供する制度を改善、農業から移転した人が都市で安定した職を得られるよう促進、移住者の子女が移り住んだ先で教育を受ける権利を保障、農業から移転した人に対する住宅保障制度の多様化、農業から移転した人に対する社会保障適用範囲の拡大の6つを任務とする。
2、潜在的な地区都市化水準を引き上げる措置を実施:特色を持ち優位にある産業クラスターの育成、産業パークの整備と拡張の促進、産業発展のための人材支援の強化、都市の総合的な収容力の強化の4つを任務とする。複数地区にまたがる新たな産業配置を促す仕組みを改善し、土地の経済的かつ集中的な利用を強化する。
3、現代化都市圏を育成する措置を実施:都市間の通勤効率の向上、産業の分業・協業の強化、市場一体化構築の加速、公共サービスの共同構築と共有の促進の4つを任務とする。
4、都市再開発と安全性・強靱(きょうじん)性を高める措置を実施:都市の老朽化した区域の改修促進、保障性住宅など「3大工程」の建設加速、都市治水の強化、都市ライフライン保安工事の実施、グリーンスマート都市の建設推進の5つを任務とする。
7月FOMCはハト派的な現状維持~みずほ
みずほ証券では7月のFOMCに関して、声明文には明確な変化が示されたと指摘している。景気は「雇用は減速し、失業率は上昇した」との認識で、前回6月の声明文における表現の「引き続き雇用は強く、失業率は低い」とからの変化が顕著となった。みずほでは、パウエルFRB議長の記者会見の中でも政策スタンスの変化が明らかであったと指摘しており、FRBは物価目標の達成が既に視野に入っていると捉えている。今回のハト派的な現状維持を受けて、金融市場は米金利低下・ドル安・株高で反応した。FF先物は年内に残されたFOMC全ての会合で利下げとなる「2024年内に3回の利下げ」を一層強く織り込んでいると、みずほではコメントしている。
株価指数先物【引け後】日米金利差縮小を見込んだヘッジ対応のショート優勢
大阪9月限
日経225先物 37950 -1280 (-3.26%)
TOPIX先物 2696.5 -100.5 (-3.59%)
日経225先物(9月限)は前日比1280円安の3万7950円で取引を終了。寄り付きは3万8730円と、シカゴ先物の清算値(3万8655円)にサヤ寄せする形から、売り優勢で始まった。直後に付けた3万8760円を高値に下へのバイアスが強まり、前場中盤にかけて一時3万7730円まで下落幅を広げる場面もみられた。その後は前場終盤にかけてショートカバーも入り、下げ渋る動きとなったが、後場は概ね3万7960円~3万8170円辺りでの保ち合いが続いた。
日経225先物は、結局のところ前日のリバウンド部分を帳消しにする形となった。米国では米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が9月の利下げを示唆した一方で、日銀の植田和男総裁は見通しが実現すればさらなる利上げもありうるとの見解を示しており、為替市場では日米金利差縮小を見込んだ円買い・ドル売りが強まった。前場中盤に1ドル=148円台まで円高に振れるなか、日経225先物へはショートの動きが強まったとみられる。
日米金利差縮小に伴う持ち高調整の売りにより、東証プライムの値下がり数は全体の9割超を占めた。全面安商状であるが、そのなかで上方修正を発表したアドバンテスト <6857.T> [東証P]が終日強含みで推移しており、日経平均株価を1社で200円超押し上げていた。前日には東京エレクトロン <8035.T> [東証P]が200円超押し上げる展開だったこともあり、指数インパクトの大きい値がさ株の影響を受けやすい状況である。ただ、アドバンテストが全面安のなかでも強い値動きが続いたことは、決算を手掛かりとした短期的な売買というよりは、実需の買いとみられるため、地合いはそれほど悪くないように映る。
米国では大型テック株の決算が本格化しており、1日の米国市場ではメタプラットフォームズ<META>の時間外での上昇の影響がみられるだろう。また、アップル<AAPL>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>の決算が予定されている。為替にらみの展開が続くと考えられるものの、大型テック株の良好な決算が続くようだと、指数インパクトの大きい値がさハイテク株への押し目狙いに向かわせそうだ。
日経225先物は3万8000円辺りでの底堅さが意識されたが、ボリンジャーバンドの-2σは下向きで推移しており、3万7230円辺りまで切り下がってきた。円相場が一段の円高に振れてくるようだと、下向きで推移する-2σに沿った調整をみせてくる可能性は意識しておきたいところであろう。また、3万8570円辺りに位置する-1σが抵抗線となりそうだが、3万8000円水準での攻防が長期化してくるようだと、抵抗線が切り下がることになる。ターゲットについても、200日移動平均線が位置する3万6700円辺りとした見方も出てくるだろう。
なお、NT倍率は先物中心限月で14.07倍に上昇した。全面安商状のなか、アドバンテストが1社で日経平均株価を200円超支えており、日経平均型優位となった。一時14.12倍まで上昇しており、25日、75日線が位置する14.09倍辺りを捉えた。米大型テック株の決算を受けた値がさハイテク株の動向によって、両線を明確に上放れてくるようだと、NTロングでのスプレッドを狙った動きが入ってくる可能性がありそうだ。
手口面(9月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が4万1317枚、ソシエテジェネラル証券が2万7775枚、サスケハナ・ホンコンが1万1998枚、バークレイズ証券が5215枚、JPモル
ガン証券が4517枚、モルガンMUFG証券が4049枚、SBI証券が3904枚、野村証券が3000枚、ビーオブエー証券が1877枚、シティグループ証券が1697枚だった。
TOPIX先物は、ABNクリアリン証券が6万2041枚、ソシエテジェネラル証券が3万6726枚、サスケハナ・ホンコンが9106枚、モルガンMUFG証券が8120枚、JPモルガン証券が8035枚、バークレイズ証券が7334枚、ビーオブエー証券が7088枚、野村証券が5860枚、ゴールドマン証券が4600枚、BNPパリバ証券が4104枚だった。
NY為替見通し=日銀利下げやFOMC余波による戻りの鈍さ続くか注視
NYタイムは、昨日の日銀利下げやハト派な内容と受け止められた米連邦公開市場委員会(FOMC)の余波によるドル円の戻りの鈍さが続くか注視する局面か。
FOMCは雇用の伸び鈍化に配慮した部分があったため、週末に7月米雇用統計を控えるなか、昨日の弱めだった7月ADP全米雇用報告に続き本日発表となる4-6月期米非農業部門労働生産性・速報や同単位労働コスト・速報値、前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数などの強弱を受けた振れに要注目となる。
本日の労働関連指標は前回比で強弱が交錯していたり、明確な方向感を示唆したりするような事前予想内容ではないが、予想比での強弱に反応することが想定できる。そのほか米株寄り付き後発表の7月米供給管理協会(ISM)製造業景気指数は景況指標としてだけでなく、内訳の支払い価格や雇用指数など個別の項目がマーケットに与える影響にも注意したい。
・想定レンジ上限
ドル円の上値めどは、昨日NY午後の戻り151.26円。
・想定レンジ下限
ドル円の下値めどは、本日東京タイム昼頃の押し目149.07円。
NY株見通し-引き続き堅調か 決算発表は引け後にアップル、アマゾンなど
今晩は堅調か。昨日はアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の好決算を受けてエヌビディアなどの半導体株が軒並み高となる中、注目された米連邦公開市場委員会(FOMC)で9月利下げ開始が示唆されたことで主要3指数がそろって上昇した。ダウ平均は一時455ドル高まで上昇し、99.46ドル高(+0.24%)と2日続伸して終了。S&P500は1.58%高と反発し、ハイテク株主体のナスダック総合は2.64%高と大幅反発した。半導体株はAMDが4.36%高となったほか、前日に7.04%安となったエヌビディアが12.81%高と急反発し、フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)は7.01%高となった。引け後の動きでは第2四半期の売上高と利益が予想を上回ったメタ・プラットフォームズが時間外で7.17%高となった。
今晩は引き続き堅調か。FOMCで9月利下げ開始が示唆されたことが引き続き支援となることが期待される中、アドバンスト・マイクロ・デバイセズの好決算をきっかけに半導体株やAI関連株が反発に転じたことや、メタが予想を上回る決算を発表したことでハイテク株を中心に堅調な展開が期待できそうだ。FOMCを通過し、今後は金曜日に発表される米7月雇用統計(非農業部門雇用者数・失業率・平均賃金)に注目が集まるが、今晩も新規失業保険申請件数や7月ISM製造業PMIなどの経済指標が発表されるほか、決算発表ではS&P500採用の55銘柄が発表予定で、決算やガイダンスにも要注目となる。
今晩の米経済指標・イベントは新規失業保険申請件数、7月ISM製造業PMIのほか、7月チャレンジャー企業人員削減数、4‐6月期単位労働コスト速報値、7月S&Pグローバル製造業PMI確定値、6月建設支出など。企業決算は寄り前にモデルナ、バイオジェン、コノコ・フィリップスエア・プロダクツ&ケミカルズ、引け後にアップル、アマゾン、インテル、バーテックス・ファーマシューティカルズなどが発表予定。
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