(各市場の動き)
・ドル円は大幅安。日銀の利上げを受けて欧州勢が円買い・ドル売りで参入。植田和男日銀総裁が定例記者会見で追加利上げの可能性を示唆すると全般円買いが加速した。市場では「植田総裁は今後数回の利上げにも前向きな姿勢をにじませた。総裁発言はタカ派と受けとめられている」との声が聞かれた。
NY市場に入ると、7月ADP全米雇用報告や4-6月期米雇用コスト指数が予想より弱い内容となったことを受けてドル売りが優勢に。23時過ぎに一時149.64円と3月19日以来約4カ月ぶりの安値を付けた。
ただ、売り一巡後は150.68円付近まで下げ渋った。一時は4.0892%前後と3月12日以来の低水準を記録した米10年債利回りが4.11%台まで低下幅を縮めるとドル買い戻しが入った。
・ユーロ円も大幅に下落した。植田日銀総裁の会見をきっかけに、日銀による金融政策の正常化が今後さらに進むとの観測が高まると全般円買いが活発化。17時過ぎに一時162.21円と3月19日以来約4カ月ぶりの安値を更新した。
ただ、売り一巡後は163.00円を挟んだもみ合いに転じた。ドル円とユーロドルの値動きの影響を同時に受けたため、相場は大きな方向感が出なかった。
・ユーロドルは一進一退。円絡みの取引が中心となったことや、米連邦公開市場委員会(FOMC)結果公表を前に動意に欠ける動きが続いた。
日本時間夕刻に一時1.0807ドルまで値を下げたものの、7月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値が予想を上回ったことが分かると買い戻しが進行。予想を下回る米経済指標を受けて米長期金利が低下した場面ではユーロ買い・ドル売りが強まり一時1.0849ドルと日通し高値を付けた。
ただ、独長期金利が低下幅を拡大し、米長期金利が低下幅を縮めると1.0804ドルの本日安値まで押し戻された。
・ロンドン株式相場は反発。本日のアジア株相場が上昇した流れを受けて、英株にも買いが波及した。中東情勢の緊迫を背景に原油先物相場が上昇するとBPやシェルなどエネルギー株が買われた。リオ・ティントやアングロ・アメリカンなど素材株も堅調。決算と自社株買いが好感されたHSBCをはじめ金融株も値上がりした。
・フランクフルト株式相場は続伸。米国による対中半導体輸出規制で日韓とともにオランダが適用対象外になると伝わると、投資家心理が改善。半導体関連株が買われた。シーメンス・エナジー(5.90%高)やエアバス(4.84%高)、フレゼニウス(4.04%高)などの上昇も目立った。
・欧州債券相場は上昇。独10年債利回りは一時2.300%前後と約4カ月ぶりの低水準を付けた。