NYマーケットダイジェスト・17日 ダウ最高値・円高・ドル安
(17日終値)
ドル・円相場:1ドル=156.20円(前営業日比▲2.15円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=170.88円(▲1.71円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0939ドル(△0.0040ドル)
ダウ工業株30種平均:41198.08ドル(△243.60ドル)
ナスダック総合株価指数:17996.93(▲512.41)
10年物米国債利回り:4.16%(横ばい)
WTI原油先物8月限:1バレル=82.85ドル(△2.09ドル)
金先物8月限:1トロイオンス=2459.9ドル(▲7.9ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
MBA住宅ローン申請指数
(前週比) 3.9% ▲0.2%
6月米住宅着工件数
135.3万件 131.4万件・改
建設許可件数
144.6万件 139.9万件・改
6月米鉱工業生産
(前月比) 0.6% 0.9%・改
設備稼働率 78.8% 78.3%・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は3日ぶりに反落。米大統領選の共和党候補に指名されたトランプ前大統領が通信社とのインタビューで「米国はドル高により大きな問題を抱えている」と述べ、足もとのドル高をけん制したほか、河野太郎デジタル相が円安是正のため、日銀に政策金利を引き上げるよう求めたと伝わると、円買い・ドル売りが優勢となった。
また、ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁が「今後数カ月以内に金利引き下げが正当化される可能性がある」と述べたほか、ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事が「最近のデータで2%の物価目標達成にさらに自信が持つことができた」「利下げが正当化される時期に近づいている」と発言したこともドル売りを促し、4時過ぎには一時156.07円と6月12日以来の安値を付けた。
なお、FRBはこの日公表した米地区連銀経済報告(ベージュブック)で「米経済活動は大多数の地域で小幅から控えめなペースで拡大を維持した」との認識を示した。また、今後6カ月の見通しについては「大統領選や地政学的要因、インフレを巡る不確実性により活動が鈍化する」と予想した。
・ユーロドルは続伸。トランプ前米大統領が足もとのドル高をけん制したことを手掛かりに全般ドル売りが進行。FRB高官からハト派的な発言が相次いだこともドル売りを促し、22時30分過ぎに一時1.0948ドルと3月14日以来約4カ月ぶりの高値を付けた。その後の下押しも1.0924ドル付近にとどまった。
・ユーロ円は3日ぶりに反落。河野デジタル相が日銀に利上げを求めたことで円買いが入ったほか、日米株価指数の軟調推移がリスク回避の円買いを促した。2時前には一時170.71円と6月25日以来の安値を更新した。
ユーロ円以外のクロス円も軟調だった。ポンド円は一時203.03円、豪ドル円は104.98円、NZドル円は94.78円、カナダドル円は114.02円、南アフリカ円は8.56円、トルコリラ円は4.71円まで値を下げた。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は6日続伸し、史上最高値を更新した。米国のインフレが落ち着く中、米利下げ観測を手掛かりにした買いが続いた。決算内容が好感されたジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)やユナイテッドヘルス・グループへの買いが目立った。
一方、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は4日ぶりに大幅反落。対中規制強化への懸念や台湾情勢を巡る不透明感から半導体株中心にハイテク銘柄が売られた。
・米国債券
・米国債券相場で長期ゾーンは横ばい。11月の米大統領選挙でトランプ前大統領が優勢との見方が強まる中、米政府の財政拡張に対する懸念が売りを誘った。半面、FRBが9月にも利下げに動くとの観測が買いを促した。20年債入札が「好調」と受け止められたことも相場を下支えした。
・原油先物相場は4日ぶりに反発。トランプ前大統領のドル高けん制発言で、主要国通貨に対してドルが弱含むと、原油先物は割安感から買いが優勢となった。米エネルギー省(EIA)が発表した週間石油在庫でガソリン在庫と中間留分が予想に反し積み増しとなるとやや売りに押される局面もあったが、引けにかけては再び買いの勢いが増して反発して引けた。
・金先物相場は反落。金先物価格は米中通商摩擦の再燃やドル安により一時過去最高値を更新した。しかしながら、引けにかけては利食い売りが優勢になったことで、小幅に反落して引けた。
17日の主な要人発言(時間は日本時間)
17日06:13 トランプ前米大統領
「パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長を解任する予定はない」
「トランプノミクスは低金利と関税」
「FRBは11月の選挙前に金利を引き下げるべきではない」
17日09:05 アジア開発銀行(ADB)
「2024年のアジア経済成長率見通しを4.9%から5.0%に上方修正」
「2024年・2025年の中国経済成長見通しはいずれも据え置き」
17日17:27 神田財務官
「投機による過度な変動あれば、適切に対応していくしかない」
17日17:27 ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁
「今後数カ月以内に金利引き下げが正当化される可能性がある」
「インフレ率を2%に戻すのはこれまで以上に困難になるだろうという懸念に反論」
「過去3カ月のインフレデータは我々が求めているディスインフレ傾向に近づいている」
17日22:19 バーキン米リッチモンド連銀総裁
「消費者支出が依然として堅調であることは注目に値する」
「企業は従業員の解雇に消極的であり、一部の業界では依然として労働力が不足している」
「前四半期のインフレ率は低下した」
17日22:35 ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事
「データが不均衡な場合、近い将来の利下げはより不確実」
「シナリオではそう遠くない将来に利下げが行われる可能性がある」
「6月のCPIデータは2カ月連続で非常に良いニュースとなった」
「今後2カ月、データを注視する」
「最近のデータで2%の物価目標達成にさらに自信が持つことができた」
「利下げが正当化される時期に近づいている」
「情報にはもう少し証拠が必要。進展は続いている」
18日03:00 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
「米経済活動は大半の地区で緩やかな成長が続いた」
「7地区がある程度の成長を報告した一方、5地区は横ばいまたは減速を報告」
「賃金はほとんどの地区で引き続き緩やかなペースで増加し、物価は概して小幅に上昇した」
「ほとんどの地区で、消費者ローンや企業ローンの需要が低迷した」
「住宅および商業用不動産市場に関する報告はまちまちだった」
「今後の経済見通しは、選挙、国内政策、地政学的紛争、インフレをめぐる不確実性により、今後6カ月間の成長は鈍化すると予想されている」
「全体として、雇用は直近の報告期間にわずかなペースで増加した」
「いくつかの地区は、新規受注の減速により製造業の雇用が減少したと報告」
「ほとんどの地区で賃金は緩やかなペースで増加した」
「ただし、いくつかの地区は賃金の伸びがいくらか鈍化したと報告」
「物価は全体的に緩やかなペースで上昇した」
「いくつかの地区ではわずかな上昇にとどまった」
「ほとんどの地区は投入コストが安定し始めていると指摘したが、アトランタ地区は銅や電気製品などの製品がこの期間に顕著な上昇を見せていると指摘」
※時間は日本時間
18日のイベントスケジュール(時間は日本時間)
<国内>
○08:50 ◎ 6月貿易統計(通関ベース、予想:季節調整前2400億円の赤字、季節調整済8267億円の赤字)
<海外>
○10:30 ◎ 6月豪雇用統計(予想:失業率4.0%/新規雇用者数2.00万人)
○15:00 ◎ 6月英雇用統計(失業率/失業保険申請件数推移)
○15:00 ◎ 3-5月英失業率(ILO方式、予想:4.4%)
○18:00 ◇ 5月ユーロ圏建設支出
○21:15 ☆ 欧州中央銀行(ECB)定例理事会、終了後政策金利発表(予想:4.25%で据え置き)
○21:30 ◎ 7月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:2.9)
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:23.0万件/185.5万人)
○21:45 ☆ ラガルドECB総裁、定例記者会見
○未定 ☆ 南アフリカ準備銀行(SARB)、政策金利発表(予想:8.25%で据え置き)
○23:00 ◎ 6月米景気先行指標総合指数(予想:前月比▲0.3%)
○19日02:45 ◎ ローガン米ダラス連銀総裁、あいさつ
○19日05:00 ◎ 5月対米証券投資動向
○欧州連合(EU)議会、欧州委員長の再任採決
○トランプ前米大統領、米大統領選候補者指名受諾演説
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
バイデン米大統領、コロナ陽性反応=演説予定イベント関係者
バイデン米大統領がコロナ検査で陽性になったという。演説を予定していたラテン系団体の関係者が明らかにし、ホワイトハウスも同事実を認める声明を出した。
東京為替見通し=ドル円、日銀利上げ懸念とトランプ第2次政権でのドル安政策懸念で弱含みか
17日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、トランプ前米大統領の発言「米国はドル高により大きな問題を抱えている」や河野デジタル相が円安是正のため日銀に政策金利を引き上げるよう求めたとの報道で156.07円まで下落した。ユーロドルは、トランプ前米大統領のドル高けん制発言やFRB高官によるハト派的な発言を受けて1.0948ドルまで上昇した。ユーロ円は170.71円まで下落した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、月末の日銀金融政策決定会合での利上げ警戒やトランプ第2次政権でのドル安政策懸念などから軟調な展開が予想される。
昨日は、河野デジタル相が円安是正のため日本銀行に利上げを要求した、との報道を受けて、30-31日の日銀金融政策決定会合での国債買い入れ減額や利上げ懸念が高まり、円高要因となった。
トランプ前大統領の銃撃事件を受けて、トランプ氏が11月の大統領選に勝利する可能性が高まったことで、減税や関税引き上げという公約が実施された場合、インフレ圧力が高まるとの見通しからトランプトレード(ドル買い・米国債売り)への警戒感が高まりつつあった。しかし、トランプ前米大統領は「トランプノミクスは低金利と関税」と述べ、米国がドル高により「大きな問題を抱えている(big currency problem)」と述べたことがドル売り要因となった。
7月16日、トランプ氏は、足元の外国為替相場に関し「対ドルでの円安や人民元安がはなはだしい」と指摘して、米国の輸出企業にとってすさまじい負担だとの懸念を示した。その上で、米国製自動車の輸入が進まず、対米貿易黒字を抱える日本に対して不作法だと不満を漏らした。
4月23日には、トランプ氏は、ドルが対円で34年ぶりの高値を付けたことについて、米国の製造業にとって「大惨事だ(disaster)」と批判していた。そして、円安・ドル高の進行により米企業がビジネスを失い、外国での工場建設を余儀なくされると指摘し、こうした為替相場はバイデン大統領が事態を放置している証拠であり、日本や中国などの国々は今や米国をばらばらにする、と批判していた。
また、トランプ第2次政権が誕生した場合に、財務長官候補に挙がっているライトハイザー前通商代表部(USTR)代表は、第1次政権の時に、「プラザ合意」のようなドルの切り下げを主張していたドル安論者であり、今後もトランプ前大統領やライトハイザー前USTR代表の発言には注目しておきたい。
8時50分に発表される日本の6月貿易統計(通関ベース)では、6月の実需の円売り圧力と為替報告書で監視リスト入りの要因になった対米貿易黒字を確認することになる。
実需の1-6月期の円売りとしては、投資信託を通じた家計の円売り(新NISA少額投資非課税制度)が約6.1兆円となっており、貿易赤字が約4兆円前後なので、約10兆円規模となる。
投機筋の円売り圧力は、7月9日時点のIMM通貨先物の非商業(投機)部門取組の円の売り持ちポジション(182033枚×1250万円=約2.3兆円)に示されているように過去最大規模となっており、神田財務官が円安の要因を投機的と指摘する根拠になっている。
また、日銀が公表する外国銀行在日支店の本支店勘定は円キャリートレード残高を示唆しているが、4月時点で10.8兆円規模となっている。
すなわち、海外投機筋の円売り持ち残高は、公表されている金額だけで、約13兆円となっており、ドルの下落トレンドが進めば、円買い圧力に転換するため注視していきたい。
10時30分
10時30分の6月豪雇用統計では、失業率は4.0%と予想されており、5月と変わらず、新規雇用者数は2.00万人の増加と予想されており、5月の+3.97万人からの増加幅の減少が見込まれている。5月のように常勤雇用者が増えていた場合は、インフレ傾向が続いていることで、8月5-6日の豪準備銀行(RBA)理事会で利上げに舵を切る可能性もあるため、要注目となる。
株価指数先物【寄り前】 ローテーション本格化で4万円の攻防に
大阪9月限ナイトセッション
日経225先物 40250 -830 (-2.02%)
TOPIX先物 2881.0 -35.0 (-1.20%)
シカゴ日経平均先物 40240 -840
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
17日の米国市場は、NYダウが上昇した一方で、 S&P500、ナスダックは下落。ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が、米連邦準備理事会(FRB)が数カ月以内に利下げを実施する可能性を示したと伝わった。前日発表の6月の米小売売上高が予想を上回ったことで、米経済はソフトランディング(軟着陸)を達成できるとの見方が広がり、出遅れている景気敏感株などに買いが向かった。
また、予想を上回る決算を発表したジョンソン・エンド・ジョンソン<JNJ>や前日に決算評価により急伸したユナイテッドヘルス・グループ<UNH>への買いも継続し、NYダウを押し上げた。半面、これまで相場を牽引してきた半導体株や大型テック株は売られ、相場の重荷となった。S&P500業種別指数は食品・飲料・タバコ、保険、家庭用品・パーソナル用品が上昇した一方で、半導体・同製造装置、自動車・同部品、メディアの弱さが目立った。
シカゴ日経平均先物(9月限)清算値は、大阪比840円安の4万0240円だった。日経225先物(9月限)のナイトセッションは日中比180円安の4万0900円で始まり、直後に付けた4万0910円を高値に下げ幅を広げ、一気に4万0400円台まで売られた。その後は4万0340円~4万0570円処で保ち合いを継続。米国市場の取引開始後にレンジを切り下げると、終盤にかけて4万0140円まで売られ、4万0250円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、売り優勢で始まりそうだ。昨日はバイデン政権による対中規制強化に関する報道で名の挙がった東京エレクトロン <8035.T> [東証P]が後場一段安となり、1社で日経平均株価を263円ほど押し下げていた。米国市場では同報道が嫌気されてASMLホールディング<ASML>が12%を超える下落となったほか、エヌビディア<NVDA>やアームホールディングス<ARM>など他の半導体株に売りが広がっていた。
また、トランプ前大統領によるインタビュー発言を受けて台湾情勢を巡る先行き不透明感が高まり、台湾積体電路製造(TSMC)<TSM>が8%近く下落した。対中規制観測やトランプ氏の発言報道は前日の時点で織り込まれているものの、米半導体株や大型テック株が大きく売られるなか、指数インパクトの大きい値がさハイテク株の重荷になりそうだ。11月の大統領選に向けて両陣営の発言は活発化しやすく、ボラティリティの高い相場展開が見込まれる。
日経225先物はナイトセッションで一時4万0140円まで売られ、心理的な支持線として意識される25日移動平均線(3万9950円)に接近してきた。節目の4万円を割り込んでくるようなら、いったんは調整一巡感が意識されてくる可能性はあるが、7月11日の高値4万2490円からわずか4日(ナイトセッションを含む)で2300円超下げており、需給懸念から押し目待ちのロングは入りづらいだろう。
週足のボリンジャーバンドの+1σ(4万0100円)水準まで下げてきたため、節目の4万円から4万0100円辺りでの底堅さを見極めつつ、打診的なロングでの対応となりそうだ。4万0100円辺りでの上値の重さが意識されてくると、13週線が位置する3万9080円処が射程に入ってくる。
もっとも、ローテーションが本格化してきたことで、バリュー株への資金シフトにより
もっとも、ローテーションが本格化してきたことで、バリュー株への資金シフトにより相対的にTOPIX型優位の展開が意識されやすい。日経平均株価が目先的なボトムを探るなか、NTショートによるスプレッド狙いの動きが強まりやすいだろう。
なお、昨日のNT倍率は先物中心限月で14.08倍に低下した。前場の時点で14.13倍まで下げており、25日、75日、200日線が集中している水準を割り込んでいた。東エレクが後場一段安となった影響が大きく、一時14.07倍まで下げた。NTショートに振れやすい需給状況のなか、7月2日に付けた13.94倍辺りが目先的なターゲットになる可能性がある。ただし、トランプ氏によるドル高是正発言を受けて円相場は1ドル=156円台前半で推移しており、自動車など輸出関連の物色が手控えられるようだと、TOPIX型の動きも鈍くなりそうだ。
17日のVIX指数は14.48(前日は13.19)に上昇した。13.74辺りで推移する75日線と14.12に位置していた200日線を突破し、一時5月30日以来の14.88まで切り上がる場面もみられた。ローテーションが本格化するなかで両線突破の可能性は想定されていたが、52週線(14.36)も上回ってきたことから、一段の上昇に備えることになろう。
株価指数先物【昼】 4万円接近で調整一巡感が意識される
日経225先物は11時30分時点、前日比770円安の4万0310円(-1.87%)前後で推移。寄り付きは4万0220円と、シカゴ日経平均先物の清算値(4万0240円)にサヤ寄せする形で、売りが先行して始まった。下へのバイアスが強まるなか、現物の寄り付き時には一時4万0060円まで下落幅を広げる場面も見られた。ただし、節目の4万円接近で調整一巡感が意識されやすく、売り一巡後は4万0200円を挟んで下げ渋るなか、終盤にかけては4万0420円まで下げ幅を縮める場面もみられた。
日経225先物は売り先行で始まり、週足のボリンジャーバンドの+1σ(4万0110円)水準で下げ渋る動きから下落幅を縮めている。東京エレクトロン <8035.T> [東証P]、ソフトバンクグループ <9984.T> [東証P]、アドバンテスト <6857.T> [東証P]の3社で日経平均株価を500円ほど下押しているが、寄り付き後は下げ渋りをみせているため、ここからのショートは仕掛けづらいだろう。
相対的にTOPIX優位の展開となっており、NT倍率は先物中心限月で13.94倍に低下した。一時13.93倍まで下げており、7月2日に付けた直近安値の13.94倍を下回ってきた。これにより、下期入り後のハイテク主導による上昇した部分を打ち消しており、NTショートでのスプレッド狙いも一巡感が意識されやすいと考えられる。
【よろずのつぶやき by Wada】その逆もしかり
昨日のドル円は、欧州勢参入と共に下落。トランプ前米大統領のインタビューの詳細が明らかになるにつれて、次第に上値を切り下げる動きとなったわけですが、そこに合わせるかのように河野デジタル相が「日銀には円安是正のために政策金利の引き上げを求める」との発言。一部米系マクロのHFがポジション調整の売りをまとめて持ち込むと一気に156.10円まで売り込まれました。海外勢からみれば、河野大臣は「次期首相の有力候補」との認識が強いだけに、「想像以上に反応した」との声も聞かれるなか、トランプ発言による日経平均先物の急落なども相まって、リスクオフの動きも同時に観測されたといったところです。NY時間に入ってからも156.80円まで買戻される場面もみられましたが、結局は戻り売りに押される展開に。一時156.07円まで安値を更新しました。
アジア時間に入ってからは、こちらもよくありがちな動きではありましたが、米系短期筋が売り仕掛け。156.00円のSLを付ける動きとなると155.38円まで値を下げることになりました。ただ、一目雲が位置する155.49円から155.83円のゾーンは「明らかに拾いたいレベル」であったわけで、安値を付けた後は155.47円までの下押しでダブルボトムを確認した市場は、再び156.44円まで買戻されているといったところ。156.00円割れを仕掛けた米系短期筋の買戻しを誘う結果となりました。
いずれにしても、日経平均が先週末に続いて、再び1000円近い急落という円高に対する強い拒絶反応を起こしていますが、海外勢の円キャリートレードの巻き戻しが同時に行われている以上、不可避的な動き。目先は落ち着きどころを探っていくことになりそうです。
それにしても、昨日のトランプ発言の中には、当選の暁には、パウエルFRB議長を解任しない旨が語られていたわけですが、その条件として大統領選までは利下げを行わないという圧力。自分が大統領に再選した後に利下げをしろということになるわけで、市場が織込んでしまっている年3回の利下げは、政治的プレッシャーに弱いはずのパウエルFRB議長からすれば、12月FOMCが利下げのスタートになる可能性も十分にあります。
また、一方では政治的圧力をあまり気にしていない様子の植田日銀総裁にしては、何でも闇雲にやればいいというものではなく、とりあえず国債買入れ減額を決定して、利上げはその後となる可能性も十分にあるといったところ。ポジション調整に目処が付いたあと、かかる巻き戻しの動きが逆に加速する可能性も出て来ています。
【相場の細道】トランプ第2次政権でのプラザ合意2(ドル安政策)懸念
7月13日のトランプ前大統領銃撃事件を受けて、トランプ氏が11月の大統領選に勝利する可能性が高まったことで、減税や関税引き上げという公約が実施された場合、インフレ圧力が高まるとの見通しからトランプトレード(ドル買い・米国債売り)への警戒感が高まりつつあった。しかし、トランプ前米大統領は「トランプノミクスは低金利と関税」と述べている。
1. ドル高は大問題(big currency problem)(7月16日)
7月16日、トランプ氏は、米国がドル高により「大きな問題を抱えている」と述べた。
トランプ氏は、足元の外国為替相場に関し「対ドルでの円安や人民元安がはなはだしい」と指摘して、米国の輸出企業にとって「すさまじい負担だ」との懸念を示した。その上で、米国製自動車の輸入が進まず、対米貿易黒字を抱える日本に対し「不作法だ」と不満を漏らした。
2.ドル高は大惨事(disaster)(4月23日)
4月23日、トランプ氏は、ドルが対円で34年ぶりの高値を付けたことについて、米国の製造業にとって「大惨事だ」と批判した。そして、円安・ドル高の進行により米企業がビジネスを失い、外国での工場建設を余儀なくされると指摘し、こうした為替相場はバイデン大統領が事態を放置している証拠であり、日本や中国などの国々は今や米国をばらばらにする、と批判した。
3. ライトハイザー前通商代表部(USTR)代表
トランプ第2次政権が誕生した場合に、財務長官候補に挙がっているライトハイザー前通商代表部(USTR)代表は、第1次政権の時に、「プラザ合意」のようなドルの切り下げを主張していたドル安論者である。
当時は、ウォール街に近いムニューシン米財務長官(当時:ゴールドマン・サックス出身)やコーン米国家経済会議(NEC)委員長(当時)らの反対によって頓挫した。
もし、もう一人の候補である金融最大手JPモルガン・チェースのダイモン最高経営責任者(CEO)が財務長官に指名されたならば、ウォール街出身の財務長官の常(※リーガン財務長官、ルービン財務長官、ポールソン財務長官)として、ドル安政策ではなくドル高政策が採用されると思われる。
バンス米副大統領候補は、ウォール街よりも、「ラストベルト(さび付いた工業地帯)」に軸足を置く、ドル安論者である。
4.外国為替報告書
米財務省は6月20日に発表した半期に一度の「外国為替報告書」で、2023年7月~12月の期間中に、7カ国・地域(日本、中国、ドイツ、マレーシア、シンガポール、スイス、ベトナム)が為替の慣行に関する「監視リスト(Monitoring List)」の対象になっていると表明した。昨年秋の報告書では、日本は外されていたが、今回は、2023年の日本の対米貿易黒字が624億ドルと高水準だったことと、経常黒字の国内総生産(GDP)比率が3.5%だったことを理由に追加された。
ロンドン為替見通し=ユーロドル、ECB理事会後のラガルドECB総裁の会見に要注目か
本日のロンドン為替市場のユーロドルは、欧州中央銀行(ECB)理事会では政策金利据え置きが確実視されていることで、ラガルドECB総裁の定例記者会見に注目することになる。
今夜のECB理事会では、6月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)が前年比+2.5%、コア指数が同比+2.9%だったことで、政策金利の据え置きが見込まれている。
ラガルドECB総裁は、先日、インフレ率が目標の2%に戻る方向にあることを示す新たな裏付けが追加利下げの要件だと述べており、本日も同様の慎重なスタンスを示すことが予想されている。
ラガルドECB総裁は、ユーロ圏でディスインフレが続いているが、当局者は警戒態勢を緩めてはならないと指摘し、賃金上昇によって押し上げられているサービス価格の伸びが焦点だと警戒感を示していた。
ユーロドルの上値を抑える要因としては、フランス議会が単独過半数の政党がいないハングパーラメントに陥り、連立政権の先行きには不透明感が高まっていることや欧州委員会が、フランスに対して過剰赤字手続き(EDP)を開始すると勧告していることで、フランスの財政危機への警戒感が高まっていることなどが挙げられる。
ポンドドルは、6月の英雇用統計に要注目となる。昨日発表された6月英消費者物価指数(CPI)が前年比+2.0%だったことで、8月1日のイングランド銀行金融政策委員会(MPC)での利下げ観測が後退し、ポンドドルは1.30ドル台へ上昇している。
6月英失業率の予想は4.3%で5月と変わらずだが、失業保険申請件数が5月の+5.04万件から減少していた場合は、もう一段の買い戻しが予想される。
想定レンジ上限
・ユーロドル:1.0981ドル(3/8高値)
・ユーロ円:172.83円(7/17高値)
・ポンドドル:1.3126ドル(2023/7/18高値)
・ポンド円:205.57円(日足一目均衡表・転換線)
想定レンジ下限
・ユーロドル:1.0875ドル(日足一目均衡表・転換線)
・ユーロ円:169.16円(日足一目均衡表・雲の上限)
・ポンドドル:1.2911ドル(日足一目均衡表・転換線)
・ポンド円:201.17円(6/24安値)
東京マーケットダイジェスト・18日 円買い一服・株大幅安
(18日15時時点)
ドル円:1ドル=156.01円(前営業日NY終値比▲0.19円)
ユーロ円:1ユーロ=170.63円(▲0.25円)
ユーロドル:1ユーロ=1.0937ドル(▲0.0002ドル)
日経平均株価:40126.35円(前営業日比▲971.34円)
東証株価指数(TOPIX):2868.63(▲46.53)
債券先物9月物:143.15円(▲0.07円)
新発10年物国債利回り:1.035%(△0.005%)
ユーロ円TIBOR3カ月物:0.14900%(横ばい)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
6月貿易統計(通関ベース)
季節調整前 2240億円の黒字 1兆2213億円の赤字・改
季節調整済 8168億円の赤字 6443億円の赤字・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は下値が堅い。朝方は仕掛け的な売りに押されて6月7日以来の安値となる155.38円まで下押す場面があったが、その後は時間外の米10年債利回りの上昇を支えにした買い戻しが入り、156.57円まで下値を切り上げた。
・ユーロ円も下値が堅い。ドル円と同様に朝方は下値を探る動きとなり、一時170.00円まで値を下げた。もっとも、その後は足もとで値を下げてきた反動から買い戻しが入り、171.19円まで反発した。
・ユーロドルは小安い。米金利の上昇などが重しとなり、アジア時間の終盤に1.0928ドルまで値を下げた。
・日経平均株価は大幅続落。前日の米国株式市場でハイテク銘柄が大幅安となった流れを引き継いで、この日の東京市場でも半導体関連株が軒並み安となった。外国為替市場での円高進行も相場の重しとなり、指数は一時1000円近く下げる場面も見られた。
・債券先物相場は続落。昨日の河野デジタル相の発言を受けて日銀の早期利上げ観測が高まるなか、債券売りが優勢となった。
株価指数先物【引け後】 値幅調整は一巡した形に
大阪9月限
日経225先物 40240 -840 (-2.04%)
TOPIX先物 2873.0 -43.0 (-1.47%)
日経225先物(9月限)は前日比840円安の4万0240円で取引を終了。寄り付きは4万0220円と、シカゴ日経平均先物の清算値(4万0240円)にサヤ寄せする形で、売りが先行した。下へのバイアスが強まるなか、現物の寄り付き時には一時4万0060円まで下げ幅を広げた。節目の4万円接近で調整一巡感が意識されやすく、売り一巡後は4万0200円を挟んで下げ渋り、前場終盤には4万0420円まで下げ幅を縮める場面もみられた。ランチタイムでは4万0300円辺りで膠着し、後場はややレンジを切り下げ4万0180円~4万0280円処で推移し、終盤にかけては4万0110円と朝方に付けた安値水準に接近する場面もあった。
日経225先物は売り先行で始まり、週足のボリンジャーバンドの+1σ(4万0100円)水準で下げ渋る動きとなった。節目の4万円や25日移動平均線(3万9950円)に接近してきたことで、いったんは調整一巡感も意識されたようだ。また、東京エレクトロン <8035.T> [東証P]とソフトバンクグループ <9984.T> [東証P]、アドバンテスト <6857.T> [東証P]の3社で日経平均株価を500円ほど下押したが、3社とも窓を空けて寄り付いた後は下げ渋りをみせていたため、日経225先物の4万円割れを狙ったショートは強まらなかった。
グローベックスの米株先物は、ナスダック100先物が小幅ながらプラス圏で推移しており、18日の米国市場でエヌビディア<NVDA>など半導体株が下げ止まりをみせてくるかが注目されそうだ。また、国内では引け後にディスコ <6146.T> [東証P]が未開示であった4-9月期(中間期)業績予想を開示した。コンセンサスには届かなかったが、本日9%近く急落したこともあり、アク抜け的な動きをみせてくるようだと、半導体株の見直しへ向かいそうである。
日経225先物は4万円接近で調整一巡は意識されるものの、指数インパクトの大きい値がさハイテク株のリバウンドが限られるようだと、次第に戻り待ち狙いのショートが強まる可能性はあろう。ハイテク株のリバウンドを見極めつつ、足もとではオプション権利行使価格の4万円から4万0500円辺りのレンジ推移が見込まれる。
相対的にTOPIX優位の展開となるなか、NT倍率は先物中心限月で14.00倍に低下した。一時13.93倍まで下げており、7月2日に付けた直近安値の13.94倍を下回ってきた。これにより、下期入り後のハイテク主導により上昇した分を打ち消しており、NTショートでのスプレッド狙いも一巡感が意識されやすい。ハイテク株のリバウンド次第の面はあるが、ボトム圏までの調整により、今後はNTロングを組成する動きが入りそうだ。
手口面(9月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が3万6936枚、ソシエテジェネラル証券が1万9996枚、サスケハナ・ホンコンが6274枚、JPモルガン証券が2985枚、バークレイズ証券が2829枚、SBI証券が2007枚、野村証券が1859枚、ゴールドマン証券が1825枚、楽天証券が1549枚、モルガンMUFG証券が1322枚だった。
TOPIX先物は、ABNクリアリン証券が2万6080枚、ソシエテジェネラル証券が1万8732枚、バークレイズ証券が4472枚、JPモルガン証券が4295枚、サスケハナ・ホンコンが3835枚、ゴールドマン証券が3663枚、モルガンMUFG証券が3648枚、ビーオブエー証券が1846枚、野村証券が1038枚、シティグループ証券が1024枚だった。
NY為替見通し=前半から材料多し、トランプ氏の演説は後回しか
本日のニューヨーク為替市場は前半から材料多く、値幅を伴った動きが想定される。まずはNY勢の入り際に欧州中央銀行(ECB)が政策金利や声明の公表、その後に複数の米指標が発表され、市場が落ち着く間もなくラガルドECB総裁の定例記者会見が行われる。会見が進む間にも、南ア準備銀行(SARB)が政策金利を公表し、米株オープン後に米景気先行指数が発表予定。
なお米国では本日、共和党全国大会でトランプ前大統領が大統領候補の指名受諾演説を行う。ただ執筆時点では、スピーチ開始の時間は未定。一般的に政治的な主要演説は、夜間のプライムタイムに行われることが多い。そうなると東部時間の20時から22時頃(日本時間19日9時から11時頃)を目安に考えておいたほうが良さそうだ。
ECBイベントについては、政策金利は据え置きが大方の予想。市場参加者は、追加利下げのタイミングを声明やECB総裁の会見で探ることになる。本日を除くと今年の定例理事会は残り3回(9,10,12月)であり、まずは次回に繋がるヒントを見つけたい。
米経済指標は、7月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数、週間の雇用データ、そして6月米景気先行指標総合指数。景気関連は前回から改善が見込まれており、その度合いを確認することになる。
SARBの政策金利発表は8.25%で据え置き予想。注視すべきは消費者物価指数(CPI)見通しか。早期利下げ観測が浮上しつつあり、インフレ予測次第では南ア金利の先安観が強まることになるだろう。
米株では、昨日大きく売られたハイテク株の動向に目を向けておきたい。半導体受託生産の世界最大手である台湾TSMCの決算が東京午後に発表され、売上高が過去最高を記録した。昨日はトランプ前大統領の発言「台湾は防衛費を支払うべきだ」が嫌気され、同社株は米市場で大幅安となり、他ハイテク株の弱さにも繋がった。本日は好調な業績への反応が注目される。
想定レンジ上限
・ドル円、今週レンジの半値戻し157.12円
・ランド円、日足一目均衡表・基準線8.72円
想定レンジ下限
・ドル円、6月7日安値155.12円
・ランド円、日足一目均衡表・雲の上限8.40円
中国3中総会・声明「不動産・地方政府債務など主要分野でのリスク防止へ措置導入へ」
中国共産党・第20期中央委員会第3回総会(3中総会)声明
「共産党中央委、改革の包括的深化に関する決議を採択」
「高水準の社会主義市場経済システムを2035年までに完全構築」
「不動産・地方政府債務・中小金融機関など主要分野でのリスク防止へ措置導入へ」
NY株見通しー上昇か 出遅れ株への資金シフトが続こう
今晩は上昇か。きのうはウォラーFRB理事の発言を受けて9月利下げの観測が高まったことからダウ平均が3日連続で史上最高値を更新するなど好調。一方、ハイテク株からの資金抜けでナスダックは大幅安となった。SOX指数が対中規制観測やASMLの決算を受けて前日比6.8%安と大幅な下落となり、投資家のマインドを冷やした。
今晩の取引では引き続き、ハイテク株から出遅れ株への資金シフトが進む一方、大幅に売られた半導体株の一角には買い戻しが入る展開を想定する。引け後の時間外取引では小幅ながらも日中終値比で上昇している銘柄が散見された。TSMCの決算でネガティブサプライズがなければ、自律反発狙いの買いが入ることが期待される。
今晩の米経済指標・イベントは新規失業保険申請件数、フィラデルフィア連銀製造業景況指数などが発表。また、欧州ではECB理事会の結果発表やラガルド総裁の記者会見が予定されている。企業決算は寄り前にD.R.ホートン、ドミノ・ピザ、ブラック・ストーン、キーコープ、引け後にネットフリックス、PPGインダストリーズなどが発表予定。
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