【よろずのつぶやき by Wada】その逆もしかり
昨日のドル円は、欧州勢参入と共に下落。トランプ前米大統領のインタビューの詳細が明らかになるにつれて、次第に上値を切り下げる動きとなったわけですが、そこに合わせるかのように河野デジタル相が「日銀には円安是正のために政策金利の引き上げを求める」との発言。一部米系マクロのHFがポジション調整の売りをまとめて持ち込むと一気に156.10円まで売り込まれました。海外勢からみれば、河野大臣は「次期首相の有力候補」との認識が強いだけに、「想像以上に反応した」との声も聞かれるなか、トランプ発言による日経平均先物の急落なども相まって、リスクオフの動きも同時に観測されたといったところです。NY時間に入ってからも156.80円まで買戻される場面もみられましたが、結局は戻り売りに押される展開に。一時156.07円まで安値を更新しました。
アジア時間に入ってからは、こちらもよくありがちな動きではありましたが、米系短期筋が売り仕掛け。156.00円のSLを付ける動きとなると155.38円まで値を下げることになりました。ただ、一目雲が位置する155.49円から155.83円のゾーンは「明らかに拾いたいレベル」であったわけで、安値を付けた後は155.47円までの下押しでダブルボトムを確認した市場は、再び156.44円まで買戻されているといったところ。156.00円割れを仕掛けた米系短期筋の買戻しを誘う結果となりました。
いずれにしても、日経平均が先週末に続いて、再び1000円近い急落という円高に対する強い拒絶反応を起こしていますが、海外勢の円キャリートレードの巻き戻しが同時に行われている以上、不可避的な動き。目先は落ち着きどころを探っていくことになりそうです。
それにしても、昨日のトランプ発言の中には、当選の暁には、パウエルFRB議長を解任しない旨が語られていたわけですが、その条件として大統領選までは利下げを行わないという圧力。自分が大統領に再選した後に利下げをしろということになるわけで、市場が織込んでしまっている年3回の利下げは、政治的プレッシャーに弱いはずのパウエルFRB議長からすれば、12月FOMCが利下げのスタートになる可能性も十分にあります。
また、一方では政治的圧力をあまり気にしていない様子の植田日銀総裁にしては、何でも闇雲にやればいいというものではなく、とりあえず国債買入れ減額を決定して、利上げはその後となる可能性も十分にあるといったところ。ポジション調整に目処が付いたあと、かかる巻き戻しの動きが逆に加速する可能性も出て来ています。