1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2016/05/06(金) 01:43:01.70 ID:Ic59TOhm友「そんでなー、モブ子のやつがいきなり……ってゲスオ聞いてんのか?」
ゲスオ「死んどけよクソ虫」
友「ん?なんだって?」
ゲスオ「うるせぇ、さっさと失せろ。殺されたくなければ三秒以内に俺の前から消えろ」
友「はー?どうしちまったんだよゲスオ」
ゲスオ「ふははは。お前のその顔まじで好きだわ。ほらもっと驚いて見せろ、俺を笑わせろゴミ」
友「おいおい、どっか打ったか?俺なんかお前に言った?」
ゲスオ「……そろそろか」
ーーーーーーーーーー
グウゥウウウゥウン
友「そんでなー、モブ子の奴がいきなり……ってゲスオ聞いてんのか?」
ゲスオ「おう、聞いてる聞いてる」
友「そうかよかった。そんで『やだっ!はしたないですっ!』なんて言うもんだから━━━」
ゲスオ「……」
物心ついたときからだった。
『少し前に言った言葉なら取り消せる能力』、とでも言うのだろうか。
俺が言った任意の言葉を『なかったこと』にできた。
2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2016/05/06(金) 01:54:20.68 ID:Ic59TOhm友「なあなあどう思う?モブ子みたいなブスが『やだっ!』だってよ。くそ面白くね?」
ゲスオ「だな。最高におもしれーわ」
友「その続きがあんだけどさ」
ゲスオ「いや悪い、俺今日は帰るわ」
友「お、そうか。ってもう7時かよ」
ゲスオ「そうだぞ、早いところ帰ろうぜ」
ーーーーーーーーーー
ゲスオ「ただいまー」
母ちゃん「あらお帰りー。ご飯は?」
ゲスオ「まだ食ってない」
母ちゃん「そう。支度するから荷物置いておいで」
ゲスオ「……いっつもいっつもまずい飯ありがとうよクソババアっ!ひひひっ」
母ちゃん「……は!?あんた今なんて……!」
ーーーーーーーーーー
グウゥウウウゥウン
母ちゃん「そう。支度するから荷物置いておいで」
ゲスオ「あいあい」
ドアガチャ
妹「ありゃ、お兄ちゃん今お帰り?」
ゲスオ「おう」
妹「良くないなあ。こんな時間まで出歩いてるなんて、不良にでもなったの?」
ゲスオ「ちげーよ。友と話し込んでただけ」
妹「へー、本当は女の子といたんじゃないの?」
ゲスオ「だったら良かったけどな。あ、そういえば友がお前をグッチャグチャになるまでレイプしたいって言ってたぞ」
妹「は?なにそれキモ」
ゲスオ「そのときは俺も呼んでくれよな。参加してやるから」
妹「まじでないんだけど」
ゲスオ「はははっ」
ーーーーーーーーーー
グウゥウウウゥウン
妹「へー、本当は女の子といたんじゃないの?」
ゲスオ「……」
ゲスオ「そんなわけあるかよ」
妹「なーんだ。つまんない」
ゲスオ「お前は?そろそろ彼氏出来た?」
妹「できるわけないっしょ。私そういうのいらないから」
ゲスオ「そうかいそうかい」
ゲスオー!ハヤクオリテキナー!
妹「ほら、お母さん呼んでるよ」
ゲスオ「……」
4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2016/05/06(金) 02:05:07.92 ID:Ic59TOhmゲスオ「なあ母ちゃん」
母ちゃん「んー?」
ゲスオ「一回言った言葉って、取り消せんの?」
母ちゃん「なにいってんのあんた」
ゲスオ「……別に。なんでもない」
母ちゃん「はやく食べちゃってねー。洗い物済ませたいから」
ゲスオ「……」
ーーーーーーーーーー
先生「はーいおはよー」
ガヤガヤ
先生「突然だけど転校生来たから、紹介するわ」
ドアガチャ
先生「ふぁい。自己紹介して」
テンコ「テンコです。よろしくお願いします」
友「うお、なかなかの……」
ゲスオ「だな」
テンコ「……」ピクッ
先生「んじゃ、テンコさんあそこ座って」
テンコ「はい」
ゲスオ「……」
ーーーーーーーーーー
休み時間
友「次保健体育だっけ。移動教室だりーな」
ゲスオ「保健体育は女子のソワソワした感じがなんとも萌える授業だろ。気を引き締めろクソヤロウ」
友「は……?」
ーーーーーーーーーー
グウゥウウウゥウン
友「次保健体育だっけ。移動教室だりーな」
ゲスオ「だなー」
テンコ「……」ジー
ゲスオ「ん?なんだ?」
テンコ「……」サッ
友「どうした?」
ゲスオ「あ、いや……」
ゲスオ(やけに見られていた気がするが。気のせいか?)
6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2016/05/06(金) 02:17:19.58 ID:Ic59TOhmキーンコーンカーンコーン
ゲスオ「あーやっと終わったー」
友「最後が古文とか眠気やばい」
ゲスオ「そうなんだよな、どうせなら全部体育で良いわって」
友「だなー」
テンコ「……」
ゲスオ「……」
テンコ「……」
友「おいどうした?」
ゲスオ「お?ちょっと転校生に話しかけてこようかなって」
友「さすが町内一のヤリチン。手が早いなあ」
ゲスオ「うっせーな」
テンコ「……」
ゲスオ「よっ。テンコだっけ?どう?学校馴染めそう?」
テンコ「まあ……」
ゲスオ「ところでさ、処女?それともビッチ?」
テンコ「は、は!?」
ゲスオ「いやー、結構タイプなんだよねー、そのツンとした感じ。なにカップ?おっぱい揉ませてよ」
テンコ「……初対面でそんなこと言えるなんて。とんだゲスね」
ゲスオ「まあいいんだよ俺は。んで?セックスしたことあんの?ないの?」
テンコ「あっちいって。気持ち悪い」
ゲスオ「はーあ」
……そろそろか。
ーーーーーーーーーー
グウゥウウウゥウン
テンコ「……まあ」
ゲスオ「そっかそっか。なんかあったら言ってくれよ。力になるからさ」
テンコ「……」
友「どう?」
ゲスオ「ありゃあ処女だな」
友「そこじゃねーだろ。どんな感じの子?ってことだよ」
ゲスオ「まあちょっとツンツンしてるかな。そこもまた可愛げがあるけど」
友「狙っちゃおっかなー」
ゲスオ「お前には無理だよ」
友「はあ?なんでだよ!? 」
テンコ「━━━ちょっと」
友「……?」
ゲスオ「ん?俺?」
テンコ「……そう。あなたよ、ゲスが」
友「お、おお?」
ゲスオ「は……?」
テンコ「もしよろしければ、一緒に帰らない?」
ゲスオ「……」
友「お、おいおい」
ゲスオ「……あ、あぁ。もちろんだ」
9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2016/05/06(金) 02:37:18.11 ID:Ic59TOhmゲスオ「……いきなり二人で一緒なんて、もしかして俺のこと狙ってんの?」
テンコ「……」
ゲスオ(試してみっか)
ゲスオ「別に俺は付き合ってやってもいいけど?」
テンコ「あなた、どこか勘違いしてるわよ」
ゲスオ「なにが?」
テンコ「なんて言ったら良いのかしら」
ゲスオ「……」
テンコ「自分の任意の言葉を取り消せる能力?とでも言うのかしら 」
ゲスオ「!?」
テンコ「それ、あなただけが使える能力とでも思ってるの?」
ゲスオ「なんで……」
テンコ「私もびっくりしたけど、初対面からあんなセクハラ発言してくるものだから」
ゲスオ「……悪かった」
テンコ「悪かった、で済むと思う?ふざけないで。そのふにゃふにゃのちんこ踏んで潰してやろうかしら?」
ゲスオ「え?」
テンコ「ふふっ……」
ーーーーーーーーーー
グウゥウウウゥウン
ゲスオ「……悪かった」
テンコ「……」
ゲスオ「!?」
テンコ「そう。私は今何も言わなかった。でも、あなたの記憶には別の言葉を喋った私がいる」
ゲスオ「矛盾している……」
テンコ「それは、私が能力を使ったから」
ゲスオ「……まじかよ」
テンコ「さて、セクハラ男さん。あんなセクハラ発言しておいて、ただ悪かったじゃ済ませられないわ」
ゲスオ「……くそ。やらかした」
テンコ「忠告をひとつだけ」
ゲスオ「……なんだよ」
テンコ「むやみやたらにその能力を使わないことね」
ゲスオ「……なんで」
テンコ「後悔することになる」
ゲスオ「なんで」
テンコ「私から言えるのはそれだけよ。それじゃあね。セクハラ男さん」
ゲスオ「……」
ゲスオ「……なんなんだよ畜生」
11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2016/05/06(金) 03:08:36.41 ID:Ic59TOhmあの女、なんだったんだ?
なぜ能力が効かない?
俺以外にも能力が使える奴がいた?
ゲスオ「くそ。ふざけんな」
ーーーーーーーーーー
ゲスオ「ただいま」
妹「お兄ちゃんお帰りー」
ゲスオ「あれ、母さんは?」
妹「お父さんの職場行ってるって置き手紙あったよ」
ゲスオ「そうか、じゃあ二人っきりなんだな」
妹「ん、そだね」
ゲスオ「じゃあ禁断の愛でも育むか?妹よ」
妹「はい……?」
ゲスオ「幸いお前は俺に似て美形だからな。エロ同人よろしくたっぷり犯してやろうひひひっ」
妹「ふえぇ……お兄ちゃんが変な人だよぅ……」
ーーーーーーーーーー
グウゥウウウゥウン
妹「お父さんの職場行ってるって置き手紙あったよ」
ゲスオ「ん、そうか」
妹「……」
ゲスオ「どうした?」
妹「え?いや……」
ゲスオ「……?」
『むやみやたらにその能力を使わないことね』
この言葉の意味を、俺はもっと重く理解しておくべきだった。
13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2016/05/06(金) 03:17:26.48 ID:Ic59TOhmそれでも俺はいつものように、能力を使ってストレスを発散していた。
ゲスオ「とっとと死ねよウジ虫が!」
友「は……?」
テンコが俺と同じ能力を持っている。
だからなんだ?俺には関係ない。
でも、少しずつ少しずつ、日常は変化していく。
俺はそれに気づくことができなかった。
モブ子「あ!ゲスオくーん!」
ゲスオ「は?話しかけんなブス」
モブ子「え、な、なに?」
ゲスオ「ブスのうえに察しも悪いとかもう蟻以下だぞブス。いや、蟻は働きものだがその肥えた腹は働いてすらない証拠だなとっとと死ね」
モブ子「ひどい……!」
ゲスオ「ふはっふはっふはははは!」
ーーーーーーーーーー
グウゥウウウゥウン
モブ子「あ!ゲスオくーん!」
ゲスオ「ん?なに?」
モブ子「え……」
ゲスオ「なに?どうした?」
モブ子「あ、いや。今なんか、ゲスオ君にすごいひどいこと言われたような気がして……」
ゲスオ「!?」
モブ子「気のせい……かな?」
ゲスオ「き、気のせいだろ。んで、どうしたの」
モブ子「えと……」
ゲスオ(能力が完全に発揮されていない……?)
ゲスオ(いやまさか、このブスの察しが良かっただけか……?)
モブ子「だから学級委員長が━━」
ゲスオ「良かったなモブ子。お前は蟻よりかはましみたいだ」
モブ子「え……?」
ゲスオ「あいや、なんでもないわ」
モブ子「……?」
14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2016/05/06(金) 03:30:28.37 ID:Ic59TOhm友「そろそろ彼女欲しいなー」
ゲスオ「なんだ唐突に」
友「どうすればできんのかなー彼女ー」
ゲスオ「知らねーよグズ。俺みたいな美形に産まれなかったことを恨めよ」
友「は?」
ゲスオ「だいたいお前はことあるごとに女女女。もう飽き飽きなんだよ糞野郎。どんだけ飢えてんだよ発情期ゴリラが」
友「……お前、それ言い過ぎだろ」
ゲスオ「言い過ぎ?は?事実を言ってるだけだろ?な?鏡を見ろよ不細工。どの面で彼女欲しーなんてぼやいてんだよあ?お前にできるんならミジンコにも出来るわ」
友「お前、ふざけんなよあ!?」
ゲスオ「そろそろか」
ーーーーーーーーーー
グウゥウウウゥウン
友「どうすればできんのかなー彼女ー」
ゲスオ「さぁなー」
友「……あ?」
ゲスオ「ん?」
友「お前今なんつったよ?」
ゲスオ「いや、さぁなーって」
友「いやその前……ん?後か……?」
ゲスオ「……?なにいってんだ?」
友「あぁいや……」
ゲスオ「おいおい、どうしたんだよ 」
友「……わりぃ、帰るわ」
ゲスオ「友……」
ゲスオ「……」
効果が薄れてきている……のか?
今までとは明らかに違う。
ゲスオ「……」
『むやみやたらにその能力を使わないことね』
ゲスオ「……くそっ」
16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2016/05/06(金) 04:04:16.32 ID:Ic59TOhmゲスオ「うーし、終わったし、マックにでも寄って行こうぜー」
友「俺今日は帰るわ」
ゲスオ「……そうか」
テンコ「……」
ゲスオ「……マック、行く?」
テンコ「……はぁ」
ーーーーーーーーーー
ゲスオ「……」
テンコ「……」
ゲスオ「どうしよう」
テンコ「だから言ったのよ。むやみやたらに使うなって」
ゲスオ「……」
テンコ「効果が薄れてきている、でしょう?」
ゲスオ「おまっ、知ってたのかよ」
テンコ「まあね。あなたの自制心を信じて敢えて言わなかったけど」
ゲスオ「……どうしたらいい」
テンコ「さあね。まあ初対面であんなセクハラ発言をした男だもの。自業自得じゃない?」
ゲスオ「お前性格悪いな」
テンコ「ふふっ、あなたと同じくらいにはね」
ゲスオ「そりゃ最悪だ」
テンコ「このままだと取り返しがつかないわよ。友人らが抱いたあなたへの不信感は徐々に確かなものになりつつある」
ゲスオ「はー、こんな能力、なんで身についちまったんだろう」
テンコ「能力を恨んでも仕方ないわ。自分を恨みなさいよ」
ゲスオ「まあな」
テンコ「この能力は、使い方さえ間違えなければとても素敵なものになる」
ゲスオ「素敵なもの?なんだそりゃ」
テンコ「使い方、考え方がまだまだ幼稚。まあ、今のうちに友人との関係は改善しておいた方が良いわよ」
私のようになる前に。
ゲスオ「どうやって……」
テンコ「さぁ?それは自分で考えて」
ゲスオ「結局それかよ。あーあ、素直に謝るかって、素直に言っても信じてくれんのかなあ」
テンコ「……」
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