( 二人の殺し屋と少女の物語。 )?

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1以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします@2周年:2015/05/10(日) 18:24:23.94 ID:PSLxgAk/

「どんなに願ったって――――戻ってこないのは、俺がこんな事しているからだろ」
「いっつもそんな仏頂面ばっかしとるから、幸せがこないんとちゃう?」
「私ね、幸せだよ。二人に会って後悔なんか、してないよ」



 ある時代のある所に、二人の殺し屋がいました。
 綺麗なのに悲しそうな目をした青年と、無邪気なのにどこか素っ気ない青年。

 そんな彼らにある出会いがありました。
 それはある依頼で行った家。そこで、一人の娘と出会いました。
 彼女は成り行きで彼らと時を共に過ごすことになりました。

 そして、垣間見える彼らの過去。
 少女は、彼らの過去を知ることとなる。

 ――――――――ahead on the road to their intersect……

2以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします@2周年:2015/05/10(日) 18:26:17.54 ID:PSLxgAk/

Chapter1 ( 仕舞いたい記憶 )

 目を瞑って思い出すのは、
 驚愕に見開かれた大きな瞳。

 耳を澄まして聞こえてくるのは、
 悲痛な声で自分を呼ぶ声。


 どんなに忘れたくても忘れられないあの記憶。

3以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします@2周年:2015/05/10(日) 18:26:41.84 ID:J0M9Ixws

4以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします@2周年:2015/05/10(日) 18:27:06.97 ID:PSLxgAk/

001

 スゥーっと軌跡を描きながら流れ星が消えた。
 それを廃墟の屋上で壊れかけたフェンスに背を預け、煙草を吸いながら夜空を仰いでいた一人の青年が偶然、見た。

「そういや……あいつが言ってたな。流れ星が消えるまでに三つお願いを祈ると、叶うって」

 それからしばらくの沈黙の後、彼は搾り出すように呟いた。

「何度祈ったって、お前が戻ってくることなんてねぇのにな――――」

 自嘲気味に歪められた青年の表情は、即座に変わった。

 まるで、猛禽類が獲物を獲るかのような、切れ長の鋭い紅の瞳を細くして微かに足音が聞こえたドアを睨み付けた。
 彼が見ている中、ドアが、ぎぃーと音を立てて開き――――。

「ん? 燈浬(トウリ)、何、睨み付けてるんや?」

 ドアから姿を現したのは、黒に近い茶髪にアーモンド形の琥珀の瞳が猫を連想させる青年。
 燈浬、と呼ばれた青年は嘆息して言った。

「……なんだ、侑稀(ユウキ)かよ。何でもない」
「なんやそれ。と言うか、ここには俺かお前、絢(ジュン)しかこないやろ」
「絢は、あまりこねぇだろ?」
「あーそうやね。あの人、自分の事、か弱い女の子やと思ってるし? だから、夜は出歩きたくないんやって」

 侑稀、と呼ばれた青年は無邪気に笑って言う。
 そんな侑稀の言葉を聴いて燈浬は、呆れたように溜息をついて呟く。

「……あの人、薬でもやって鏡の中の自分に幻覚、見てるんじゃねぇよな」

 と。
 しかし、燈浬はすぐに話を変えて侑稀に訊ねた。

「で、今日は誰、殺んの?」
「ん? あー、今日は燈浬はやりたくない仕事だと思うで?」
「なんで?」

 燈浬が、即座に問い返すと、侑稀は溜息をついて言う。

「ええ加減、すぐに聞きなおす癖、直しぃ? ……自分でも分かっとるやろうが。女だからや」

 侑稀がそう言うと、燈浬は目を伏せ舌打ちをした。
 そんな燈浬に侑稀はお構いなしに言う。

「だから、今日は俺の番な?」
「勝手に行けよ」
「あー駄目駄目。絢が言ってたんよ? 今日から、二人で行動しろって」
「なんで?」

 彼女が言いそうにない事を言われ、怪訝な表情をする燈浬。侑稀はニヤッと笑う。

「誰かさんが暴れまくって警察沙汰になりそうになったからやないのー?」
「う……」

 燈浬が、煙の吸いすぎで咽た。

「誰かさんのせいやね」
「……いけばいいんだろ、行けば」
「よし、行こっ」

 侑稀が、悪戯っ子のように笑った。

5以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします@2周年:2015/05/10(日) 18:28:00.54 ID:J0M9Ixws

名前かっけえ

6以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします@2周年:2015/05/10(日) 18:28:03.66 ID:PSLxgAk/

002

 数え切れないほどの星が煌く夜空の下を二人の青年は、歩いていた。
 目的地は、次のターゲットの家。

 燈浬は溜息をつきながら呟く。

「はー……。何で、結局俺はついていってるんだろう」
「それは、燈浬が行くゆうたからやろ?」

 ありもない事を言った侑稀を燈浬は、睨み付けてから言った。

「ぶっ殺していい?」
「嫌って言ったらどうするんや?」
「殺すかな」

 即答だった。
 侑稀は苦笑いを浮かべて言う。

「どっちみち殺るんなら、聞く意味あるん?」
「遺言が聞けるかな、と」

 燈浬は、冗談なのか本気なのか分からない言葉を発しながら、煙草をくわえ火をつけた。
 細く、紫煙が昇っていく。

 それをジッと見つめる侑稀。

「……侑稀?」
「ん? あ、なんもない。にしても、燈浬はいつも仏頂面やね」
「急になんだよ。つーか、お前みたいにいつも能天気面なんかできるかよ……」
「能天気面とは酷い。笑顔って言ってくれへん?」
「お前の笑みに騙される奴、何人いるんだろうな……」

 ぽつり、と寂しげに紡がれた意味深な言葉。

「ちょ、燈浬、それってどういう……」
「絢にでも聞いてみろ。ほら、お前、自分のターゲットの家位、覚えてろよ」

 立ち止まった燈浬の視線の先には、かなり大きな家。
 絢が手に入れた情報によれば、ターゲット一人だけが住んでいる。
 にしては、大きすぎないか? と言う問いは燈浬の胸中にしまっておく。

「ほー、大きい家やね。つか、燈浬よぉ分かったな」

 燈浬は殴りたくなる衝動を抑えて、その怒りを溜息と共に吐き出した。

「溜息ついとったら、幸せ逃げるでー。……んじゃ、俺は行ってくるんで見張りよろしゅーなー」

 侑稀は笑みを浮かべてそう言うと、忍び込むために姿を消した。

 一人残された燈浬は、煙草の灰を落として、ドアの隣にしゃがみこむ。
 そして、煙草をふかしながら、廃墟の屋上で見ていたように空を仰ぐ。

「あー……流れ星、みえねーか……」

 やはり、先ほどの流れ星は本当に偶然……いや。

 偶然なんかない。すべては、必然だ。

 ――――なんて言っていたのは誰だったっけ。


 突如響いた、女の悲鳴に燈浬の体が強張った。
 しかし、それはほんの一瞬の事で、煙草の火を踏み消して手で顔を覆って呟く。

「俺は……何してるんだろうな? ――――珠祈(タマキ)」
「燈浬っ!!」

 急に耳に届いた侑稀の怒鳴り声に近い声。
 何事かと、燈浬は立ち上がって返事をする。

「何だよっ!!」

 すると、燈浬の心配もよそに侑稀の笑みが含まれた声。

「ガキが逃げた。そっちで捕まえてくれや」
「――――は?」

 燈浬が、間抜けな声を発した後、燈浬の隣にあるドアがバンッと音をたてて開き、十六歳くらいの少女が現れた。

7以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします@2周年:2015/05/10(日) 18:28:55.62 ID:PSLxgAk/

003

 少女は何も持たず逃げてきたのか、初夏とはいえ肌寒い深夜に寝間着姿で裸足だった。
 ドアの脇にいる燈浬を見て、固まる。

「……」
「……」

 燈浬も少女を見下ろす。
 お互いの視線が交わり、気まずい空気が流れる。

「……」
「めんどくせぇことになったな」

 燈浬は呆れたように呟くと、少女の細い腕を掴んだ。燈浬が腕を掴んだ瞬間、少女は暴れだす。

「いやっ!! やめてよっ!! この馬鹿!! あんた達なんか最悪!!」

 暴れたが、大人の力にかなう筈が無い。燈浬は難なく少女を押さえつけることができた。
 そして、少女の耳元で囁く。

「うるせぇよ。今の自分の状況考えろ。騒いでどうにかなんのか?」

 少女は口を噤む。
 腕から伝わる体の震え。寒さからではないだろう。

 さて、どうしようかと燈浬が考えるとふと視線を感じた。燈浬が下を向くと、少女の怯えた視線と合った。

「……なんだよ」
「私を……どうするつもり?」
「さぁ」

 それは、絢にでも聞いて見なきゃ分からない。

「覚えておきなさい! 私は絶対にあんた達を許さないんだからッ! お母さんを殺した――……」

 燈浬は咄嗟に少女の細い首を掴んでいた。

「んぐ……ッ」
「うるせぇっつったろ。そんなにキャンキャン騒ぎたいならあの世でするか?」
「ひっ」

 少女が悲鳴を飲み込んだと同時に、ドアが先ほどと変わらない乱暴さで開けられた。
 燈浬が視線だけ向けると、侑稀。燈浬と彼に首を押さえ込まれている少女を見て、慌てて言った。

「あ……。燈浬!! その子、殺しちゃ駄目やで?」
「分かっている。いちいち言うな、侑稀」

 燈浬はそう言うと少女の首元から手を離した。

「ごほっ、ごほっ……」

 少女は壁際にしゃがみこみ咳き込んでいる。

 燈浬はそんな少女を冷たく見下ろした。
 侑稀はと言うと少女の近くに行き、優しく話しかけている。少女は何も話そうとはしないが。

「侑稀、そのガキどうすんの?」
「さぁ? 俺は、このガキを殺れとは言われてへんからなぁ。絢に聞くっきゃないやろ」

 ふーん、と返事を返して、燈浬は空を見上げた。

 先程の無数にあった星たちは何処に行ったのか。
 空はどんよりと曇っていた。

8以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします@2周年:2015/05/10(日) 18:30:04.65 ID:PSLxgAk/

004

 先程から侑稀が優しく話しかけているが目立った進展はない。
 燈浬は彼らから少し離れたところで家の塀に寄りかかり、煙草を吸っている。

「ねぇ、名前は?」
「……」
「んー。いつまでも君やと不便やろ? それに俺じゃあかんのならあの怖いお兄さんにたのもうか?」

 びくり、と少女の体が震える。
 先ほど、燈浬が少女に対して行った行為は彼女に恐怖を植え付けたようだった。

「それが嫌なら教えてくれてもええやん? ね、燈浬」

 くるっ、と振り返った侑稀の満面の笑み。
 その笑みを見て、燈浬は呆れたように溜息をついて、呟くように言った。

「俺を条件に出すな。はなっから、そいつとしゃべる気なんてねぇよ。つか、怖いお兄さんってなんだよ?」
「だって、そうやろ?」
「絢が、俺たちが怒った時はどっちもどっちって言ってたぞ?」

 燈浬がそう言うと侑稀は目をパチクリさせた。
 そして、独り言のように言う。

「帰ったら絢、しばこぉか」
「無理だろ」

 燈浬がボソッと呟いたが侑稀は聞かないフリをした。

「で、君名前は? そろそろ教えてくれてもええと思うで?」

 急に話の方向が自分に向いたからか少女は肩を強張らした。
 そんな時に、二人に掛けられた声。

「燈浬に侑稀? ……何、こんな夜中に二人で少女いじめてんの?」
「「――――は?」」

 二人同時に間抜けな声を発し、振り向くと一人の女性が不思議そうな表情を浮かべたまま近寄ってきていた。

「……絢(ジュン)。侑稀は分かるけどさ、なんで俺まで入っているんだよ?」

 燈浬はそう呟くように言った。
 絢と呼ばれた、黒い髪を首元で切りそろえたを女性は、にこりと赤い紅の引いた唇を妖艶に歪ませて笑った。

「近くにいれば共犯。連帯責任。いつも言ってるじゃない。で、侑稀は何してるの?」
「……ターゲットの家におった子の名前聞いとるんやけど……なかなか教えてくれへん」

 侑稀は残念そうな笑みを浮かべた。
 言いながら少女に向けていた視線を、絢に向ける。

 それを聞いた絢は表情を曇らせた。

 絢は侑稀の隣へ行くとしゃがみこみ、目線を少女と合わせると言った。

「そっか。……お母さん、殺しちゃって……ごめんね。私が謝っても意味が無いかもしれない。でもね? 言い訳かもしれないけど、貴方のお母さん、たくさんの人に恨まれて殺しを依頼されるようなことをしてたの。それは分かって頂戴ね。私達も仕事で貴方のお母さんを殺した。無意味に殺したわけじゃないことを理解して欲しい」

 絢はそう言って少女の反応を待った。
 しかし、先程と変わらず彼女は口を硬く閉ざしたまま。
 絢は苦笑いすると燈浬と侑稀に背を向けたまま言った。

「少し時間、頂戴。あんた達は先に帰っていて」
「ん、分かった。じゃ、そのガキは任せた」

 燈浬はそう言って踵を返した。
 そして、何かを思い出したかのように振り向くと笑って言った。

「絢。お前ー……か弱い女の子だから、夜、出歩かないんじゃなかった?」
「君ぃー、その人怖いから早く名前言ったほうが身のためやで? 怒らせたらどうなるか分からへん」

 侑稀も笑って言うと燈浬と一緒に歩き出した。

 そんな二人の後姿を見ながら絢は呟いた。

「……後で覚えておきなさいよ……」

9以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします@2周年:2015/05/10(日) 18:30:48.41 ID:PSLxgAk/

006

「絢に任せて平気なんか?」

 侑稀が誰に問うわけでもなく呟く。

「大人相手じゃ分からねぇけど、ガキじゃ平気だろ」

 燈浬が煙草を吸いながらポツリと呟く。
 吐いた煙が細く空へ上がっていく。

「はぁー……。あのガキ、どうするんやろうな。絢」
「施設入れんじゃねぇの?」
「まぁ、それが妥当やろうなぁ」
「面倒ごと持ち込まれても困るしな」

 燈浬はシケモクとなった吸殻を側溝に捨てた。

「でも、あの子名前言うかなぁ?」
「知るかよ、んなこと。どうしても分からなかったら調べるだろ」
「何事もなければそれが一番ええんやけどな」

 そう言った侑稀の顔はどこか楽しそう。
 そんな彼を怪訝そうに眉を潜めて見て、燈浬は言った。

「いや、お前今にもこれからなにか起きたらいいなって顔してるし、俺からしたらそれは確実に面倒ごとだから勘弁して欲しいんだけど」
「んな顔しとらんって。何も起きなきゃいいと思ってるで?」

 そう言いながらも、侑稀はにやりと笑った。
 はぁ、と溜息をついて燈浬は煙草をもう一本取り出した。

10以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします@2周年:2015/05/10(日) 18:31:45.26 ID:PSLxgAk/

つづきはここで
http://mb2.jp/_shousetu/31398_1.html#S55

11以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします@2周年:2015/05/10(日) 18:33:20.85 ID:J0M9Ixws

12以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします@2周年:2015/05/10(日) 18:37:32.28 ID:x+S9TTTu

ww

13以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします@2周年:2015/05/10(日) 18:37:53.37 ID:Uz/Bba7g

を"い"

14以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします@2周年:2015/05/10(日) 18:45:07.63 ID:vRwrtcN9

は?
          ∧_∧
    ∧_∧  (´<_`  ) 
   ( ´_ゝ`) /   ⌒i
   /   \     | |
  /    / ̄ ̄ ̄ ̄/ |
__(__ニつ/  MAC  / .| .|____
    \/____/ (u ⊃

15以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします@2周年:2015/05/10(日) 18:55:56.84 ID:PSLxgAk/

【ジュン】

16以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします@2周年:2015/05/10(日) 19:29:48.60 ID:J0M9Ixws

>>14
りんご は?

17以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします@2周年:2015/05/10(日) 19:37:55.16 ID:qvTlcTvs

は?キルミーベイベースレじゃないのかよ

18以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします@2周年:2015/05/10(日) 19:50:13.43 ID:mVIMhGDr

体験版なら体験版ってことわっとけよう!!

19以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします@2周年:2015/05/10(日) 19:58:38.95 ID:5EU5TPdF

あぎりさんとソーニャちゃんとやすなの物語かと思ったら違うのかよ死ね

20以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします@2周年:2015/05/10(日) 20:03:39.55 ID:g9gimg3W

怖い

21以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします@2周年:2015/05/10(日) 20:05:14.41 ID:xHY5dwVF

一行も読んでないけど死ね


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