006
「絢に任せて平気なんか?」
侑稀が誰に問うわけでもなく呟く。
「大人相手じゃ分からねぇけど、ガキじゃ平気だろ」
燈浬が煙草を吸いながらポツリと呟く。
吐いた煙が細く空へ上がっていく。
「はぁー……。あのガキ、どうするんやろうな。絢」
「施設入れんじゃねぇの?」
「まぁ、それが妥当やろうなぁ」
「面倒ごと持ち込まれても困るしな」
燈浬はシケモクとなった吸殻を側溝に捨てた。
「でも、あの子名前言うかなぁ?」
「知るかよ、んなこと。どうしても分からなかったら調べるだろ」
「何事もなければそれが一番ええんやけどな」
そう言った侑稀の顔はどこか楽しそう。
そんな彼を怪訝そうに眉を潜めて見て、燈浬は言った。
「いや、お前今にもこれからなにか起きたらいいなって顔してるし、俺からしたらそれは確実に面倒ごとだから勘弁して欲しいんだけど」
「んな顔しとらんって。何も起きなきゃいいと思ってるで?」
そう言いながらも、侑稀はにやりと笑った。
はぁ、と溜息をついて燈浬は煙草をもう一本取り出した。