1 :番組の途中ですがアフィサイトへの転載は禁止です:2016/03/22(火) 01:05:43.38 ID:MQp1KK0P2016.3.22(火)
(英フィナンシャル・タイムズ紙 2016年3月16日)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46396
日本の通商産業省は権勢の絶頂期にあった1970年代、スプーンをゴルフクラブに変えることができた。
通産省は新潟県燕市の洋食器メーカーを説得して、スポーツ用品の製造に商売替えさせたのだ。それだけではない。同省の職員たちは同じ魔法をほかの業界に対しても使っていた。業界地図を描き変えたり、経済の一部門を屈服させて自分たちの思うままに動かしたりしていた。
国内外の人にとって、これは世界一の高成長国で権力がどのように働いているかを示す例証であると同時に、不安な気持ちになる国家介入の表れでもあった。
今、その通産省が、安倍晋三首相の庇護を得て帰ってきた。首相の景気刺激策「アベノミクス」の設計者たちが同省の復活を後押ししている。彼らによれば、同省のかつての魔法があちこちでもっと使われれば日本はもっと豊かになり、中国ともっと競えるようになるという。同省が権力を欲していることは間違いない。
問題は、彼らが40年前のモデルをどこまで忠実に再現できるかだ。
「官僚機構の中で、今日、権力を手にして行使することにあれほど飢えている組織はほかにない」。与党・自民党に所属し、同省と強いつながりを持つある政治家はこう語る。「この国では1980年代以降見られなくなっていた自信と使命感を持って(あの省は)行動している。もちろん、それは真の権力と同じではない」
国内企業同士の合併が最近急増し、日本企業による外国企業の買収が2015年に10兆円の大台に乗った様子を見て、今日の経済産業省は旧通産省時代の魔法をいくつか取り戻したと確信している人もいる。
彼らの目には、富士通と東芝がパソコン事業を統合する話や、ライバルである東京鋼鉄の株式を大阪製鉄が公開買い付けすることなどが、経産省が「日本株式会社」を再び牛耳っている証拠に見えるのだ。
これには外部の力が作用している。2011年の東日本大震災とその後の福島第一原子力発電所における原子炉のメルトダウン(炉心溶融)により、経産省が実行したがっていた類いの干渉が必要になったからだ。
上記以外の合併案件はエネルギーや自動車部品、素材などの業界合理化を目指したもので、中には経産省介入の痕跡がしっかり残っているものもある。当事者は否定しているが、昨年12月に同時に近いタイミングで行われた2件の経営統合の決断は、そうした介入の一例だ。
日本最大の石油精製会社JXホールディングスが東燃ゼネラル石油との経営統合計画を発表したのは、第2位の精製会社である出光興産と昭和シェル石油が同様な経営統合を決めた直後だった。
経産省の内部では、次の企業優生学プログラムの対象候補としてガラス、原子力発電、化学業界の名前が挙がっている。また自動車業界アナリストたちの間には、経産省は最終的に、独フォルクスワーゲン(VW)が昨年手放したスズキの株式を購入するようトヨタ自動車を説得するのではないかとの見方がある。
2 :番組の途中ですがアフィサイトへの転載は禁止です:2016/03/22(火) 01:10:38.30 ID:???http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46396?page=2
?経産省の野心がうかがえるのはM&A(合併・買収)の分野だけではない。アベノミクス・プロジェクトの主任執行者であるかのように振る舞う同省は、日本の武器輸出計画の中心に陣取り、新エネルギー、人工知能(AI)、ロボット工学などのプロジェクトも主導している。
そのためアナリストからは、国家主義的な解決策よりも本当に最善の解決策を優先させることについて経産省はどの程度熱心なのか、という問いが発せられている。
「ある企業が投資を模索していて、日本と外国の両方の選択肢があった場合に、我々としてはどちらを選んでくれても構わないと言ったら、それは不正直だろう」。同省のある職員はこう語る。「事業のシナジー(相乗効果)があって、オールジャパン・チームを作れるのであれば、我々はとしてはそちらの方を好む」
司令塔の老い
真の権力を握るとは、そしてそれを手放すとはどういうことなのか。経産省はそれを知っているがゆえに苦しい思いをしている。
第2次世界大戦後の復興期に、同省は大変な影響力を誇っていた。奇跡的な高成長を遂げた1970年代は特にそうだった。『The Enigma of Japanese Power(邦訳:日本/権力構造の謎)』や『Japan: Who Governs?(日本:統治者は誰なのか)』といった国際的なベストセラーは同省の活動に着眼した作品だった。
同省は計画経済の主要な操縦者の役目を担い、世界と対決する使命を与えられていた。現職の首相に話を聞いてもらえるだけでなく、首相の座に登りつめる政治指導者は必ず通るとされた関門でもあった。
2016年の今、経産省の影響力はどれほどのものなのか。これを推し量ろうとすると、アベノミクスにはまだ何を達成できる望みがあるのか、安倍政権では政治力はどのように利用されているのか、そして経産省の活動は本当に日本のためになるのかといったもっと深い問題に突き当たる。
東京証券取引所のトップを務め、現在はコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)の日本法人会長である斉藤惇氏によれば、経産省がアベノミクスの機会をとらえることになぜあれほど積極的だったかは簡単に理解できるという。
「中国の台頭について重要なのは、真の市場ベースの資本主義が中国という国家に太刀打ちできないときもあるのだと、ほとんどの先進国が理解したことだ。ほとんどの先進国の政府高官は、自分たちの決断で自国の企業を支援すれば、企業がもっと効果的に中国と競う助けになり得ると考えている」と斉藤氏は述べている。
全盛期を過ぎた後の経産省は面白くない日々を送った。2014年から2015年にかけては、スキャンダルのために大臣が2度も交代した。デフレの進行と企業の節約のせいで同省の威信も低下した。
?首相になるなら経産相を一度経験しなければならないということもなくなった。重要な統制手段――とりわけ重要なのは、企業への外貨の割り当てだった――は、ほかの省に譲ったりそっくり消えてなくなったりした。
経産省が支配した経済は、それを営む国民とともに、老いが出始めた。影響力を最も強く行使できた重工業も、経済のサービス化に伴って重要性が低下した。経産省は力を失い、自信を失った。2001年に同省の英語名から「international」という単語が外されたことは、日本が内向きになったことを図らずも物語っていた。
指導者の影響力
2012年に政権を握った安倍晋三氏は、自分の経済再生プログラムの柱に経産省を据えた。政治の専門家やエコノミストたちの話によれば、同省が舞台の中央に戻ってきた要因はいくつかあるとい
3 :番組の途中ですがアフィサイトへの転載は禁止です:2016/03/22(火) 01:17:11.30 ID:???http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46396?page=3
第1の要因は、投資家がアベノミクスを強く信頼している理由と同じだ。つまり、安倍氏は本当の政治力を持っている指導者だ、というものだ。確かに同氏は、2006年から2012年にかけて首相が6人もいた国で持久力を発揮している。おかげで経産省の威光も増した、と企業経営者らは述べている。
「経産省は常に、提案されたM&Aは首相官邸が望んでいることだとほのめかそうとするが、今から1年後に同じ人が首相を務めていると考えたら、その言葉の重みが増す」。昨年、ある合併にかかわった会社の上級幹部はこう言う。
安倍氏はまた、アベノミクスの物語のブレーン――最も顕著なのが、安倍氏の経済顧問を務める今井尚哉氏――が元経産官僚だという事実を隠しもしない。
安倍氏の指揮下で、経産省は新たな法律に恵まれた。「産業の刷新」における政府の役割を正式なものにし、経産省に長年なかった類いのインセンティブを与える2013年産業競争力強化法がそれだ。
しかし、これがいかに展開しているかを示す証拠は、矛盾している。家電分野における日本の有名ブランド、シャープをフォックスコン(富士康科技集団)の親会社である台湾の鴻海精密工業に60億ドルで売却する計画は、企業再編に対する経産省の新たな情熱の度合いと、それを実行する能力の限界の試金石となっている。調印は1度延期されたが、鴻海はまだシャープと協議を続け、条件を交渉している。
そして、日本の競争力が薄れ、アベノミクスのパラドックスがもっと際立つようになるにつれ、さらに試練が訪れると経産省関係者らは言う。経産省は当初、シャープの経営危機に対してオールジャパンの解決策を推し進めた。政府の支援を受けた産業革新機構による買収が絡む策だ。
鴻海がもっと高い買収提案を行い、シャープの取引先銀行がオールジャパンのゲームをするのを拒んだことは、経産省としては、鴻海への売却を甘受できる程度にはグローバル志向であるふりをしなければならないことを意味する。
「経産省内には、完全に相矛盾する2つの組織が存在し、双方は完全に異なる2つの方向性を持っている」。日本の有力ディールメーカーの元官僚はこう打ち明ける。
「一方は欧米の経済学、市場論理に傾倒しており、コーポレートガバナンス(企業統治)やさらなるM&A、国際投資、より開かれた貿易の推進を望んでいる。だが、もっと古く、より保守的な部分も存在する。どちらが強いかという問題は、完全にタイミング次第だ。そして、この問題には一貫性がない」
構造的な制約
市場志向の強い側が力を誇示すればするほど、アベノミクスの支持者たちからは気に入られるが、影響力を失う。この問題は、原子力産業に対する支配を維持しようとした経産省の試みによって浮き彫りになった。経産省は不可欠な技術を保護したいと思っているが、日本の原子力企業がすべて欧米企業と合弁事業を手掛けていることから、同省の支配力は制限されている。
「方向性を定めるのは経産省の責任であり、積極的にそうするべきだ。だが、我々は顧客や株主、従業員に対する責任があり、会社としては、政府に指示されたことをやることで責任を果たすことはできない」。三菱重工業の執行役員、名山理介氏はこう語る。
そして、経産省の動きに議論がないわけではない。安倍氏が政権を握ってから、経産省は定期的な産業「サーベイ(基礎調査)」を強化した。こうした調査は、金属やガラスといった産業を当該企業が必ずしも望んでいない経営統合に追い込む。
4 :番組の途中ですがアフィサイトへの転載は禁止です:2016/03/22(火) 01:19:20.02 ID:???2015年の金属業界サーベイの後、新日鉄住金は先月、規模の小さいライバル企業、日新製鋼を買収すると発表した。両社は、健全な商業的理由から買収の結論に達したと主張している。
日本第2位の大手鉄鋼メーカー、JFEホールディングスの林田英治社長は、さらなるプレーヤーの統合を見込んでいるが、自分の会社が何をやろうと、それが政府によって操作されているとの非難に先手を打ちたいと思っている。「究極的に、再編の決断は会社の経営トップと株主によって下される。政府の関与はない」と林田氏は言う。
究極的には、政策に対する経産省の支配力は、現在、林幹雄氏が率いる同省が示唆したがっているほど強固ではないのかもしれない。
プライベートエクイティファンド、ペルミラの日本代表を務める藤井良太郎氏は、経産省はもはや、スプーンをゴルフクラブに変えるマジシャンではないと言う。
「政府と戦うことは不可能だ」と藤井氏。「だが、経産省の限界も明白だ。経産省は重工業に集中する部門をたくさん抱えているが、ソフトウエアを見ている部門は1つしかない。そして、ソフトウエアはハードウエア業界と同じくらい大きい。違うのは、同省はソフトウエア業界と戦う武器を一切持っておらず、そのため業界がやることを統制するうえで同じ手段を持っていないことだ」
(了)
5 :番組の途中ですがアフィサイトへの転載は禁止です:2016/03/22(火) 01:55:55.72 ID:???長い
6 :番組の途中ですがアフィサイトへの転載は禁止です:2016/03/23(水) 03:34:12.35 ID:???国という枠組が現代においてどれだけの価値があるのかねー
まぁ一般国民には縁のない話だ
このスレッドは過去ログです。