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2020年日本オリンピック
開催前からさまざまな不祥事や経済的問題が露呈し世界から揶揄されたが
無事今日という日を迎えられた
世界から集まるトップアスリートの中に1人ちんまりと俺はそこにいた
短距離走日本代表として…
男「ここが日本だとは思えないな…応援席にもいろいろな国籍の人がいるみたいだ」
先輩「当たり前だろう4年に1度の大きなイベントだ…お前緊張してないのか?」
この人の名前は先輩、俺と同じ短距離走日本代表でオリンピックに3回も出場している大ベテランだ
世間からは鉄人なんて言われているけど話してみると案外気さくな人だ
男「してますよしてます!ただ…まだ実感が湧かないんですよね…俺が日本代表だなんて」
先輩「いい加減その自分を卑下する性格はどうにかならないのか…お前は勝ち取ったんだ」
先輩「出場したくても出れない奴だっているんだ…そいつらは今のお前の発言を聞いたらどう思うだろうな」
男「…す、すみませんでした」
先輩「まぁその性格は無理に治せとは言わないさ…自分を下に見ることによって能力を正確に把握し」
先輩「練習を重ねてここまで来たのだからお前の長所とも言えるからな」
男「……」
先輩「おっと時間みたいだ…行こうぜ…開会式にさ」
男「はい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
~~~~
~宿舎~
男「いや凄かったな開会式…著名人やアーティスト…生で見たの初めてだ」
友人「遅れてるなお前…俺はライブに足運んでるから見慣れてるぜ…見ろよこのサイン付プロマイド」
こいつは友人
飄々としていて見るからに節操のないうんこ野郎だが日本人離れした恵まれた体格で
誰もがこいつを見たら振り向き変える
男「悪いな俺ガールズバントよく知らないんだわ…そのプロマイドだって誰だがわからないぜ」
友人「嘘だろ…?この子国民的アイドルだぜ!?えーと名前は…たえ…」
友人「う~ん…!!?そうだよし子だ!思い出したぜ!」
男(なんでうろ覚えなんだよ…)
男「俺にはその国民的アイドルより可愛い子を知っているけどな」
友人「えっ…誰よ」
オニイチャーンメールダヨ
男「悪い俺のアイドルが呼んでいるみたいだ電話するから席外すわ」
友人「今お兄ちゃんメールだって聞こえたんだが」
男「気のせいだろ…じゃあまた後でな」
友人「ちょ、ちょ待てよ」
~~~~男の部屋
男「妹からメールが着てるが…2人の顔が見たいな…テレビ電話使ってみるか」
プルルルルルル
妹1「あっお兄ちゃんどうしたの…テレビ電話なんかで…それよりメール見たメール」
男「いや見てないけど2人の顔を見たくなってさ…妹2は?」
妹1「ぐっすり寝てるよ…一緒にテレビでお兄ちゃん探してたんだけど開会式終わったらすぐ寝ちゃった」
妹1「起こしたほうがいいかな?きっと飛び起きるよ」
男「いや寝かせてあげてくれ…顔見たかったらだけだから寝顔見れて充分だ」
妹1「このシスコンめっ!」
男「ところでメールの内容は?」
妹1「あぁ実はお兄ちゃんにお願いがあるの」
男「なんだ?なんでも言ってくれ」
妹1「あのその……お友人さんって知ってる?その人のサインが」
男「知らないよそんなクズ…他に用はあるか?」
妹1「やっぱり迷惑だった?ごめんね…私の友達がその人のこと…」
男「そうかわかった頼み込んで10枚くらい頼んでみるよ」
男(よかった…俺はてっきり妹が…)
妹「…いいの?ありがとうお兄ちゃん!」
妹2→妹次
男「どういたしまして…可愛い妹の為だからね」
妹1「このシスコンめっ!」
男「他に用はあるか?名残惜しいがなければ切るけど」
妹「ねぇ…どうするの妹次のこと」
男「あぁ…そのことか」
妹「世間的に不味いってことはわかってるけど…あの子本気みたいだから答えてあげて」
妹「直接会って…お兄ちゃんの口で」
男「わかってる…だから無理に起こさなかったんだ」
妹「うん…私も一人の女だしわかるけどさ…好きな人に告白って難しいんだよ」
妹「でもそれと比べ物にならないくらい…」
妹「血の繋がっている人に告白するということは……筆舌で現せないくらい…難しいんだよ」
男「あぁ…わかってる…妹次の性格からしてふざけているわけではないのは充分わかっている」
妹「………このことはお母さん知らないから…私達双子とお兄ちゃんだけ」
妹「うやむやにしないで…誠実に答えてあげてね」
男「……お前のことだから断れと言うと思ったが」
妹「だってそれじゃ私を否定す…うんん、なんにもない…急に取り乱してごめん」
妹「なんか辛気くさくなっちゃったねごめん」
男「気にするな今は目の前のことで頭が一杯なんだ…じゃあ切るよ」
妹「うん…頑張れお兄ちゃん…頑張れ」
男「おうじゃあな…」ピッ!!!!
今のは双子の長女の妹
その可愛い顔は瓜二つだが
天真爛漫で笑顔が可愛い真面目な長女と
表情をあまり顔に出さないが先程のように寝ていたり天然の次女
世間では反抗期を起こす時期であるらしいがそのような兆しはまったくない
俺の家は親父が死んで母子家庭なのでもしかしたら二人はどこかで無理をしているのかもしれない
もしかしたら…
~~~~~~
俺の親父は病弱で体力には自信がなかったみたいだ
医者「今の体調で産むと…」
母「それってつまり死の危険が…」
医者「はい…お父さんのお腹の中には双子の赤ちゃんがいます…今のお父さんの健康状態で産んだら…」
母「……!?そんな……」
父「……産ませてください」
母「なに言ってるのあなた!!男だってまだ幼いのよ!?」
母「今のお者さんの話を聞いたでしょ!?今回は諦めましょう!?次があるわよ!」
父「母さん…俺は死なないよ…これから体力をつければ出産には間に合うさ」
母「……で…でも…」
父「産ませてくれ……俺はこの双子をどうしても産みたいんだ…」
母「……」
こうして月日がたち
父「ふんんんん゛ん゛んんんんあああああ!!!!!!」ブッブッブー
母「あなた……!!」ギュ
俺「…お父さん頑張れ!」
運命の日を迎えた親父は2つの生命の産声を上げさせることに成功した
自分の命を犠牲に…