【市場の目】フランスの政権発足はパリ五輪後に持ち越し
第一生命経済研究所経済調査部主席エコノミスト・田中理氏
フランスの政権発足はパリ五輪後に持ち越し
マクロン大統領は最大勢力の左派首相を任命せず
フランスでは議会の最大勢力となった左派連合が首相候補を一本化したが、マクロン大統領は左派連合、与党連合、極右勢力の三勢力ともに勝者ではないと主張。26日に開幕するパリ五輪中の政権発足協議を休戦し、少なくとも8月中旬までは新政権を指名しない方針を明らかにした。パリ五輪後に本格化する政権発足協議では、与党連合が穏健右派や穏健左派を取り込み、政権を続ける可能性が高まっている。極右や極左が主導する政権が誕生する場合と比べて、大幅な財政拡張につながるリスクは後退するが、次期政権下でも国民の反発が強い財政再建は先送りされる公算が大きい。
米7年債入札、最高落札利回り4.162% 米財務省
米財務省によると、7年債入札(ダッチ方式)の落札結果は最高落札利回りが4.162%、応札倍率(カバー)が2.64倍となった。
欧州マーケットダイジェスト・25日 株安・金利低下・円高一服
(25日終値:26日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=154.03円(25日15時時点比△1.30円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=167.18円(△1.55円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0854ドル(△0.0010ドル)
FTSE100種総合株価指数:8186.35(前営業日比△32.66)
ドイツ株式指数(DAX):18298.72(▲88.74)
10年物英国債利回り:4.130%(▲0.026%)
10年物独国債利回り:2.417%(▲0.027%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
7月仏企業景況感指数
94 99
7月独Ifo企業景況感指数
87.0 88.6
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は底堅い動き。日銀による追加利上げ観測を背景に円買い・ドル売りが先行。日本株相場の急落や欧州株相場の下落に伴うリスク・オフの円買いも優勢になると、17時30分前に一時151.94円と5月3日以来の安値を更新した。
ただ、同日の安値151.86円がサポートとして働くと買い戻しが優勢に。NY時間発表の4-6月期米国内総生産(GDP)速報値が予想を上回ったこともドル買い戻しを促した。
そのあとはダウ平均が580ドル超上昇したほか、一時は1.7%超下落したナスダック総合が上昇に転じたため、投資家のリスク回避姿勢が後退。円売り・ドル買いが活発化し、1時30分過ぎに一時154.32円と日通し高値を付けた。
・ユーロドルは持ち直した。日本時間夕刻に一時1.0828ドルと日通し安値を付けたものの、前日の安値1.0826ドルが目先サポートとして働くと買い戻しが優勢となった。NY市場に入り、4-6月期米GDP速報値などが予想を上回ったことが分かると1.0830ドル付近まで下押ししたものの、売りが一巡すると再び強含んだ。ユーロ円の上昇につれたユーロ買い・ドル売りも入り、2時過ぎには1.0870ドルと日通し高値を更新した。
・ユーロ円はドル円と似た動き。日本時間夕刻に一時164.83円と5月6日以来の安値を付けたものの、売り一巡後は買い戻しが優勢に。米国株相場や日経平均先物の上昇を背景に投資家のリスク志向が改善すると円売り・ユーロ買いが加速し、1時30分過ぎに167.59円と日通し高値を付けた。
・ロンドン株式相場は3日ぶりに反発。前日の米株安や25日のアジア株相場の下落を受けて投資家心理が冷え込むと売りが先行した。ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢となり終盤持ち直した。ユニリーバやブリティッシュ・アメリカン・タバコなど生活必需品株が買われたほか、セグロやランド・セキュリティーズ・グループなど不動産株が値上がりした。
・フランクフルト株式相場は続落。前日の米株安を受けて本日のアジア株相場がほぼ全面安になると、欧州株全般に売りが波及した。ただ、引けにかけては買い戻しが入ると下げ渋った。個別ではインフィニオン・テクノロジーズ(6.47%安)やラインメタル(4.96%安)、シーメンス・エナジー(3.30%安)などの下げが目立った。
・欧州債券相場は上昇。株安を受けた。
NYマーケットダイジェスト・25日 株まちまち・金利低下・円失速
(25日終値)
ドル・円相場:1ドル=153.94円(前営業日比△0.05円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=166.95円(△0.14円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0846ドル(△0.0006ドル)
ダウ工業株30種平均:39935.07ドル(△81.20ドル)
ナスダック総合株価指数:17181.73(▲160.68)
10年物米国債利回り:4.24%(▲0.04%)
WTI原油先物9月限:1バレル=78.28ドル(△0.69ドル)
金先物8月限:1トロイオンス=2353.5ドル(▲62.2ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
4-6月期米国内総生産(GDP)速報値
(前期比年率) 2.8% 1.4%
個人消費速報値
(前期比年率) 2.3% 1.5%
コアPCE速報値
(前期比年率) 2.9% 3.7%
6月米耐久財受注額
(前月比) ▲6.6% 0.1%
輸送用機器を除く
(前月比) 0.5% ▲0.1%
前週分の米新規失業保険申請件数
23.5万件 24.5万件・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は4日ぶりに小反発。日銀による追加利上げ観測が高まる中、日本株相場の急落や欧州株相場の下落に伴うリスク・オフの円買いが優勢になると、欧州序盤に一時151.94円と5月3日以来の安値を更新した。
ただ、NY市場では買い戻しが目立った。5月3日の安値151.86円がサポートとして働いたほか、4-6月期米国内総生産(GDP)速報値が予想を上回ったことが相場の支援材料となった。ダウ平均が一時580ドル超上昇すると、投資家のリスク回避姿勢が後退し、円売り・ドル買いが加速。1時30分過ぎには154.32円と日通し高値を付けた。もっとも、ダウ平均が80ドル高程度まで急失速するとドル円の上昇も一服した。
なお、イエレン米財務長官はこの日、「我々は市場が決定する為替レートを信じる」と述べたほか、トランプ前大統領の強いドル批判についてはG7財務相・中央銀行総裁会議のコミットメントを引き合いに「為替レートは市場で決定されるべきだ」との見解を示した。
・ユーロドルは3日ぶりに小反発。4-6月期米GDP速報値などが予想を上回るとユーロ売り・ドル買いが先行。22時30分過ぎに一時1.0830ドル付近まで値を下げた。
ただ、日本時間夕刻に付けた日通し安値1.0828ドルが目先サポートとして働くと買い戻しが優勢に。ユーロ円の上昇につれたユーロ買い・ドル売りも入り、2時過ぎには1.0870ドルと日通し高値を更新した。
もっとも、米長期金利が低下幅を縮めると再び上値が重くなった。5時30分前には1.0844ドル付近まで上値を切り下げた。
・ユーロ円は5日ぶりに反発。日本時間夕刻に一時164.83円と5月6日以来の安値を付けたものの、売り一巡後は買い戻しが優勢に。ダウ平均や日経平均先物が上昇したタイミングで円売り・ユーロ買いが強まると、一時167.59円と日通し高値を付けた。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は3日ぶりに反発。4-6月期米GDP速報値が予想を上回ると、米景気減速への過度な懸念が後退し買いが優勢となった。指数は一時580ドル超上昇した。ただ、明日発表される6月米個人消費支出(PCE)デフレーターを見極めたいとして引けにかけては急速に伸び悩んだ。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は3日続落。エヌビディアやアルファベットなどが売られた。
・米国債券相場で長期ゾーンは反発。世界的な株価の下落で相対的に安全資産とされる米国債には買いが先行したものの、4-6月期米GDP速報値が予想を上回ると一転売りが優勢となり上げ幅を縮めた。
・原油先物相場は続伸。イスラエルとイスラム組織ハマス停戦の思惑もくすぶるなか時間外取引で下落が先行。しかし予想を上回る4-6月期米GDP速報値が景気持ち直しによるエネルギー需要を意識させ、前日比プラス圏へ浮上した。
・金先物相場は3日ぶりに大幅反落。4-6月期米GDP速報値や個人消費、コアPCEの速報値がいずれも市場予想を上回った。経済指標が底堅い結果を示すなか、安全資産とされる金に買いが集まりにくかった。
25日の主な要人発言(時間は日本時間)
25日07:37 鈴木財務相
「為替の水準、動きについてはコメント控える」
25日07:41 神田財務官
「(G7会合で)為替について特段の議論は行われなかった」
25日16:05 林官房長官
「為替はファンダメンタルズを反映し、安定推移が重要」
「引き続き緊張感をもって株式市場の動向を注視」
25日20:11 ナーゲル独連銀総裁
「データが今の路線通りなら利下げは可能なはず」
「9月に何が起こるかについて事前に約束できない」
「ECBは会合ごとにアプローチを取っている」
「ユーロ圏の賃金の動向はまだ非常に堅調」
「利下げに関して自動操縦モードではない」
26日00:17 イエレン米財務長官
「我々は市場が決定する為替レートを信じる」
「時間の経過とともにファンダメンタルズは為替レートに反映される」
「(金利によるドル高について)それが仕組みだ」
※時間は日本時間
26日のイベントスケジュール(時間は日本時間)
<国内>
○08:30 ◎ 7月東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く総合、予想:前年比2.2%)
○14:00 ◇ 5月景気動向指数改定値
<海外>
○15:45 ◇ 7月仏消費者信頼感指数(予想:90)
○19:30 ◎ ロシア中銀、政策金利発表(予想:18.00%に引き上げ)
○21:00 ◇ 6月メキシコ貿易収支(予想:10.00億ドルの黒字)
○21:30 ◎ 6月米個人消費支出(PCE、予想:前月比0.3%)
◎ 6月米個人所得(予想:前月比0.4%)
☆ 6月米PCEデフレーター(予想:前年比2.5%)
☆ 6月米PCEコアデフレーター(予想:前月比0.1%/前年比2.5%)
○23:00 ◎ 7月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値、予想:66.0)
○20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議(ブラジル・リオデジャネイロ、最終日)
○パリ五輪開幕(パリ、8月11日まで)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
東京為替見通し=ドル円、7月東京都CPIで日銀の追加利上げの可能性を探る展開か
25日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、予想を上回った4-6月期米国内総生産(GDP)速報値やダウ平均が一時580ドル超上昇したことで、欧州序盤の安値151.94円から154.32円まで反発した。ユーロ円は日本時間夕刻の安値164.83円から167.59円まで反発した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、7月の全国消費者物価指数(CPI)の先行指標となる7月東京都のCPIを見極めて、来週の日銀金融政策決定会合での追加利上げの可能性を探る展開となる。
ドル円は、来週の日銀金融政策決定会合での追加利上げへの警戒感から、円売り持ちポジションの手仕舞いが進んでおり、7月3日の1986年12月以来の高値161.95円から昨日は151.94円まで10.01円の下落幅を記録していた。
ドル円の151円台での注目水準は、2023年11月13日の高値151.91円、今年5月2日未明の本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の後に付けた5月3日の安値151.86円、そして200日MAが位置する151.57円付近となる。
さすがに、日銀金融政策決定会合での利上げへの警戒感だけでは、下抜けるまでには至らずに、フィボナッチ・リトレースメント23.6%戻し付近となる154.32円まで反発した。
8時30分に発表される7月東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く総合)は、前年比+2.2%と予想されており、6月+2.1%からの伸び率上昇が見込まれている。7月の全国CPIの先行指標となるため、予想通りか予想以上ならば、来週30-31日の日銀金融政策決定会合での、「相応の規模」(植田日銀総裁)の国債買い入れ(現在6兆円:6月約5.6兆円)の減額計画や追加利上げ(現在0.0-10%)観測が高まることで、円買い要因となる。
なお、昨日発表された6月企業向けサービス価格指数は前年比+3.0%となり、2015年3月以来の上昇率となっていた。
また、今夜は米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視しているPCEデフレーターの6月分が発表される。前年比+2.5%と伸び率の鈍化が予想されていることで、ドル円の戻りを限定的にしている。6月の米CPIが前月比マイナスに落ち込んでいたため、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)を待たずに来週のFOMCでの利下げ開始を見込むウォール街の一部金融機関も出てきた。
しかし、昨日発表された米国の第2・四半期の国内総生産(GDP)速報値が年率換算で前期比+2.8%となり、第1・四半期の+1.4%から加速していたため、まだ金利先物市場では来週の利下げ開始の可能性はほぼゼロになっている。
30-31日の日・米金融政策決定会合でのシナリオは以下の通りとなる。
■日銀金融政策決定会合;国債買い入れ(6兆円)&政策金利(0-0.10%)
1)国債買い入れの減額計画:3兆円
2)国債買い入れの減額計画:4~5兆円
3)追加利上げ:+0.15%
■米連邦公開市場委員会(FOMC):FF金利誘導目標5.25-50%
4)現状維持(※フェドウオッチ確率約91%)
5)声明文の文言削除:「高いインフレ(elevated inflation)」※9月利下げ示唆
6)利下げ開始:5.00-25%(※フェドウオッチ確率約9%)
現状のドル円は、1)と3)への警戒感から151円台まで下落してきているため、リスクシナリオは2)、そして4)に留まった場合となる。
株価指数先物【寄り前】 自律反発を意識するもセンチメントは悪化
大阪9月限ナイトセッション
日経225先物 37700 -30 (-0.07%)
TOPIX先物 2700.5 -2.0 (-0.07%)
シカゴ日経平均先物 37770 +40
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
25日の米国市場は、NYダウが上昇した一方で、 S&P500、ナスダックは下落。4-6月の実質国内総生産(GDP)速報値が予想以上に伸びたことから、米国の景気減速懸念が和らいだ。米経済がソフトランディングできるとの安心感につながり、景気敏感株などが買われた。ただし、ハイテク株の戻りは鈍く、エヌビディア<NVDA>やマイクロン・テクノロジー<MU>、クアルコム<QCOM>は軟調。決算発表が本格化するなか、決算とあわせて発表した見通しが予想を下回ったハネウェル・インターナショナル<HON>は、5%を超える下落となった。S&P500業種別指数はエネルギー、資本財、食品・飲料・タバコが上昇した半面、メディア、消費者サービス、半導体・同製造装置が下落。
シカゴ日経平均先物(9月限)清算値は、大阪比40円高の3万7770円だった。日経225先物(9月限)のナイトセッションは日中比50円安の3万7680円で始まり、一時3万7330円まで下落幅を広げた。売り一巡後に3万8000円を回復し、その後再び3万7340円まで下げるなど荒い値動きとなった。米国市場の取引開始後は中盤にかけてリバウンドの動きとなり、一時3万8310円まで買われる場面もみられた。ただし、終盤にかけて軟化し、3万7700円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物は前日の大幅下落に対する自律反発が意識されやすく、やや買い優勢で始まることになりそうだ。米国ではハイテク株の弱い値動きが目立つものの、4-6月GDPが予想を上回ったことから景気敏感株を中心に買われた。また、前日の大幅下落の一因となった円相場については、1ドル=153円90銭台と円高加速が一服していることもあり、日米金利差縮小に伴う持ち高調整によるインデックス売りも落ち着きそうだ。
とはいえ、前日の急落によってセンチメントは悪化している。主要企業の決算発表が本格化するなか、リバウンド狙いのロングは強まりづらい。米金融政策当局者が注視する米個人消費支出(PCE)コア価格指数の発表を控えていることも、積極的な売買を手控えさせそうである。そのため、戻りの鈍さが意識されてくるようだと、戻り待ち狙いのショートが入りやすいだろう。
日経225先物はボリンジャーバンドの-2σ(3万7680円)辺りでの推移であり、バンドが拡大傾向をみせるなか、-2σ水準での上値の重さが警戒されてくるようだと、-3σが位置する200日移動平均線水準の3万6500円辺りが射程に入ってくる。また、週足のボリンジャーバンドでは、4月の急落以降、支持線として機能していた-1σ(3万8030円)を下回ってきている。まずは、週足の-1σ水準を上回ってくるかが注目される。そのため、オプション権利行使価格の3万7500円から3万8000円でのレンジを想定する。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.96倍に低下した。指数インパクトの大きい値がさハイテク株の下落の影響から、朝方は13.91倍に低下して始まった。ただし、円高が進む状況で輸出関連株などTOPIX型に売りが広がるなか、その後は直近の保ち合いレンジ内での推移を継続している。本日もハイテク株の弱さが意識されそうだが、14.00倍を挟んだ直近のボトム水準での推移になりそうだ。
なお、25日のVIX指数は18.46(前日は18.04)に上昇した。一時19.36まで切り上げてきており、
方向性としては4月19日に付けた21.36が射程に入ってきている。20.00を超えてくると慎重姿勢が高まりやすいため、注意が必要であろう。
MAS、政策バンドの中心値を据え置き
シンガポール金融通貨庁(MAS)は26日、政策バンドの中心値を据え置いたと発表した。通貨政策バンドの傾斜と変動幅も据え置いた。
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