「脳で入力」指先に迫る速さ 念じて意思伝達、9割判別
ITと融合、医療に革新
2021年6月29日 2:00 [有料会員限定]
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO73350060Y1A620C2TEB000/?unlock=1
「念じる」だけでスマートフォンの手入力に迫る1分間に90文字の入力を達成した(スタンフォード大の実験)
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手や口を使わず「念じる」ことで意思を伝える技術が人工知能(AI)との組み合わせにより、新たな境地を開こうとしている。米国では脳の活動を読み取り、スマートフォンに手で文字を入力するのに近い速さで実行できる技術が登場した。医療分野を中心に、脳科学とIT(情報技術)を融合した「ブレインテック」が開花しつつある。
手足のまひした65歳の男性が1分間にアルファベット90文字の入力をなし遂げた――。米スタンフォード大学などの研究チームが5月、英科学誌ネイチャーにこんな成果を発表した。同年代の人がスマホで文字を打つ平均とされる1分あたり115文字に近いスピードを達成した。
男性は脊髄を損傷し、両手足にまひを抱える。2016年に脳の信号を読み取る小型のデバイスを2つ、脳の右手の動きをつかさどる場所に手術で埋め込んだ。
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研究では、男性に画面に映る文字や文章を「手で書く」ことをイメージしてもらい、それぞれの文字を書こうと想像したときの脳の電気信号のパターンをAIに学ばせた。AIは学習結果をもとに、男性が書きたい文字を9割超の精度で推定できるようになり、速い文字入力が実現した。