こうした技術は「ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)」という。脳の活動データなどで機械を操作しようと研究が進む。従来は「画面上のカーソルを動かし、キーボードを打つ」ことをイメージして文字を入力する手法を使っていた。研究チームによると1分間に39文字が最高だったという。新手法は2倍以上の大幅な高速化を実現した。
性能を実現できたのはAIの貢献が大きい。文字によって異なる脳の信号の特徴を見分けるのに強みを発揮した。研究チームのフランシス・ウィレット氏は「計算法の詳細を手作業で設計・指定せずとも、高性能を実現できた」と説明する。
新技術は体が不自由な人のコミュニケーションの助けになる。ウィレット氏は「まひを抱える人に、本当に役に立つと思われる性能を達成できたことに興奮している」と手応えを感じる。
成果は国際的に注目されている。BMIを研究する大阪大学の平田雅之特任教授は「手書きという、人間のより自然な運動を再現した点に価値がある」と評価する。
ウィレット氏は開発した手法の実用化について「数年で可能だろう」としたうえで「ワイヤレスで完全に埋め込みができる小型の電極デバイスが要る」と指摘する。
その鍵を握りそうなのが米ニューラリンクだ。米テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が16年に設立したスタートアップでBMIを手掛ける。今回の成果を挙げた研究チームには同社関係者も名を連ねる。
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