マスク氏は4月上旬、ツイッターに「ニューラリンクの最初の製品では、まひを持つ人も自らの意思だけで健常な人の親指よりもスマホを速く使えるようにする」と投稿した。同社は多数の電極を直径2センチメートルあまりの小さな円形デバイスに敷き詰めたワイヤレスの埋め込みチップや手術ロボットの開発を進めてきた。
BMIは医療分野を中心に世界的に市場が拡大している。調査会社のグランドビューリサーチの予測によると年平均15%強のペースで成長し、27年には37億ドル(約4000億円)に達する見通しだ。
BMIの登場は1960年代にさかのぼる。当初はスイッチを押すなどの簡単な動作から始まり、画面上のカーソルなどを直線で動かせるようになった。
立体的な動作も可能になり、日本の国際電気通信基礎技術研究所(ATR)は18年、両腕を使いながら「第3の腕」としてロボットアームを使うことに成功。19年には米カリフォルニア大学が会話時の脳の活動を読み取り、機械が発話する実験に成功した。
脳出血で全身不随となり、まばたきで文字を入力するような例もある。ウィレット氏は「(まばたきで入力すると)1単語を書くのに数分かかることもあったが、我々の技術なら1分で18単語は書けたかもしれない」と指摘する。
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