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今回の決議案にもあるとおり、死刑制度の最大の、そして決定的な問題点は、無実の人を殺してしまう、危険があることであります。他の刑罰であれば再審による救済があります。しかし、死刑によって失われた命は、永遠に帰ってこないのです。
この一点、この一点のみをとらえても、死刑制度は制度として重大な欠陥を持っているのであり、直ちに廃止してしかるべきであると考えます。そして、闇に葬られた「冤罪」の多さを知っている弁護士こそ、この点について、声を大にして語るべきであります。それは我々、道義的義務でもあると考えます。
弁護士が冤罪を言わないなら、一体、他の誰が、言うというのでしょうか。
この点、絶対に間違いがない事件、もあるではないか、という人がいます。しかし、有名な足利事件をご覧下さい。これは、自白があり、DNA鑑定もあった事案です。それでも人間は間違えるのであります。自分は絶対に間違えない、等と言える人は、今日この会場で、一体何人いるのでしょうか。
殺人事件では多く精神鑑定が争われます。精神医学も今後発達するはずです。そうしたら、現時点で有罪でも、将来は無罪となる、そういうことだってあるではありませんか。今日の時点の判断が、永遠に正しいと言える根拠が、一体どこにあるのでしょうか。