>>2のつづき
そこで、下村大臣に対して、整備費負担を検討する前に、(1)整備費の正確な見積もり、(2)屋根まで付けての完成時期について、情報の提示を求めた。
「国立」競技場である以上、国が整備するのが当然であり、なぜ東京都が整備費を負担せねばならないのか。
納税者である都民が納得するような説明ができるのか。
こうした疑問に答えられないかぎり、今回の要請など検 討する余地もない。
新国立競技場建設の責任者はJSC(日本スポーツ振興センター)であり、その監督官庁は文科省であるが、解体までの不手際を見ても、これらの組織が然るべき能力と責任意識を有しているのかどうか、はなはだ疑問である。
私なりに、過去の経緯を調べ、専門家、業者などにも聞き取りを行った。
その結果は、恐るべき事態になっていた。
まず、整備については、1,692億円ではとても済まず、2,500億円を超えると いう。また、工期については、屋根付きでは間に合わないし、屋根を付けな くても間に合わないかもしれないという。前年の2019年には新国立競技場で ラグビーのワールドカップが行われるが、そのときまでに完成させることが できるのかどうか。
新国立競技場建設の責任者に能力、責任意識、危機感がないことは驚くべきことであり、大日本帝国陸軍を彷彿とさせる。
日本を戦争、そして敗北と破滅に導いたこの組織の特色は、壮大な無責任体制になる。
東京裁判の記録を読めばよく分かるが、政策決定について誰も責任をとらないし、正確な情報、不利な情報は上にあげない。
新国立競技場建設について、安倍首相には 楽観的な情報しか上がっていなかった。
これは、各戦線での敗北をひた隠 し、「勝利」と偽って国民を騙してきた戦前の陸軍と同じである。