さて、何から話すべきか ID:h8ZTXJnH

14以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2021/04/05(月) 13:58:24.12 ID:h8ZTXJnH

よし、書き直すぞ

15以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2021/04/05(月) 17:04:23.98 ID:h8ZTXJnH

春うららかな、ある日、ある町、ある男
「…なんて美しい日だ」
二日ほど続いた雨は上がり、太陽の日差しが波のようにじんわりと町を温めている
花粉症に悩まされることのない俺は、ベランダに出て、葉の多くなった桜を見たり違う種類の鳥が会話しているのを聞き、心ほぐ自然への感謝を思いそんなことを呟いていた
今日みたいな一日を無駄にしてはいけない
にわかに沸き上がった感情は俺を足早に玄関に向かわせた
さっき食べた母さんの朝食のおかげかエネルギッシュな自分を感じる。これなら日中遊んでも大丈夫だろう
靴ひもをきつめに結んで外へと飛び出した
「まずはどこに向かうかなぁ」

   近所にある山

 ◎  駄菓子屋

「よし、駄菓子屋に行くか」
家から歩いて数分のところにある駄菓子屋「つんつん」
同級生の母がやっている店で昔から通っている
つんつんという名前は同級生の両親が小学生たちに親しまれるようひらがなにしたという以外は何も考えずなんとなくそうなった名前らしい
しかし俺にとってはこのつんつんにはもう一つ意味が込められているに違いないと思っていた
その意味というのがまさしく俺が今駄菓子屋の前で中に入れずウロチョロしている理由なのだ
「いないといいんだけどなぁ」
今日の天気ならどこかに遊びに行っていると思うんだけど
そう思いながら、俺は店のガラス戸をそろりと開いた
「いらっしゃいま・・・なんだお前か。きっしょ」
「す、すみません・・・いたんだ」
「なんか悪いの。私の家なんだから当然じゃん。それともひきこもりのあんたになんか言われる筋合いがあるわけ」
ありませんと頭を下げる
開口一番罵声を浴びせる彼女の名前は、木元若菜(きもとわかな)、同級生の女の子だ
家が近いので小学生の頃は登下校が一緒で両親も仲がいい、といわゆる幼馴染のはずなんだが
「早く帰れよ、家が腐る」
俺に対しての当たりがものすごく強い。というかいじめだこんなものは
「そ、そこまで言わなくても」
縮こまった体でそそくさと駄菓子を物色する。保育園の年長くらいまでは一緒に団子を作るくらいには仲が良かったのに
彼女がトラなら俺は雑草か小動物のフンだろう。今では生態ピラミッドが離れすぎて捕食もされずにただ怯えるだけなのだ
必要量のお菓子を若菜の座るレジ台に出す
「あ、あとラムネ一つください...」
ラムネは彼女の座るレジの横にあるガラス張りの冷蔵庫から取り出すのだ。どうやら電源がそこにしかないかららしい
いつもなら誰にでも優しい若菜のお母さんが世間話をしながら取ってくれるのだけど
「ちっ、めんどくさいわね、何本よ?」
「え?今、一つって...」
「ちっ!・・・まぁあんたいつも一人だし一つ以外ないわよね」
な、なんて酷いことを。今日の彼女はひときわ厳しいようだ。確かに普段から侮蔑の目を向けてきたり、無視されるのは間違いないが今日は異様だ
まぁいつも一人なのは合ってるけども!
だからか、なのにか、つい俺は人間にそっと吸い付く蚊のように彼女の琴線に触れる質問をしてしまった
「な、何かあったの?いつもより怒ってるみたいだね。へへ・・・」
後で母に聞いたがこの質問は怒っている人間には逆効果らしい
「うっさいわね、あんたに関係あんの?ゴミはしゃべらないからゴミでいられるのよ喋ればもう公害よ」
「あ、あ、ごめん」
「・・・友達と出かける予定だったのに母さんに店番頼まれたのよ。これでいいでしょ」
俺がよほどひきつった顔をしていたからだろう彼女が応

16以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2021/04/05(月) 17:06:38.69 ID:h8ZTXJnH

えてくれた。やはり根っことしては優しいのだ。きっと。団子丸めるの手伝ってくれたし
「そうなんだ、あ、あのもうちょっと優しくいる方がお客も入りやすいっていうか、その・・・。」
「ハァ?あんた以外にこんな口調でいると思ってんの?きっしょ」
「つ、つまり俺が特別ってことか、なーんて。へへ、なーんて・・・。」
あまりに一方的に言われるものだから反抗して調子に乗った発言をしてしまった。俺は自分に降りかかる怒号を覚悟し身構えたが、帰ってきたのは冷ややかな回答だった。
「そりゃ人間以下なんだから特別でしょ。友達のパンツ覗いたり山で脱糞するような奴」
「ぐっ・・・またその話を」
だ、駄目だ彼女と話していると俺がピーラーでジャガイモを剥くように精神の実をどんどんすり減らされる
自分で袋詰めした駄菓子とラムネを持って出口へ急ぐことにした
「あんたまさか今からどっか行くの?」
彼女が聞いてくる。俺は今掘り起こされた思い出と彼女の怒りの理由を思い躊躇したが、小さく熊出山に行く。と答えた
「なんだまた野糞でもしに行くの?トイレットペーパー買えば?」
また強くなった口調を背に涙と少しの怒りをこらえて俺は駄菓子屋を出た
「さて、行こうか」
負傷した心を抱え俺は熊出山に向かって歩き出した


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