物語とか書いてみる #9

9以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2017/01/06(金) 18:58:48.21 ID:EuTDqe7L

 5時間目は数学だった。4月の始めに、1年生で勉強したことが定着しているか確認するため行われたテストが返却された。悪くはないが決して良いと言える点数でもなかった。クラス全員分のテストを返却し終えると、先生は問題の解説を始めた。

 テストの最初の方はわりとよくできていたから、始めのうち、先生の解説はほとんど聞いていなかった。なんとなくぼんやりとしながら、ちらりと左の方に目をやると、少し離れた席で成田が机に両肘をつき、頭を抱えて座っていた。どうしたんだろう、もしかしてテストの点数が良くなかったのかとしばらく見ていると、彼女の頭ががくっと大きく下に動いた。同時に体をびくりとさせ、一瞬辺りを見回す。それから彼女は何事もなかったかのように正面に向き直った。どうやら居眠りしていたらしい。

 成田とは1年生のときも同じクラスだった。その姿を目で追うようになってもう1年近く経つ。会話をするようになったのは1年生の秋頃だった。ふとさきほどの山下の話を思い出す。もしも成田と2人で出掛けることになったらどうなるだろうか。これまでも何度か想像したことがあった。休日に出歩く2人。どんな会話をするだろう。学校でするようなどうでもいい会話ばかりになる気がする。歩くときの距離感は。近すぎても離れても不自然かもしれない。行き先はどこがいいだろう。ネプランド。2人で遊ぶのにはいいかもしれない。

 2人でネプランドで遊ぶ様子をあれこれと妄想していると、先生の「じゃあ次。大問の4だけど」という声が聞こえた。ここからは授業に集中する必要がある。めくるめく妄想を振り払い、赤ペンを握り直すと意識を先生と黒板に向けた。

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