物語とか書いてみる #57

57以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2017/01/09(月) 20:44:37.32 ID:AA+lQcYc

 成田も落ち着いたようなのでベンチから立ち上がり、出口を目指して園内を横切る。ネプランドの出口は入場ゲートのすぐ脇にある。出口に近づくにつれ、同じようにネプランドから出ようとする客が見え始める。彼らと同じ方向に歩いていると、ネプランドの出口が見えてきた。

「明日は月曜日かぁ」と彼女は言った。またいつもの一週間が始まる。そのことを憂いているかのような声だった。

「面倒だな」と答える。

 ネプランドの外に出たところでどちらともなく立ち止まる。成田とはここで別れることになる。

「じゃあ、また学校でね」柔らかく笑って彼女は言った。

「また明日な」

 俺がそう言うと、成田は片手をひらひら振り、くるりと背を向けて歩きだした。しばしの間その後ろ姿を見送っていたが、やがて俺も駅に向けて歩きだした。

 駅のホームに入り、電車が来るのを待つ。近くには、同じようにネプランドで遊んだのだろう子連れがいた。子供はすっかり疲れたようで、父親に抱かれて眠っていた。遊び疲れたその顔はとても安らかだった。明日もこの子は元気に遊ぶのだろう。

 電車がやって来た。3両目の前方に乗る。反対側のドアの脇にもたれかかって車内を見回す。乗客はそこそこ多いが、静かだった。やがて電車が動き出した。気だるげな乗客たちを乗せて、電車はネプランドに来たときと反対の方向に進んでいく。

 電車に揺られながら、また学校で、と言った成田の姿を思い出す。どうしようもなく心が浮き立つのを感じた。感情が顔に出そうになるのをなんとか抑え、窓の外をみる。さっきよりもさらに濃い赤をたたえた夕焼けが広がっていた。



このスレッドを全て表示


このスレッドは過去ログです。