物語とか書いてみる #51

51以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2017/01/09(月) 20:16:34.28 ID:AA+lQcYc

 カップが止まったのは5分ほどたったあとだった。くらくらする頭を押さえながらカップから降りる。若干気持ちが悪い。さすがに文句のひとつでも言おうかと成田を見ると、彼女もまた足元がおぼつかないようだった。顔色も良くない。見るからに調子が悪そうだ。もしかして今ので酔ったのではないだろうか。

「大丈夫か?」まさかと思いながら訊ねると

「ん、まあ」と顔を少しうつ向かせて答える。

 声にいつもの快活さがない。どこへ向かうつもりなのか、彼女は俺を置いて歩いていった。だがどうも足取りが危なっかしい。右へ左へふらふらしている。急いで成田に追い付き

「どっか座るか?」と聞くと彼女は立ち止まって

「うん」とだけ答えた。

 だが周りにベンチはないようだ。

「ちょっと歩かないといけないけど」

 そう声をかけると、成田は再びそろそろと歩き出す。彼女の先を歩き、誘導するようにして座れる場所がないか探すことにした。

 必要なときに限ってベンチがなかなか見つからない。しばらく歩いているうちに、いつの間にか開けた場所に来ていた。周りには人がおらず、遠くの方に連れだって歩く学生たちが見えるだけだった。

 広場の隅の方に植え込みがある。根本のあたりが段差になっており、そこが座るのにちょうど良さそうだ。

「あそこまで歩けるか?」言いながら成田の方を向く。彼女はまだ調子が悪そうだった。

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