物語とか書いてみる #5

5以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2017/01/06(金) 18:02:06.90 ID:EuTDqe7L

 太陽の陽射しのおかげで部屋は明かりを点けなくても十分に明るい。小学生たちの声が聞こえなくなると、手元の雑誌に目を戻した。市内にある遊園地、ネプランドを特集した雑誌である。開いたページでは人気アトラクションの1つ、「NEP COASTER」が紹介されている。写真には、桃色の車体のジェットコースターがくねくねと曲がったレールの上を走っている様子が写されている。この雑誌は今週の月曜日に、帰り道の途中にある本屋で買ったものだ。これまで何度も読んだので全体的に少しよれている。

 子供の頃は父と母の3人でよくこの遊園地に遊びに行った。ぺらぺらと雑誌のページをめくっていると、当時の様子が思い出される。当時は無かったアトラクションもあるが、そのまま残っているものもあるようだ。あの頃の自分は無邪気だった。マスコットの着ぐるみに話しかけ、メリーゴーランドに揺られてはしゃぎ、身長制限に引っ掛かっているにもかかわらず、ジェットコースターに乗りたいと駄々をこねた。良い時代だったなと軽く息をつく。

 ページをめくるのをやめ、雑誌を脇に置いて後ろに倒れこんだ。両手を頭の後ろで組んで窓の外を見ると、雲ひとつない青空が見えた。快晴。まさに絶好のお出掛け日和といったところだ。しかし気分はいっこうに優れない。これから遊園地に行って遊ぶ。子供時代であれば、今ごろわくわくして落ち着かないことだろう。だが事情が事情だ。これから起こることは、17年間生きてきた中でもトップクラスの重大な案件だった。部屋の天井に目をやって、自分がこんな事態に陥った経緯に思いを馳せた。あれは先週の金曜日だった。

このスレッドを全て表示


このスレッドは過去ログです。