成田がパンケーキを食べ終わった後も、しばらくふたりで話をしていた。その会話のなかで、自然と次は喫茶店の窓から見えるコーヒーカップのアトラクションに乗ることになった。話が一段落したところで、喫茶店から出ることにした。席から立とうと椅子を動かすと、伝票を見ていた成田が声をあげた。
「あれ?」
「どうした?」席から立ちあがりながら尋ねると
「こんなにするの……」と呆けたように言って伝票をこちらに突き出した。
見てみると、コーヒーが600円、パンケーキが1560円となっている。
「パンケーキってこんな高いのか」とつぶやくと
「たいてい1000円前後なのに」と少し不満げに口を尖らせている。
「値段見てなかったのか」
「あー、ちゃんと見てなかった」
「こういう店って少し値段高めだよな。なんというか、ご愁傷さまです」軽く頭を下げる。
「高めって言ってもさあ……」食べ終わった皿を眺めながら成田がつぶやく。ほんの少し前までそこにあったパンケーキを思い出しているのかもしれない。あのパンケーキになんのためらいもなく1560円払えるのであれば、高校生としては勝ち組に属するのかもしれないが……
「1560円ってどうなの?」
どうなんだ?