物語とか書いてみる #46

46以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2017/01/08(日) 21:03:34.09 ID:7K8h533b

「尋常じゃないんだよな、ネクターに対する欲求が。俺の親父さ、結構まじめで物静かなんだよ。家じゃほとんど話さなくて、俺や母さんの話に笑いながら相槌を打つだけ。そういう性格なんだ」

「そうなの」

「前にさ、親父が仕事休みだった日にネクターを買ってくるよう言われたことがあったんだよ。その日は朝からひどい天気で、とても外に出る気にならないような日だった」

 彼女はナイフとフォークを持ったまま黙って聞いている。

「俺断ったんだよ。こんな日に外なんか出たくないって。ネクターなんか一日くらい我慢しろって言ったんだ」

「うん」

「そしたらあいつ滅茶苦茶に怒ってさ。壁を殴るわ腕時計を投げつけるわで大暴れしたんだよ」

「え」思わず声が出たといった様子で成田がつぶやいた。俺は軽くうなずいて続けた。

「俺は買いに行くからって言って親父をなだめた。そしたら親父はいつも通り物静かな親父になったよ。ジュース代も500円くれてさ、お釣りは返さなくていいって。俺は親父の変わりようにびっくりしてたし、外はひどい土砂降りだったけど仕方なく買いに行ったんだ」

「そんなにネクターが好きなんだ」

「異常だろ?母さんによると昔からそうらしい。それである日思ったんだ。俺の根久夫って名前はネクターからきてるんじゃないかって」

「なるほど」成田は神妙な顔をしている。

「それで、親父に聞いてみたんだ」

「お父さん、なんて言ったの?」

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