物語とか書いてみる #21

21以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2017/01/06(金) 21:06:02.45 ID:EuTDqe7L

 そんなやりとりをしているうちに木造の建物の前に着いた。山奥に建つロッジに似ている。雪が積もっているかのように真っ白な三角屋根には煙突が付いており、2階の外壁には白い字で「NEP COASTER」と書かれたピンク色の看板が掲げてある。建物の横には背の高い松の木と雪だるまの置物が立っている。入り口の前には五分刈りの青年が立っていて、左のこぶしを挙げながら「NEP COASTERへようこそ!」と言っている。恐らくスタッフだろう。ロッジのような建物のすぐ後ろにはもうひとつ建物が建っている。そちらは4階建てだ。ジェットコースターのレールはその4階から延びていた。乗場はそこにあるらしい。ロッジのような建物とは2階部分が通路でつながっていた。遠くの方からはジェットコースターが走る「ゴォー」という音や乗客の悲鳴が聞こえていた。

 入り口の前まで行くと、スタッフに「現在30分待ちです。中の階段をお進みください」と案内された。

「30分待ちだってよ」と言うと成田は

「まぁ日曜だしね」とはるか頭上のレールを見つめながら答えた。

 ロッジのような建物に入ると、左の方に階段がある。上の階からは人の話し声が聞こえる。部屋の中を進んでいるうちにふとあることを思い出した。

「この建物さ、兼六園をモチーフにして作られたらしいよ」午前中に読んだ雑誌からの情報だ。

「兼六園?」

「そう。ここの創設者が兼六園に行ったときにすごい癒されたから、遊園地にも建てたようと思ったらしい」

「へぇそうなんだ。確かに落ち着く建物だけど」

「ちょっと遊園地には合わないよな。しかもよりによってジェットコースターに作るってどうかと思う」

「ていうか兼六園にこんな建物あるのかな?なんか煙突付いてたけど」

 確かに。金沢にある兼六園は江戸時代に造られた庭園だ。その頃に煙突などあったのだろうか。

「さあ。行ったことないからわかんねぇ」

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