物語とか書いてみる #14

14以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2017/01/06(金) 20:15:57.89 ID:EuTDqe7L

 はじめのうち、成田が本気でネプランドに行くつもりなのだとは思っていなかった。どうせ来週には「ごめん、やっぱ用事が入った」とか言ってくるに違いないと高をくくっていた。

 だから、次の週の月曜日に学校で会った際、開口一番「ねえねえ、今度の日曜日は2時にネプランドの入り口で待ち合わせってことでいい?」と言ってきたときにはうろたえてしまった。

「え?ほんとに行くの?」

「は?須藤が言ったんでしょ。ネプランドなんていつぶりだろう。楽しみだなぁ」

 こいつ本気だったのかと、その時になって初めて事の重大さに気づいた。どうしようどうしようとその日一日頭を悩ませた結果、とりあえず情報収集しなければと、帰りに書店に寄ってネプランドの雑誌を買ったのだった。

 そして今日がその日曜日である。成田と出かけるということがこんなに気が重くするとは思わなかった。午後いっぱい2人で過ごすなんて、そんなに間がもつわけない。全く嫌な予感しかしない。あの時の自分はどこかおかしかったのだ。恨めしげに部屋の天井を見つめながら後悔に後悔を重ねてそう思った。

 それにしても成田が誘いを承諾してくれるとは思わなかった。激しく断られて自分は自己嫌悪の渦に飲まれるのだと覚悟したのに。あの時の彼女の表情の変化はまさに劇的だった。呆けた顔だったのが、眉をくいと持ち上げ、口をぱっと開けて笑顔になる。いかにも楽しみ、といったあの顔を思い出す度に息が詰まった。

 壁の時計に目をやると、そろそろ昼食の時間である。俺はゆっくりと立ち上がり、背伸びをしてから部屋を出た。

このスレッドを全て表示


このスレッドは過去ログです。