ゲスオ「……転校してきた理由か」
ベッキー「そう。簡単に言うと、これからあなたが辿るであろう道の先に私は居た」
ゲスオ「俺と同じことを友達にしていたってことか」
ベッキー「そうね。家庭環境とか、校風とか、正直今のあなたよりストレスを抱えていたと思うわ」
ゲスオ「……」
ベッキー「本当にあなたと同じなのよ。私は能力が薄れてきているなんて、これっぽっちも気付かなかったけどね。ふと顔を上げると、私の周りには誰もいなかった」
ゲスオ「そうだったのか……」
ベッキー「それから私はイジメを受けたわ。きっとそれが、彼女らのストレスの捌け口だったのでしょうね」
ゲスオ「イジメ……?」
ベッキー「そう。だから私は転校してきたの。イジメなんて言葉で括られているけど、そんな生易しいものじゃなかったわ」
ゲスオ「……」
ベッキー「聞きたい?内容」
ゲスオ「いや、それ以上言わなくていいよ」
ベッキー「そう」
ゲスオ「根本的な部分では、俺もベッキーも一緒だな」
ベッキー「そうかしら。私はあなたほど人が良くない。この能力を使っているときは、私は一種の洗脳状態だったのよ。人を馬鹿にして、蔑んで、軽蔑することに快楽を覚えいた」
ゲスオ「それは俺も同じだよ。ベッキーは自分を人が良くないと言うが、じゃあどうして俺を助ける」
ベッキー「助ける?私は自分のために、あなたに助言を施しただけよ。また私みたいな人間が生まれるのを黙って見ていられなかった」
ゲスオ「だから、それがベッキーの人の良さだろう。本当に悪い奴なら助言すらしない。能力を持っていることすら、隠すはずだ」
ベッキー「……そうかしら」
ゲスオ「そうだよ」