>>47
つづき。
突然のキスに驚いて逃げようとするパの体をきつく抱きしめて、
もっと強くキスする。
夜の街の光の中で、まわりの通行人が驚いたように抱き合うふたりを見ている。
パ「おま、ちょ、人前で…」
ブがようやく唇を離すと、パが動揺して赤面していた。
パ「まあ、おでだからな…最初に、練習したいってお前に頼んだのは。じゃ、まあ、ありがとう。おつかれ」
再び背を向けて駅に向かうパの姿が人混みに紛れ見えなくなった。
……俺は最初から練習のつもりじゃなかった。と、ブは思った。
あいつの演技の練習のためとかではなくて、急にキスがしたくなったから、した。
さっきの楽屋では後輩連中が入ってきたからあわてて離れたけど。
でも、ライブが終わって、パが去りゆく姿を見ていたら、また無性にキスしたくなった。したかったから、した。少し乱暴に唇を奪った。
なんだか、なぜだかわからなかったけど、もうパに会えないような気がしたから。
知り合って、コンビを組んでから今まで、一時期よりコンビで行う仕事の頻度は減ったけど、
個人的に一緒に遊ぶ機会も減ったけど、それでも今もしょっちゅう、仕事のたびに会って笑って話しているのに。
なんで、突然、こんなに不安になったんだろう。あいつに対して。
その日は星の見えない夜だった。
おわり。
いつかふたりがまた仲良く笑い合える日が来ますように。