>5
>裁判当日。
>傍聴席のJimは息を呑んだ。
>被告席に立つDebora、いやMary Springfield──彼は惚れ直してしまった。
>美貌はそのままに、白いブラウスにチャコールグレーの膝丈スーツ、黒のハイヒール。
>凛とした佇まいは、上院議員と名乗っても違和感がないほどだった。
>廷内の誰もがJimと同じ印象を抱き、Maryを崇めるような視線を送っていた。
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>唯一違ったのはKarenだけだった。
>起訴状が読み上げられると、廷内にどよめきが走る。
>そして罪状認否の時、MaryはJimを真っ直ぐに見つめ、あっさりと罪を認めた。
>法廷はざわめいた。
>翌日の全国ニュースは絶世の美女が不同意猥褻の罪を認め護送されるシーンをトップで報じた。
>フランクリン郡コモン・プレーズ裁判所には抗議の電話が殺到した。
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>裁判はあっけなく結審し、Mary Springfieldはオハイオ女性矯正施設に収監された。
>KarenはJimを抱きしめ、耳元で囁いた。
>「…拍子抜けしちゃった。何年も戦うつもりだったのに」
>「さあJim、祝杯をあげに行きましょう!」
>---
>6
>Jimは祝杯どころではなかった。
>街を歩けば、見知らぬ人に突き飛ばされる。
>「この早撃ち野郎が!」
>自宅の窓ガラスは割られた。
>Karenも同じだった。
>「三百代言のクソ弁護士! 絶世の美女を刑務所に送って満足か!」
>抗議の電話やメールが止まらず、仕事にならなかった。
>やがて二人はトレントンから姿を消した。
>そして──その行方は誰にも分からなかった。