たれこめて春のゆくへもしらぬまにまちし桜もうつろひにけり(古今和歌集・藤原因香)
病みあがりですがそろそろと、また何か書いていこうと思います。
さくらとうぐいすの三月四月ものどかで華やかで好きなのですが、それにもまして青葉とほととぎすの五月六月、これから来たるその季節が、自分は大好きなのであります。
たれこめて春のゆくへもしらぬまにまちし桜もうつろひにけり(古今和歌集・藤原因香)
病みあがりですがそろそろと、また何か書いていこうと思います。
さくらとうぐいすの三月四月ものどかで華やかで好きなのですが、それにもまして青葉とほととぎすの五月六月、これから来たるその季節が、自分は大好きなのであります。
夏衣きていくかにかなりぬらんのこれる花はけふも散りつつ(新古今和歌集・源道済)
乗り換えを待つ駅のホームで、目の前にせまる山のみどりをながめていました。
木々の新緑が風にさわだち、うすい紫の藤の花ぶさが、しずかにおもげにゆれています。
遅咲きのやまざくらの花と葉の色も、すこしまじっているでしょうか。
ウグイスや名も知れぬ鳥たちが賑やかにさえずりかわして、見るもの聞くものすべて初夏(はつなつ)のあかるさです。
深山がくれの渓流には、たぎつ瀬の波のしずくに濡れて、やまぶきの花など清らかに咲いているでしょうか。みどりの山のおもてから目には見えないその奥処まで、遠く心が思いやられて、古く詠まれた情景などもおのずと胸にうかんできます。
吉野川岸の山吹さきぬれば底にぞふかき色はみえける(千載和歌集・藤原範綱)
岩根こす清滝川のはやければ波をりかくる岸の山吹(新古今和歌集・源国信)
駒とめてなほ水かはん山吹の花の露そふ井手の玉川(新古今和歌集・藤原俊成)