美少女「......活字性......快楽伝達病?」 ID:Ms4qDng1

10以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2015/11/11(水) 02:34:45.68 ID:Ms4qDng1

娘「入院......かぁ......」

娘「......私ほんとに死んじゃうのかなぁ......」

スッ

ナース「......可愛そうに。元気だして、娘ちゃん」ナデナデ

娘「......か、看護婦さん......!?」

ナース「......大丈夫。私があなたの面倒をしっかり見るからね......」ナデナデ

娘「......え、あ、......ありがとうございます」

ナース「......でも、急な入院じゃ大変よね......」

娘「......は、はい......」

ナース「......そうだ、ちょっと待っててね」スッ

娘「......え?」

ガララ

娘「......行っちゃった」

13以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2015/11/11(水) 02:41:23.35 ID:Ms4qDng1

ガララ

ナース「お待たせ。はい。これ娘ちゃんに貸してあげる」スッ

娘「......これは......本?」

ナース「そ。私本が好きでね。ロッカーにいくつもあるの。」

ナース「本は、退屈しのぎにもってこいよ」スッ

娘「......小説、?」

ナース「とりあえずこの恋愛ものの小説と、あとはこのグルメ小説を貸すわね」

娘「......ありがとう......ございます」

ガララ

婦長「あ!ちょっとナースさん!205号室の田中さんのとこの点滴行ったのっ!?」

ナース「あー!すみません。今行きます......じゃ、娘ちゃん後で感想聞かせてね!」

ガララ



娘「......」ポツーン

15以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2015/11/11(水) 02:54:58.35 ID:Ms4qDng1

娘 「......」 シーン

娘「......みんないっちゃった」

娘「......」


一人では広すぎる病室に、静寂がこだまする。
窓の外は、もう日が沈み始めていた。
夕暮れと、風に揺れる木々。
途端に、先程までのあの深く先の見えない不安が少女を包み込む。

娘「......私、本当に病気なんだ」

空っぽの天井にそう呟く。
今まで大きな障害なく過ごして来た少女にとって、突然の入院は華奢な心を揺さぶるには十分すぎた。

娘「......嫌だ。死にたくないよ......まだ美味しいものだって沢山食べたいし、色んなとこに遊びにいきたい。......素敵な人と恋だってしたいのに......」

そんな気持ちが溢れて、涙も溢れてきた。
病室の明かりがもやもやとボヤける。
次から次へと襲いかかってくる不安に、少女は翻弄されていた。

16以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2015/11/11(水) 03:11:14.83 ID:Ms4qDng1

娘「......」グスッ

娘「......駄目だ駄目だ。すぐに思い込むのは私の悪い癖だって、昔からママにも言われてるじゃない!」

顔を左右に振り、気分を奮い立たせる。
そうして無理にでも虚勢を張った。
強がっていなければ、すぐにまた飲み込まれてしまう。

「......そうだ、さっきの看護婦さんから借りた本......ちょっと読んでみようかな」

手にしたのは日本各地のグルメを巡る、しがない作家を主人公とした小説だった。
内容は、場所毎に描かれる短編集となっていて、ストーリーや設定よりも食事部分の描写に力をいれた物だった。

娘「......なになに......私は売れない作家、西宮竜平。私は何より食べることが好きで......」

普段なら気に求めないような小説だったが、不思議と引き込まれていった。
飾り気の無い、親しみやすい文体が、まるで少女を励ましてくれてるかのようであった。

娘「......へぇ、そういうのもあるのね......」

なかには一風変わった料理などもあり、第三話を読み終える頃にはすっかりその作風にはまっていた。

17以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2015/11/11(水) 03:26:35.36 ID:Ms4qDng1

そんな少女の体に異変が起きたのは第四話、「放浪の旅、君と出会いし猪カレー」の料理描写パートに入ったとにだった。

娘「へー、今度はカレーか。美味しそう」

......
......その時だ、長旅でもう意識もハッキリとしていない私の目の前に現れた物.....。猪カレーだった。よく煮込まれ黒みのかかったルーのなかに、一際黒い"ヤツ"が居るではないか。しかし、まずは距離を置く。静かにスプーンを握り、隙の無い構えをとる。やはり最初はルーとライスだ。白く粒のたったホカホカのご飯に、たっぷりのスパイスが薫るルーを潜らせる。まるでドレスアップした花嫁のようなその姿に、私の心は......
......


娘「......?カレーの香り?今日の病院食もカレーなのかな?」

何処からともなく流れてくる、カレーの香ばしい香りが少女の鼻孔を擽る。
時間はもう5時半を過ぎ、ちょうどお腹が減ってきた少女にとっては堪らなかった。

娘「やった。本を読んでる時に出てくる食べ物って、無性に食べたくなるんだよね」

そう言って、本を閉じる。ワクワクしながら待てど、なかなか夕食は運ばれて来なかった。
それどころか、芳醇なその香りは少しずつ薄れていった。

18以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2015/11/11(水) 03:33:42.80 ID:Ms4qDng1

しばらくして、看護師が料理を運んできた。
今か今かと待っていた少女は胸を踊らせる。

ガララ

ナース「はーい、娘ちゃん。ご飯よー」

娘「やっと来た!」

しかし、その時運ばれてきたのはご飯と味噌汁、それときんぴらに豆腐ハンバーグだった。

娘「あ、あれ......?」

ナース「ん?どうかした??」

食事を配膳しながら、看護師が問いかけてくる。

娘「あのー。今日ってカレーじゃないんですか......?」

ナース「え?カレーって、......病院食が?」

娘「はい。さっきいい香りがしたから......」

ナース「んー、そうなの?今日はこのメニューと、あとは流動食しか無かったとおもうけど......」

娘「で、でも......。さっきあんなにハッキリ......」

ナース「うーん......?」

ナース「......あ。分かった」

娘「?」

20以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2015/11/11(水) 03:37:45.91 ID:Ms4qDng1

ナース「ほら、娘ちゃん。窓、窓」

そう言って看護師は窓際に向かって行く。

ナース「少し空いていたから、他のお家の晩御飯の香りが入ってきたのよ、きっと」

娘「......そ、そうかなぁ......」

ナース「きっとそうよ。......ほら、覚めないうちに食べましょう。あーんしてあげよっか?」

娘「......だ、大丈夫ですっ」

ナース「うふふ、じゃあしっかり食べて。少ししたら食器を取りに来るから」

娘「......はい」


そう言って、看護師は出ていった。
腑に落ちないまま豆腐ハンバーグを口に運ぶ。
......薄味だった。

21以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2015/11/11(水) 03:39:23.16 ID:Ms4qDng1

  <⌒/ヽ-、___
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