湾岸地域におけるアメリカの影響力
2023年10月7日にハマスの武装勢力によって屈辱を受けて以降、イスラエルは2年間にわたり、中東全域で軍事力を誇示してきた。これらの行動の多くは、アメリカの黙認または明白な承認のもとで行われている。
イスラエルは、イエメンやイランといった遠方の国々に対しても自由に攻撃を加えることができる、地域の覇権国家としての地位を確立した。
ただし、これらのケースでは、アメリカも作戦に関与しており、目的を共有していた。具体的には、イスラエルや紅海の海上交通に対するイエメンのフーシ派の攻撃を阻止すること、そしてイランの核開発を妨げることだ。
しかし、カタールへの攻撃はまったく異なる。カタールはアメリカの重要な地域同盟国だ。
トランプ氏は、この件について「非常に不満に思っている」と述べた。ホワイトハウスの説明によれば、イスラエルによる急襲の情報が届いたのは遅すぎて、カタールに対して有効な警告を行うことはできなかったという。
ホワイトハウスのキャロライン・レヴィット報道官は、「カタール国内で一方的に爆撃を行うことは、主権国家でありアメリカの親密な同盟国でもあるカタールが、平和の仲介に向けて非常に努力し、勇敢にリスクを取っている状況を踏まえれば、イスラエルやアメリカの目標達成にはつながらない」と、記者団に語った。
アメリカが共謀していたとの疑念を払拭するには不十分だが、この発言には本物の怒りが感じられた。
一方、ネタニヤフ首相は、この作戦は「完全に独立した行動」だと強調した。
米紙ワシントン・ポストのデイヴィッド・イグナティウス氏によれば、イスラエルが「炎の頂上作戦」と名付けた今回の攻撃は、ハマス幹部がカタールで標的にされることはないという、アメリカおよびイスラエルの保証にもかかわらず実行されたという。
仮にそうした保証があり、それがこれほど公然と無視されたのなら、湾岸諸国におけるアメリカの弱体化の兆候として受け止められるのは避けられない。
明らかな消極姿勢
そして、ポーランドの問題がある。
およそ1カ月前、トランプ氏は米アラスカ州にロシアのウラジーミル・プーチン大統領を迎え、赤いじゅうたんを敷いて歓待した。ウクライナ戦争の首謀者を温かく抱擁し、その数日後には、フランスのエマニュエル・マクロン大統領に対し、「彼は私のために合意をしたいのだと思う。(中略)クレイジーに聞こえるだろうが」と語る様子が、会談会場のマイクに拾われていた。