裁判は簡単には進まなかった。政府側は「在日は管轄外であり、賠償責任は生じない」と主張した。
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けれど、彼女たちは引かなかった。
「管轄外という言葉で、どれだけの人が切り捨てられてきたのか」
ソヒョンは言った。
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1年後、判決はまだ出ていない。
だが彼女たちは、戦いの最中に多くの協力者と繋がった。済州島出身の学者、在日歴史研究者、若い韓国人学生たち。中には、法廷支援を申し出る韓国の弁護士グループも現れた。
「私たちだけやったら、ここまでは来れんかった」
ジウはそう言って笑った。
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今、三人は新しい活動を始めている。
「済州島4・3事件 在日証言プロジェクト」
記憶を掘り起こし、次の世代に手渡すためのアーカイブ化だ。日本各地を回り、かつて密航で渡ってきた老人たちの証言を集めている。
「裁判も大事。でも記録も同じくらい大事やから」
ソヨンの言葉に、ジウとソヒョンがうなずく。
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彼女たちはもう、ただの「孫」じゃない。
祖母たちの声を受け継ぎ、春を告げる声になった。