あおり運転の二台の車に追突することなく通過したトラックは、後ろのトラックも
あれだけあおり運転を繰り返している光景を見ていれば注意して走っている
筈で、追突することもないだろうとバックミラーを見たその時だった、バックミラーに
後方の車のライトの光と違う火花が映し出され、それは後方のトラックがあおり
運転の停止している車に追突した瞬間だった。
トラック運転手は「やりあがつたな」とつぶやいた。バックミラーでは確認する
ことは出来ないが、あの火花は十分に想像が出来た。それは明らかに自分の
後方のトラックが前方に停止する車に追突したと実感した。「あいつ、何見て
いたのかな」と思った。夜ではあるが激しいあおり運転を繰り返して走っていた
二台の車を自分だけが気付いていた訳ではなく、自分の後方のトラックも
気付いていたはずで、十分に車間距離と注意して運転していれば追突は
しないはずと思った。
トラック運転手は心配ではあったが高速道路ではどうしようも出来ないので、
パーキングに着いたら、早急に警察に連絡しようと思い、トラックを走らした。
パーキングに着いたトラック運転手は警察に一報を入れ、簡単に事情を
説明した。警察は目撃状況を聞きたいのでその場に待っていてくれないかと
告げられ、トラック運転手は仕事の都合上、待てないと言ったが警察は
すぐに行くので待っていて欲しいと告げた。