作品の要約が難しいのだが、巨大知性体と呼ばれる AI がシンギュラリティに達して時空がバラバラになり、因果律が様々な形で混乱している世界。
巨大知性体たちは時空を元の状態に戻そうと壮絶な計算合戦を行う。
作品は20編の短編が緩やかに結合しながら、SF、ユーモア小説等様々な手法で、因果律が崩壊した多次元世界のスケッチを提示していく。
また、いくつかの連作短編には、時空の崩壊により幼馴染の女の子との初恋の過去を失った親友とその友人たちの話を配置して、恋愛小説としての側面を加えることで、読者が共感しやすい構造になっている。
同時に、短編の中に、時空がバラバラになった原因及び結果を、きちんと説明した章を配置することで、作品世界をきっちりと理解できるように考慮がなされている。