iskra
5つ星のうち1.0
新しい本ではありません。2014年12月20日
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本書の第六章は、2006年発行の『歴史の中の政教分離』からそのまま移植されたものです。しかもその元論文は2002年に発表済のものを「再圧縮」して右書に載せられています。このような論文の使い回しは理科系では到底許されないところ、著者が文系、しかも神学という特殊な学問領域にいるから不問に付されるのでしょうか(本書では12章のうち、ふたつの章のみが書き下ろし)。
第六章の内容は、ある熱心なピューリタンが17世紀にアメリカ大陸で政教分離を実践していたというものなのですが、そんなことがある筈はなく、それが証拠に、このような説は政教分離を研究する憲法学会では一顧だにされていません。
著者は最後の方で唐突にハンナ・アーレントを引用するのですが(ジョン・ロールズにも言及)、ここに見られる、20世紀の世俗思想を17世紀の宗教家にそのまま適用するという方法上の誤りが、このようなトンデモ説を導いたとも言えるでしょう。
そう言えば、イエスも「皇帝のものは皇帝に、神のものは神に返しなさい」と、政教分離を言っていましたね(笑)。