■大幅に円安が進んだ13年と比べても収益率向上
http://www.nikkei.com/news/image-article/?R_FLG=0&ad=DSXMZO8131589025122014000002&bf=0&dc=1&ng=DGXMZO81318720V21C14A2000000&z=20141226
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興味深いのは、対ドルで約19円もの円下落が進んだ13年(グラフB)と比べても14年の収益率は改善している点だ。13年には損益がプラスだった人が49%、収益率がプラス10%以上だった投資家は25%にとどまっていた。13年の円の下落幅は14年(年初と現時点を比べると約15円の下落)を上回るだけに、やや意外な結果といえる。
http://www.nikkei.com/markets/features/27.aspx?g=DGXMZO8131872025122014000000&df=2
13年の成績が意外に振るわなかった要因はいくつかある。まず円の対ドル相場は、年間を通してみれば大きく下落したものの、5〜6月に1ドル=103円台から93円台へと急騰した局面(いわゆるバーナンキ・ショック)があった。ドルを買っていた人は、このときにロス・カット(含み損が一定水準に達すると強制的に損失を確定する機能)発動に見舞われた。
またミセス・ワタナベの間での人気通貨、豪ドルに対して春以降円高が進んだことも、豪ドルを買っていた投資家の収益率を悪化させた(以上の点についての詳細は、14年1月17日公開の日経電子版の拙稿「大幅円安でも『空振り』 ミセス・ワタナベ3つの敗因」を参照していただきたい)。
■日銀緩和後に大幅なドルの値上がり益が
http://www.nikkei.com/news/image-article/?R_FLG=0&ad=DSXMZO8131738025122014000002&bf=0&dc=1&ng=DGXMZO81318720V21C14A2000000&z=20141226
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これに対して、14年の円相場はどうだったか。まず対ドル相場(グラフDのa参照)は、投資家がじれったくなるほどの膠着状態が続いた後、8月下旬以降、大幅に下落する展開となった。特に上述した日銀の追加緩和後、円は109円程度から一時121円台後半に売られ、投資家に大きなドルの値上がり益をもたらした。原油安を背景とする市場の混乱で12月中旬に円が上昇する場面はあったものの、13年5〜6月のケースほどの急騰には至らず、ミセス・ワタナベは深い傷を負わなかった。
豪ドルに対しても円は基本的に下落した(グラフDのb参照)。円は対ユーロでも下落したので、いわば独歩安の展開。背景には、日銀の強力な緩和政策があった。何しろ、10月末の追加緩和後、日銀は毎月、新規発行額のほぼすべてに相当する額の長期国債を買っているのだ。というわけで、14年には、基本的に円を売り外貨を買っておけば利益を得やすい状況だったといえる。
そうであれば、損益がプラスだった人の比率は55%にとどまらず、もっと高くなったはずではないか。そんな疑問も浮かんでくるかもしれない。だが、実は「対ユーロ取引では苦戦した投資家が少なくなかった」(神田卓也・外為どっとコム総合研究所調査部長)という指摘がある。