まず,まるで哲学書のような装丁とタイトルに驚きました。
秋葉原無差別殺傷事件の犯人の手記です。
本人は「人を殺すつもりはなかった」そうです。
「事件報道はほとんど嘘」だそうです。
犯人自身から見た秋葉原無差別殺傷事件が
書かれています。
犬を連れた老婆のエピソードなど,
マイナスな事実に関する感受性が強いと思いました。
「矢」や「弓」の喩え話など,
事件や他人をおもちゃのように考えています。
肝心の動機は理解不明な「成りすまし」が元になっています。
本人曰く
「掲示板上のトラブルは現実の人間同士のトラブル」だそうです。
私は被害者でも被害者の遺族でもありませんが,
読んでいてかなり怒り覚えました。
自分の過去をじっくり振り返り,
まるで被害者のように書いています。
理不尽な理由でいきなり命を
絶たれた方々のことを思うとつらいです。
理不尽ともいえない,びっくりするほど
くだらない理由です。
ただ通りいっぺんの「むしゃくしゃしたから刺した」
「社会に不満があったから刺した」と
いうような理由ではないことが分かりました。
話の内容が二転三転し,結局何を言いたいのか
よく分からないところがありますが,
おそらく本人もよく分からないのではないでしょうか?
犯人の話をジャーナリストが
わかりやすく(勝手な解釈で)まとめたものではなく,
生の声が聞け,すごい本だと思いました。