https://ameblo.jp/to-the-unknown/entry-10643492137.html
マーラーの最後の言葉が「モーツァルト」だったというのは、コメントも頂きましたが、意外な感じがします。マーラーとモーツァルトというのは、一見マ逆な作曲家にみえます。
まあ、芸術家の最後の言葉というのは何かいかがわしいところがあります。このマーラーの話も、ひょっとしたらアルマあたりが「盛った」ものかもしれません。
マーラーが本当に最後に「モーツァルト」と言って死んだかどうかは別にして、マーラーとモーツァルトの親近性を真剣に説く人もいます。
指揮者のリッカルド・シャイーは、モーツァルトの20番のピアノ協奏曲をマーラーの交響曲の前に置くプログラムを気に入っています。
モーツァルトは30曲近いピアノ協奏曲を残しましたが、その内短調のものは2曲だけで、20番はその一つです。特に第1楽章は妙な緊迫感があります。
言われてみれば、この曲は、もしマーラーがモーツァルトの時代に生きていたら書いていたであろう曲であるように思えてきます。
モーツァルトはしかし、マーラーのように、人間の「内面」のダークな部分をグロテスクにデフォルメして描くことはありませんでした。人間のあらゆる側面を、矛盾も含めて全て受け入れ、愛した芸術家であったように思います。
モーツァルトには、マーラーのような異常なまでの救済願望もなかったし、「この世」に対して未練たらたら執着する気持ちもなかったように感じます。モーツァルトにとっては、「寛容」と「赦し」の美徳で十分だったのではないでしょうか。